最近注目の「生理指標(脳波)」で、CMの事前チェックや具体的な改善点の特定に活かしていく「TV-CM KARTE NEURO」

マーケティング事業推進局 企画開発部
國吉 正章
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「TV-CM KARTE NEURO」とは、生理指標(脳波)とアンケートにより、テレビCMクリエイティブの評価を「生理反応(ホンネ)」から捉える受注型調査のパッケージです。今までも本誌にて、「アイトラッキング」「脳血流」の研究事例をご紹介してきましたが、これらの事例を基に、ニューロ技術を応用したリサーチ手法を開発し、パッケージ化しました。これは心理的な「防御活動」を排除し、情動を伴う生理的な変化を測定することによって、 生理的な変化から捉えることが可能なサービスです。

最近では、様々な企業からも「NEURO」マーケティングによる「CM評価」手法が発信され、それぞれに特徴がありますが、ここでは、当社の新サービスである「TV-CM KARTENEURO」の特徴をご紹介いたします。尚、本サービスはシナジーマーケティング株式会社と共同で開発したものです。

開発の目的

既存の自主調査である「TV-CM KARTE」はサンプリング理論に則ったサンプルからCM1本単位の評価を把握することができます。

また受注調査として「In Hall Test(集合調査)」を用意し、「興味反応測定」という「ポジ/ネガ」に感じた部分を炙り出すオリジナルのクリエイティブ評価が可能です。

しかし、これらの手法は「意識的」な回答となり、いわゆる「本音と建前」の建前の部分を払拭することが難しいという課題がありました。

そこで、今回の「TV-CM KARTE NEURO」は「生理反応」に着目し、「意識的(心理的)反応=タテマエ」を排除した「生理的な反応=ホンネ」からCMのクリエイティブを評価するために開発したものです。

「TV-CM KARTE NEURO」の3つのポイント

本サービスは「脳波」計測を主に「アンケート」による評価を組み合わせたものです。

この方法により、以下の3つのポイントから「CMのクリエイティブ評価」を解釈します。

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1「脳波(αブロック)」による指標化

まず「脳波(αブロック)」について説明します。

脳は活動する際に電気信号を発生します。 電気信号には「アルファ波(α波)」「ベータ波(β波)」「シータ波(θ波)」など周波数の違う電気があり、それぞれ脳の活動状態により、信号が異なります【図表1】。

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主に、α波...リラックス時に発生。逆に「刺激」を認識し精神活動が起こると『α波が減衰』(αブロッキング)

β波...日常の活動時に発生(心配、警戒、注意 深い思考など)

θ波...瞑想やまどろみの状態時に発生

本サービスは、これらの電気信号の中から「α波」に着目し、"リラックス時に発生"と"刺激を認識して活動が起こると減衰する"αブロッキングを合わせて、2つの指標化を図りました。

⒈「覚醒度」...αブロッキングの考え方から『リラックス状態か、注意喚起の状態か』を解釈。

⒉「感情価」...α波の左右のバランスから「快・不快」を解釈。

※この1、2の考え方は、先行研究にて実証済。

2「脳波とアンケート」による統合モデル

「実査プロトコル」についてはのちほど触れますが、CM素材呈示後に19の印象項目について、MA(マルチアンサー)方式で印象評価 を調査します。

従来、このような印象評価は「素材1本の総合評価」でしか把握できませんでした。

が、本サービスでは「脳波反応と印象評価」をベイズ統計論から機械学習を行い、CMを秒単位に分解し、印象評価がどの秒(シーン)で感じられているかを『確率論』として導き出しました。

例えば「楽しい・親しみのある・分かりやすい」というような評価が得られた際に『どのシーンで楽しいと感じているのか』『どのシーンで親しみを感じているか』を確率として、導き出すことにより、クリエイティブ上の評価ポイントをより細かく把握することを可能としました【図表2】。

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※確率論とは...偶然ではなく、なんらかの理由によって事象が発生する現象を数学的なモ デルによって導きだそうとすること。

このような確率論で、クリエイティブを分解し、評価を解釈するという方法は、ユニー

クなものではないかと考えております。

3「覚醒度」と「感情価」を座標軸として表現

2でCMのクリエイティブ評価を紹介したとおり、「覚醒度と感情価」の2指標で評価します。

アウトプットとして「縦軸=感情価」「横軸= 覚醒度」に座標化し、1秒単位でどこにポジショニングするかを表現しました。

この図示により、1秒単位のシーンの流れを「縦・横」の座標で一元化し、評価ポジションの遷移を表現しています。

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何がわかるのか

前述3つの指標から次の解釈を求めます。

①どのクリエイティブポイントで注意(覚醒)が起こっているのか

②その時に快く(感情)感じているのか、そうではないのか

③その時どのような印象をもったか

を把握することにより、CMクリエイティブの評価反応を"生理指標"から解釈します。つまり、"ホンネ"の評価反応をクリエイティブ要素に分解して解釈するものであり、CM素材の具体的な改善点の特定に役立つと考えます。

実査プロトコル

本サービスの手順は、以下の流れとなります。

①事前アンケート...対象商品・サービスの利用状況

②脳波計測(1回目)...調査素材すべて(評価素材+比較素材)を視聴させて、脳波測定を実施

③脳波計測(2回目)...評価素材のみ呈示、脳波測定+「19の印象評価」を収集

④事後アンケート...秒単位の静止画を呈示し、印象に残ったシーンを確認。

併せて上記終了後に簡単なヒアリングを実施し、定性情報を把握することが可能です。

今後のテーマ

このサービスは名称にもありますように「TV-CM KARTE」からの派生サービスと位置づけています。

今後、本サービスを出稿前の「クリエイティブチェック」としてご利用いただくことにより、出稿後の「商品興味喚起」「購入意向」などの『予測』モデルを検討しています。

事前にクリエイティブの評価をすることで、事後(出稿後)の予測を行い、「TV-CM KARTE」で検証をする「事前チェック」⇒「事後予測」⇒「事後確認」という、一連のチェックからアクションへの確認ができることで、より皆さまに活用いただけるのではないかと考えています。

また「TV-CM KARTE」という名称ではありますが、同様に「映画」などの予告編などについても「事前にチェック」をすることによって、予告編から本編への魅力伝達力を高めるための施策に活用いただくことも想定しています。

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今後の課題

本サービスは、「ひとりづつ」の実査になりますので、大量サンプルデータを収集するには、 時間がかかります。

また「脳波」測定器は、長時間セットすると苦痛や違和感が反応にでてしまうため、計測時間は30-45分程度が限界です。

このような条件の場合、同じ脳反応計測として「簡易版光トポグラフィ」という脳血流量による測定の研究も行っています。

この測定器は装着も簡単で、且つ重量も軽いため長時間の調査も可能です。

また同タイミングで10sの測定も可能なため、量的な解釈の際に向いています。

ただし、まだ血流反応と印象項目の関係性 についてのデータが少ないため、今後データ を蓄積することにより、解釈の強化を図ります。

さらに、他の「生理指標」、例えば「アイトラッキング」「心拍計測」「表情分析」などを併用することにより視線の流れと脳の活性化の関係、 また『脳が活性化』しているときは「どのようなシーンなのか」を検証することも、より具体的な分析になったり、心電計測による「交感・副交感神経系」指標などから、「意識的な反応」を排除した解釈をすることが可能になるのではないかと考えています。

カメラ解析ソフトの進歩により「表情分析」も精度が高まってきています。表情分析では、対象者自身には何も装着することがなく、自然な状態での反応収集が可能です。日本人は表情変化に乏しいと言われていますが、わずかであってもその表情から"喜び・恐れ・驚き・嫌悪・悲しみ"などの感情変化をカメラ解析で把握することが出来ます。

これらの手法についてはまだまだ事例の検証、蓄積が必要であり、取り組むべき課題と考えています。

これからもビデオリサーチのマーケティング最適化支援サービスに、ぜひご期待いただければと思います。

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