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事例紹介

「Age File」で見るブランドと広告起用タレントの関係

今回、「VR Data Cupid」にブランド考慮・広告想起を定期的に測定している「Mind-TOP」調査のデータも搭載することになりました。この機会に、「Age File」を使った「Mind-TOP」データの活用方法を紹介します。

目次

ブランドと広告に起用されているタレントの関係

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はじめに

 ブランドのコンセプトやコミュニケーション戦略を立てる上で欠かせないのが、ブランドやユーザーのプロフィールを把握し、ターゲットを明確にすることです。そのために、性別や10才ごと、15才ごとといった年齢の区分によって生活者をグループ分けし、グループ間での違いを比較するのが一般的です。

  そうした従来の手法に加えて、当社では2008年から「Age File」という手法を提案し、その手法を使ったサービス「VR Data Cupid」を提供しています。本誌でも過去4回に渡り、手法や分析事例を紹介しました。(※)

 そして今回、「VR Data Cupid」にブランド考慮・広告想起を定期的に測定している「Mind-TOP」調査のデータも搭載することになりました。この機会に、「Age File」を使った「Mind-TOP」データの活用方法を紹介します。

(※2008年11月号、2008年12月号、2009年4月号、2009年8月号)

「Age File」おさらい

 「Age File」という手法では、従来の性年齢別集計よりも細かくプロフィールを把握するために、1才刻みで集計・分析を行います。ただ、1才刻みの母数を集計に耐えうるだけ確保できる調査はなかなかありません。そこで、「Age File」においては、集計対象の上下の年齢の人も含めて集計を行います【図表-1】。

【図表-1】 Age Fileでの「1才刻み」の考え方
【図表-1】 Age Fileでの「1才刻み」の考え方 イメージ

 例えば集計年齢幅を±2才とした場合、「28才」の集計時には26~30才を、「29才」は27~31才を集計対象とします。何才刻みで集計するかは、調査ごとにあらかじめ適切な年齢幅を確認し、決めておきます(この後、紹介する「Mind-TOP」データでは±2才、「テレビタレントイメージ」調査データでは±4才で集計しています)。

  「Age File」を使うと、より細かなプロフィールを把握できるだけではなく、異なる年度、異なる調査の結果を視覚的に比べることができるようになります。では、その実例を「Mind-TOP」データを交えながら見ていきましょう。

「Age File」でブランド支持層とタレント支持層の一致度合いを見る

 マーケティングにおいては、競合ブランドとの差別化が常に課題となります。それは競合他社との関係だけではありません。1社が同一カテゴリ内に複数ブランドを展開している場合は、自社ブランド間の違いを明確にし、カニバリゼーションを防ぐことも重要です。

 そのためには、現状の把握と、それを踏まえた改善、そしてその後の再確認が欠かせません。そのサイクルがうまく回り、特徴やターゲットが異なる自社のブランドが互いの弱みを補い合うようになれば、カテゴリで高いメーカーシェアを得ることができます。

 こうした自社ブランド間の差別化の事例として、今回は、シャンプーカテゴリにおける花王のブランドと広告に起用されているタレントの関係に注目します。使用するデータは「Mind-TOP」調査のブランド考慮率と、「テレビタレントイメージ」調査のタレント人気度です。

ブランド考慮率…「Mind-TOP」(シャンプー)調査より

  • ブランドを「買ってもよい」と思った人の割合
  • 2週間隔で調査し、「Age File」集計時には四半期ごとに平均
  • 「Age File」年齢幅は±2才

タレント人気度…「テレビタレントイメージ」調査より

  • タレントを「非常に好き」「好き」と答えた人の割合
  • 「Age File」年齢幅は±4才

[1]ブランドのプロフィールを確認する

 花王が現在擁するシャンプーブランドは、ロングセラーのメリット、エッセンシャルと、それぞれ2003年、2007年に発売されたアジエンス、セグレタの計4つです。まず、これらのブランドを「買ってもよい」と思った人の割合(以下、ブランド考慮率)について過去3年間の推移を確認します【図表-2】。

 

【図表-2】 シャンプーブランド考慮率推移 2008年1-3月~2010年10-12月
(女性18~59才、期間平均)

【図表-2】 シャンプーブランド考慮率推移 グラフ

 アジエンスが最も高く30%台を推移していましたが、2010年に入ってから下降傾向となっています。それ以外の3ブランドは、多少の変動はありながらもほぼ横ばい状態です。
この4ブランドがこれまでどのように展開されてきたのか、過去の代表的なキャッチコピーを見てみると、

・エッセンシャル
カワイイはつくれる
・アジエンス
アジアンビューティー
・メリット
家族シャンプー
・セグレタ
美しいエイジングへ

  となっており、それぞれ異なるコンセプトを訴求していることがわかります。商品がターゲットとする年齢はエッセンシャルが最も低く、アジエンス、メリット、セグレタの順に高くなると推察されます。

 では、ブランド支持者のプロフィールは、狙った通りになっているのでしょうか。2008年1-3月期にさかのぼり、ブランド考慮率を「Age File」で見てみます【図表-3】。

【図表-3】 シャンプーブランド考慮率2008年1-3月期
【図表-3】 シャンプーブランド考慮率2008年1-3月期 	グラフ

 「メリットは35才以上で考慮率が高い」「セグレタは50才がピーク」といったことは言えますが、いずれのブランドも山谷が小さく、年齢間での違いがあまり見られません。特にエッセンシャルはほとんどの年齢で15%前後のブランド考慮率となっており、幅広い年齢層に支持されている一方で、コアターゲットがいない状態とも取れます。

[2]現状を踏まえ、改善する

【エッセンシャルの場合】

 ロングセラーブランドであるエッセンシャルは、2006年に「カワイイはつくれる」というキャッチコピーでリニューアルしてから、複数のタレントを同時に広告に起用してきました。2010年に入ってからは、スザンヌ、劇団ひとり、佐々木希の3人体制となっていましたが、2010年8月に一部が入れ替わりました。その前後のブランド考慮率をタレント人気度とともに見て行きます。

 まず広告タレントの交代直前である2010年4-6月期の状態を確認します。エッセンシャル考慮率と、スザンヌ、佐々木希の人気度を並べたのが【図表-4】です。

 

【図表-4】「エッセンシャル」のブランド考慮率
2010年4-6月期と広告起用タレント人気度

【図表-4】「エッセンシャル」のブランド考慮率  2010年4-6月期と広告起用タレント人気度

※タレント人気度は「テレビタレントイメージ調査」2010年8月データより

 エッセンシャル考慮率、佐々木希人気度はともに20代前半が最も高くなっており、全体的なグラフの形も非常に似ています。類似度(相関係数)が0.893と高く、ブランド支持層とタレント支持層が一致していることがわかります。一方、スザンヌの人気度はピークが30代前半にあり、類似度も0.317にとどまっていました。

  その後2010年8月に、劇団ひとりとスザンヌに代わって吉高由里子とビビアン・スーが起用されました。従来からブランド支持層とのフィットが高かった佐々木希は継続起用です。新たに加わった吉高由里子の人気度と起用前後のエッセンシャル考慮率を比べたのが【図表-5】です。

【図表-5】「エッセンシャル」のブランド考慮率推移と広告起用タレント人気度
【図表-5】「エッセンシャル」のブランド考慮率推移と広告起用タレント人気度 	グラフ

※タレント人気度は「テレビタレントイメージ調査」2010年8月データより

 吉高由里子の人気度は20代が際立って高くなっており、30代前半と48才以上のところにも山があります。起用前(2010年4-6月期)のエッセンシャル考慮率との相関係数は0.615で、既にこのときにスザンヌよりも吉高由里子支持層のほうがエッセンシャル支持層との類似度が高い状態にありました。

 さらに、タレント交代から約半年後(2011年1-3月期)のエッセンシャル考慮率のグラフの変化を見てみると、25才前後と48才以上の部分が大きく上昇しており、吉高由里子人気度のグラフに形が近付いています。相関係数も0.615から0.819へと上がっており、変化が数字でも裏付けられました。

 ブランド支持層により近く、かつ特徴的な支持層を持ったタレントを起用したことで、タレントの強みがそのままブランドの強みに反映されたと思われます。結果的に20代に強く支持される状態となり、競合ブランドとの差別化に成功したと言えるでしょう。

【アジエンスの場合】

 主力ブランドであるアジエンスでも、2011年に入ってから広告タレントが交代しました。それまでの香椎由宇、浅田真央に代わって、2011年2月初旬から登場したのは柴咲コウです。交代前後のブランド考慮率と広告起用タレントの人気度を【図表-6】で比較してみます。

【図表-6】 「アジエンス」のブランド考慮率と広告起用タレント人気度
【図表-6】 「アジエンス」のブランド考慮率と広告起用タレント人気度 	グラフ

※タレント人気度は「テレビタレントイメージ調査」2011年2月データより

 交代直前(2010年10-12月期)のアジエンス考慮率と香椎由宇人気度の相関係数は0.110で、ブランド支持層とタレント支持層には関係が見られない状態でした。グラフからも、香椎由宇の人気度が20代後半から40代で高いのに対して、アジエンス考慮率は異なった形をしていることが読み取れます。

 一方、柴咲コウの人気度は20代がピークで、30代、50才前後も高くなっています。そして交代後(2011年2-3月)のアジエンス考慮率は、柴咲コウの人気度に呼応するかのように、20~30代と50代前半で上昇しています。ブランドとタレント間の相関係数も0.304で、ブランド支持層とタレント支持層の類似度の改善が見られました。

 また、柴咲コウの人気度は38~45才が谷となっていましたが、そこのアジエンス考慮率を落とすことなく、強い部分が上乗せされています。【図表-2】で見たように、アジエンスは2010年以降、ブランド考慮率がダウンする傾向にありましたが、広告展開を変えたことで底上げされたと言えます。

 広告タレントが交代してからまだ2ヵ月ですが、柴咲コウの人気度に引っ張られて20~30代でのアジエンス考慮率がさらに上昇すれば、ブランドのプロフィールがよりはっきりしてくるのではないでしょうか。

[3]ブランドのプロフィールを再確認する

 ここまで、エッセンシャルとアジエンスのブランド考慮率の変化を、広告起用タレントの交代と一緒に見てきました。では、こうした変化を経て現在の4ブランドはどうなっているのでしょうか。

 まず、【図表-2】の時系列グラフの期間を直近まで延ばした【図表-7】で、女性全体でのブランド考慮率の水準を見てみます(2011年は、アジエンスの広告タレント交代時期を区切りに、1月平均と2-3月平均に分けています)。エッセンシャル考慮率は、広告に吉高由里子が登場した直後の2010年10-12月に前期の11.7%から13.8%に上昇し、現在までその水準を維持していることがわかります。また、アジエンス考慮率は柴咲コウに交代した2011年2-3月に7.5ポイントの大幅アップで25.7%となっています。

【図表-7】 シャンプーブランド考慮率推移 2008年1-3月~2011年2-3月
(女性18~59才、期間平均)

【図表-7】 シャンプーブランド考慮率推移 2008年1-3月~2011年2-3月(女性18~59才、期間平均)	グラフ

 そして、4ブランドの支持層の関係を見るために、【図表-7】の最後の1期にあたる2011年2-3月期のブランド考慮率を「Age File」で確認します【図表-8】。

【図表-8】 シャンプーブランド考慮率2011年2-3月期
【図表-8】 シャンプーブランド考慮率2011年2-3月期	グラフ

 各ブランドの考慮率のピークを見ると、

・エッセンシャル
20代前半
・アジエンス
20代後半、30代後半
・メリット
30代後半~50代
・セグレタ
50代後半

となっており、ブランドの支持層がきれいに分かれています。2008年1-3月期には4ブランドとも山谷が小さいグラフの形をしていましたが【図表-3】、現在はそれぞれが異なったプロフィールを示すようになり、ブランドごとに特徴が出てきたことが確認できました。

 このように「Age File」は、ブランドのプロフィールを時系列で把握する、競合と比較する、他のデータとのフィッティングを確認するといったマーケティングに欠かせない分析ステップを強力にサポートする手法です。

おわりに

 「Age File」を使った「VR Data Cupid」サービスは2009年3月のご提供開始以降も搭載データを増やし、「テレビ視聴率」、「ラジオ個人視聴率」、「ACR」、「J-READ」、「MAGASCENE」、「SOTO」など15の調査データについて分析可能となっています。さらに、2011年7月には、本稿で紹介した「Mind-TOP」データも加わり、ますます汎用性が高まります。

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