VRホームスキャン・データ分析事例(8) ―プロモーション効果の研究事例―

VRDigest編集部
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※本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

前号までコーヒーマーケットの事例が3回連続したので、今回は特定の商品種類に限定せずにセールスプロモーションの効果についていくつかの事例を紹介したい。今回ここで言うプロモーションは新聞折込みチラシ広告と店内での特別プロモーション(詳しくは本文中で説明)のことである。

1.新聞折り込みチラシによる顧客吸引力の差

ここで紹介するデータは、昨年秋のものである。図1は、あるGMSを分析対象にして、2つのチラシ広告期間中4日間の延利用率を比較したものである。2つのチラシ広告はともに月末25日過ぎの土・日を含む特売期間のものである。

特別チラシ(創業祭)によって商圏が数的に拡大するということはないが、周囲に競合店が多いにもかかわらず、各ブロック別の利用率が微妙に増加している様子が見てとれることと思う。分析対象店のあるブロック⑦での増加は当然として、ブロック⑩での増加も大いに注目される。これは、この地域と鉄道駅とを結ぶ幹線道路沿いに分析対象店が立地していることで、その効果が強く表われたものと解される。このように、ストア利用客の拡がりもプロモーションのタイプや内容によって文字通り日々変化しているようだ。

vol240_06.jpg

2.チラシ特売による購入量増加

図2は、繰返し購入のある加工食品がチラシ特売によってどの位よく購買されているかを示す資料である。データは昨年10~12月3ヵ月間のチラシ特売のある日とない日を店別に分類し、1日1店当りの購入個数をそれぞれ計算したものである。分析対象とした24店は全てチラシ広告統計対象店である。

チラシ特売による売れゆきの増加はブランドによって大いに異なり、1.5倍から14.6倍にまでバラツイている。しかし、この売れゆき指数は図の右側に示した単価(値引き)と大いに関連がありそうな気配で、事例は少ないが試に相関係数を計算すると0.782とかなり相関があった。チラシ広告の特売情報で購入意向を刺激し、更に値引き幅の大きさで購入量が左右されるという筋書きだろうか。

vol240_07.jpg

3.チラシ広告接触量、チラシ価格、インストアプロモーションの効果

次に示す事例も繰返し購入のある加工食品のケースである。先ず、図3はブランドⅠの週別購入率とチラシ広告の週別延接触率のグラフである。この図からも明らかなように、ブランドⅠの購入率はチラシ広告と相関が高そうである。そこで、週別購入率をチラシ広告延接触率、チラシ広告価格、インストアブロモーション延回数で重回帰分析を行ったところ結果が良好であったので以下に紹介する。

<回帰式> 

PRit=α0+α1NIit+α2NIjt+α3NIPit+α4NIPit+α5ISPit+α6ISPjt

PR :週別購入率

i、j :ブランドi、j(iとjは強い競合関係にある)

t :週

NI :週別チラシ延接触率

NIP :週別チラシ掲載価格平均値(但し、基準容量換算値)

ISP :インストアブロモーション延回数(店数×日数)......メーカーフェア、試食、試供品、プレミア付、メニュー提案、店内VTR CMのいずれか実施。

<データ>'87年4月6日(月)以降47週

<分析結果>重相関係数0.707  決定係数0.500

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分析に使った購入率とその推定値は図4に示した通りである。わずか6つの説明変数で、購入率変動の50%を説明する結果であるが、実測値と推定値の変化パターンは驚く程似ている。図4の右端近くで購入率がひときわ高くなっている週は12月21~27日でクリスマスと年末大売り出しの重った特別な週であった。現実のマーケットではこのように更に複雑な要因が絡み合っており、この回帰モデルを更に改良する余地はまだまだ大きいだろう。

ちなみにブランドiの競合品ブランドjについても同じ分析を行ったが回帰精度はほぼ同じレベルであった。(当然のことながらブランドカの違いから回帰パラメータの値は異なる)今回は紙面の都合で、回帰パラメータの値をもとにマーケティング資源の配分について議論を進めることができなかった。また別の機会に紹介させていただきたい。

                                 (消費者分析部 八木 滋)

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