'85テレビ広告量の動向(3)

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※本記事は1986年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

'85テレビ広告量の動向(3

 ― テレビ広告出稿のスタイル ―

曜日、時間帯による広告投入パターン

 テレビ広告を出稿するときは、商品によってその対象となる消費者層が異るため、いかに効率よくターゲットに向けて出稿できるかが重要なポイントとなってくる。例えば主婦向けの商品であれば主婦の視聴の多い曜日・時間帯に、又、子ども向けの商品であれば子どもの視聴の多い曜日・時間帯にテレビ広告を出稿することが望ましいのである。

 そこでどの曜日、どのような時間帯に、何の商品のテレビ広告が多いのだろうか。

以下、秒数によるCM量で、85年1年間の出稿状況をみてみる。

 表3は商品種類ごとに平日・土曜・日曜の出稿の比率をみたものである。各商品種類の多くが「平日型」「土日型」「曜日均等型」のいずれかの広告投入パターンに含まれるが、一部の特定商品種類には「土曜型」「日曜型」がある。

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 ・曜日均等型......食品・飲料、薬品、衣料・身の回り品、出版家庭用品機器、住宅・建材、サービス・娯楽、その他

 ・平 日 型......化粧品・洗剤、卸売・百貨店

 ・土・日 型......基礎材、一般産業機器、電気機器

・土 曜 型......輸送機器

 ・日 曜 型......精密事務機器、金融・保険業

曜日別の投入パターンと商品との関係は、ほぼ前年と同様の傾向で、一般に男性向け及び世帯主向けの商品は「土・日型」又は「土曜型」「日曜型」が多く、主婦・女性向けの商品は「平日型」或は「曜日均等型」が多くなっている。

特に曜日のかたよりの著しいものは「輸送機器」の「土曜型」、「電気機器」の「土・日型」、「卸売・百貨店」の「平日型」である。

 次に時間帯ごとの広告投入の傾向をみてみる。

特定の時間帯に出稿量が集中しているもので、特に目立つのは「一般産業機器」の平日20時台、23時台、及び日曜の14時台、18時台で、それぞれ20%以上、日曜の18時台は30%以上の広告を出稿している。他には「基礎材」の土曜10~11時台、「出版」の平日深夜、「化粧品・洗剤」の土・日曜の20~21時台、「輸送機器」の平日深夜などが比較的集中している。

 昼の12時までを「午前」、18時までを「午後」、23時までを「夜」、23時以降を「深夜」として、平日と土曜の傾向をまとめてみると次の通りとなる。

・平日

  「午前型」..................基礎材

  「午前~午後型」.........卸売・百貨店

  「午後型」..................化粧品・洗剤

「夜~深夜型...............-般産業機器、電気機器、輸送機器

  「深夜型」..................出版、精密事務機器

 ・土曜

  「午前型」..................基礎材、住宅・建材、卸売・百貨店、その他

  「午後~夜型」............化粧品・洗剤

  「夜~深夜型」............衣料・身の回り品、輸送機器、精密事務機器、電気機器

  「深夜」.....................出版

日曜の出版の傾向については、家族全員の在宅の可能性が高いせいか、午前、午後、夜といったくくりではなく、11時台と21時台というように集中投入の時間帯が1日の中で分散しているケースが多くなっている。

商品種類別の曜日と時間帯の広告投入の傾向をまとめてみると、やはり主婦向け、女性向け商品は「曜日均等型」「平日型」に多く、しかも午前、午後に集中し、男性向け或はパーソナル商品は平日の夜や深夜に集中しているようである。

テレビC M素材の役割タイプと表現要素

-2179CMのモニター分析結果-

●2週間で平均5.8回の出稿

関東地区民放5局においては1日当り約3、250本のCMが放送されており、そのなかで視聴者が実際に視聴するのは1日当り約100本所後である。1カ月にすると約3、000本となり、それは視聴者にとっても広告主にとっても膨大な量と思われる。とくに送り手である広告主は出来るだけ自社のCMを視てもらい、いかに視聴者に記憶してもらうかといった課題に対して、広告表現上、非常に苦心している訳である。そこで、実際のCM素材をモニターし、各業種にどのようなCMタイプが多いか、またCMの表現上の要素としてどのような要素を扱っているかについて調べてみた。(表4)

 調査対象CM及び内容については次の通り。

 調査対象時期:1985年6月1日~6月14日の2週間

 調査対象時間:12:00~14:00及び18:00~23:00(1日当り7時間)

 調査対象CM:関東地区民放5局の上記時間帯における素材別CM

 (注)素材別CM......CMの長さ(秒数)及び内容(音声・映像)別CM

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対象となったCMは全部で2179素材であり、業種別にみると「食品・飲料」が28.6%と最も多く、次いで「化粧品・洗剤」11.3%、「薬品」9.6%、「家庭用品」7.3%、「電気機器」7.3%となっており、それらは業種別出稿量(秒数)の割合とほぼ同じになっている。

表4に示すように2179CMの秒数割合をみると、30秒CMが最も多く54%、次いで15秒CMが42%で、合わせて全体の96%を占めている。

●"説明・説得"広告は5割、"イメージ"広告は4割

テレビCMをその役割タイプから分類すると、新製品を知らせたり、車の展示会を知らせたりする"告知広告"、商品の特徴や扱い方を説明することに重点を置いた"説明・説得広告"、さらには商品とあまり関連性を持たず、雰囲気をアピールする"イメージ広告"プレミアムなどをつけてキャンペーンを行う"販促広告"などがある。ここでは2179CMを直接モニターして、各CMがどのタイプに属するかを分類(重複分輯有り)したが、半数は商品を中心に据えた"説明・説得広告"であり、次いで多いのは日本の広告に多いとされる"イメージ広告"となっている。さらに最近増えたとされる新しい価値観を示したり、新しい使用シーンを示す"提案型"のCMは全体の3%程で実際には非常に少ない割合となっている。

●外国人登場CMは20%、子供の登場するCMは18%

次にCM表現上でどのような要素を扱っているか・についてみたものが表5である。ここでは要素として外国的なもの、動物、人形、子供、アニメが使われているかどうかについてモニターを行ったが、それらのいずれかが登場するCMは全体の5割強となっている。

残りの4割強のCMは日本人のタレントが出演したり、日本の風景などのCMとなる。結果からみると外国人が登場するCMは全体の20%を占めており、子供の登場するCMも18%に達している。また動物やアニメが登場するCMは意外に少なく、それぞれ10%に満たない。

業種別にみると自動車やバイクを中心とした輸送機器では"外国人"の登場するCMが半数を超え、表現文字も"外国文字"が多くなっている。また住宅・建材や家庭用品、食品・飲料では親しみを表現するためか"子供"の登場するCMが多くなっている。

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新銘柄の出稿状況

― 増えた「ちん味・肴」、減った「出版」 ―

 毎年市場に様々な新製品・商品が出まわり、メーカーは新たな販売合戟をくりひろげるわけだが、まず新製品を売ろうとする時、その告知と購買喚起に大きな威力を発揮するのがテレビ広告である。そこで、85年の新製品のテレビ広告出稿状況をみてみる。CM統計用のマスターコードの新規登録状況から表6でみると、'85年に新たにテレビ広告として出稿された銘柄のCM件数は1、284件で、'84年の1、308件より若干減っている。

そしてその件数の集中する時期を月別でみると、例年と同様に、各キャンペーンが最も多くスタートする春・秋に集中し、3~4月、9~11月がピークとなっている。

では新銘柄の多い商品をみると、最も多いのは「食品・飲料」で、関東では402銘柄が新しく出ている。これは「食品・飲料」がテレビCMの総量の3割を占め、もともとその絶対量が多いことから当然のことと言えるが、それでも「食品・飲料」の全銘柄のうち27.8%と、3割近くが新銘柄ということになる。他の新銘柄の割合の高い商品には、「化粧品・洗剤」(28.3%関東)、「精密・事務機器」(35.2%関東)、「出版」(26.3%関東)などがあげられる。

 「精密・事務機器」のうちパソコン・オフコンなどの「コンピュータ」やワープロなどの「他の事務機器」の新銘柄の件数は、84年と比べても多く、新銘柄件数ベスト10の中に入ってきている(表7)。季節ごとに新製品を出し、激しい販売合戟となる「化粧品・洗剤」は'85年は若干キャンペーンの印象も薄かったが、新銘柄件数も、84年に比べ11件ほど減り、又新刊ブームでここ1~2年活発な動きをみせていた「出版」は、85年にはそのピークが過ぎ、やはり'84年より新銘柄が減っている。

しかしながらランキングの上ではそれぞれベスト2、ベスト7に入ってきている。

「ちん味・肴」は、85年の新銘柄が38件と最も多く、'84年の「グリコ・森永事件」による製菓業界の低迷の反動が'85年に現われたのだろう。

こうしてみると'85年のテレビCMにみられる新製品は多品種少量生産型の代表ともいえる製菓業界が「グリコ・森永事件」の終息とも相まってトップとなり、また、OA時代を反映した「コンピュータ」「他の事務機器」などが大きく伸びてきているようだ。(テレビ・ラジオ調査部)

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