クリエイティブカルテで見るNo 002 テレビ C M・動画広告の「話題拡散性」の強い好事例

マーケティング事業推進局 企画開発部
藤田 誠広
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第2回目となるクリエイティブカルテの分析事例ですが、今回はSNSの普及で注目されている「話題拡散性」の観点から今、気になる広告素材がどう評価されているのかを紹介します。

再び注目される広告の「話題拡散性」

テレビCMとWeb動画広告を併用する施策、またそれらトータルでの接触、認知、想起などの検証はいまや一般的となりました。

しかし、多くの広告主企業で「認知・想起されても、それが顧客のアクション(検索・来店・購買など)につながるとは限らない」という悩みもいまだに多いのもまた事実です。特にオフライン/オンライン問わず広告とブランドが溢れかえっている昨今は、認知・想起から顧客のアクションまでの距離は遠くなってしまった感じがします。

そういった中、「ただ認知・想起されるだけではなく、学校・職場・家庭など各コミュニティで『話題』になっている広告ほど、効果が高いのではないか」といった声も出てきています。

この雛形ともいえる仮説は実は遅くとも1960年代から既にありましたが、昨今のSNSの普及によって再び注目されてきました。調査においても、かつては日本のマーケターの間で一世を風靡したAIDMAモデルに沿った指標化が主流でしたが、昨今はAISASモデルのような周囲への広がりを想定した指標化への声も多いです。

そこで、クリエイティブカルテでは「話題拡散性」という指標を採録しております。もちろんこれはリツイート数やシェア数などである程度は把握可能です。他方で、この「話題拡散性」指標は、オフラインも含めた強さの把握、他の心理指標との関係の把握、カテゴリ別Norm値との比較、といった観点から利用いただくことを目的としています。そのため、オンライン上の各種ログデータと併せた利用をお薦めしています。

さて、今回はその「話題拡散性」の強かった事例を2つ紹介します。ひとつはさわやかさが評価された事例、もうひとつはインパクトが話題喚起につながった事例です。

事 例 話題の映画『君の名は。』とタイアップした、1サントリー/贅沢ヨーグリーナ&南アルプスの天然水

タイアップCMによりターゲットに話題を提供していた事例として、まずサントリー/贅沢 ヨーグリーナ&南アルプスの天然水の事例を紹介します。

サントリーは、新海誠監督の大ヒット映画『君の名は。』の公開に合わせて、これとタイアップした「重なる想い」篇を放送し、10代男女を中心に高い評価を獲得しました。映画主題歌でもあるRADWIMPSの楽曲「スパークル」に乗せて、 主人公2人の離れた場所からのダイアログの後、2つの商品が並んだラストカットで2人の「出会い」を暗示するという表現です。

ご存知の通り、新海誠監督は宮崎駿監督に続いて興行収入100億円突破を達成した史上2人目のアニメーション監督です。実はテレビCM業界では以前より新海監督の才能に注目していたようで、今回のサントリーのタイアップ以前から、新海監督関連の素材が5素材放送されています。それらの認知効率は概ね全業種Norm値並みで、実写CMと遜色ありません。今回取り上げる「重なる想い」篇は出稿量が極めて限られているにも関わらず、期待される広告認知率を獲得していました。

本題の「話題拡散性」をみてみると各ターゲットともNorm値と比較して非常に高いスコアを獲得しています【図表1】。

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特に、10代男女では際立って高く、SNS上や学校などで、友人達と話題にしていた様子が強くうかがえます。

多くのブランドが若者をメインターゲットに据えているノンアルコール飲料カテゴリでは、 各社とも若者向けに、いわゆる「バズる」ことを狙った仕掛けを展開しています。そのため、この競争の激しいカテゴリでNorm値を大きく上回るスコアを獲得しているのは非常に興味深いです。

なお、その要因をクリエイティブ要素から紐解いてみると、やはり「キャラクター」「音楽」への印象度が高いのが特徴です。広告の狙い通り、この2つの要素で若者をひきつけ、「さわやかな」「親しみやすい」といったイメージを醸成しており、加えて広告の好意度も上々です。

今回のサントリーの成功事例は、タイアップCMにおいては今後ひとつのベンチマークとなり得るものだと考えます。そもそも、タイアップは話題を喚起するために用いられてきた手法であり、今後も事例が絶えることはしばらくなさそうです。そういう意味では、過去のベンチマーク事例やNorm値と比較していくことに意義があるのではないでしょうか。

事例 遠藤憲一起用のアクの強い2クリエイティブで話題になったホクトプレミアム霜降りひらたけ

「ホクトプレミアム霜降りひらたけ」も話題拡散性が強かった事例です。

ホクトの長年企業イメージキャラクターの「きのこ組」を使ったほのぼのとしたCMを記憶している人も多いのではないでしょうか。最近は GACKTさんや空手家の宇佐美里香選手を起用するなどインパクトのあるCMでも話題となっています。今秋は遠藤憲一さんを起用したアクの強いクリエイティブで話題を提供しました。

遠藤さん演じる松茸狩り名人が、松茸の珍しい取り方についてテレビから取材を受ける様子から始まります。「やってみようか」という遠藤さんが木の根元に向かって「ホクトプレミアム!」と声をかけたり、「霜降りひらたけ」の写真を見せると、松茸が焦って次から次に土から顔を出します。「マツタケも焦ってると思うんだよね...」という遠藤さんらしいトボけたセリフで締める、という内容です。「そんなわけないだろ」と視聴者に苦笑いさせつつ、コピーやブランド名を刷り込むというきのこCM史上に残る名作です。

出稿量に対する認知率は各ターゲットともNorm値を大きく越えており、非常に印象が強 かったことがうかがえますが、認知だけではなく話題拡散性の強さもみてみましょう。

こういうトボけた内容で、アクの強いタレントが出ていると男性だけが支持しているかと一見思われます。しかし、実は話題拡散性は若い女性の間で非常に強かったようです【図表2】。

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確かに広告の好意度は全体的に女性の方が低いです。しかし、表向きの広告好意度だけでは捉えきれない強さがあったことが話題拡散性指標から読み取れます。

一方、広告イメージをみると、男女ともに「さわやかな」「スタイリッシュな」は低いですが、「おもしろい」「インパクトのある」といったイメージは男女ともに高く、かつ女性の方が高いスコアとなっています。遠藤さんのようなアクの強いタレントであっても、女性に対して充分に話題を喚起できる好例です。

今回は「話題拡散性」という観点で、まずはスコアが高かった2つの事例を紹介しました。 冒頭でお伝えしたように、以前からあったこの観点は最近特に指標化が求められています。そのため、当社ではこの指標と他の指標との関係を今後も研究していく予定です。

引き続き、お客様の日々の仮説を踏まえて、ひとつでも有効な指標を作っていければと考えています。

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