事業者に対する景品類の提供に関する景品表示法上の考え方について

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 ※本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

公正取引委員会は事業者景品(販促規制)を今秋から大幅に緩和することになった。そこでガイドラインとなる事業者景品類の提供の考え方と運用基準の改正について以下収録してみた。

 公正取引委員会は、昭和61年5月に公表した「市場アクセス改善のための競争政策上の対応」に基づき、不当な顧客誘引の弊害が生じない範囲において景品提供が販売促進活動として効果的に行えるよう、景品表示法等の解釈の一層の明確化を図ってきたところである。

 この度、その一環として、景品表示法第3条に基づき制定された「事業者に対する景品類の提供に関する事項の制限」(昭和42年公正取引委員会告示第17号。以下「告示」という。)の解釈の明確化を図ることとした。

Ⅰ.事業者に対する景品類の提供を制限する趣旨

 公正取引委員会は、従来から、流通面における公正かつ自由な競争が維持促進されるよう努めている。その一環として、告示は、製造業者等による販売業者等に対する過大な景品類の提供について制限している。

 製造業者等が販売業者等に、取引高を増進させる直接の手段として、過大な景品類を提供する場合には、流通面における公正かつ自由な競争を阻害し、流通コスト引下げや消費者価格の引下げに結びつかないという問題が生じ、消費者の利益を害することとなる。

 告示は、正常な販売促進活動とはみられない景品類の提供に限って制限することとしている。

 したがって、販売業者等の事業活動を助成するため必要と認められるものの提供等、正常な販売促進活動は、新規参入を促し、活発な競争をもたらすものとして評価されこそすれ、告示により制限されることはない。

 また、販売業者等に対する値引、リベートの提供は景品類に当たらないので、告示の対象外である。

Ⅱ.告示の内容

 1.告示において対象とする商品

 告示は、告示の別表に掲げる商品の製造業者等がその商品の販売業者等(以下「相手方事業者」という。)に対し、景品類を提供する場合を対象としている。

 なお、別表に掲げる商品(一般消費者により日常使用される商品が中心であり、生産財等は含まれていない。)は、食料品、衣料品、身の回り品、家庭用品、医薬品・化粧品等、書籍・雑誌・レコード等、乗用自動車・自転車等及び雑貨である。

 2.告示による制限を受ける場合

 告示による制限を受けるのは、告示第1項の2要件(「新たに当該商品の取引を開始するよう誘引する手段として」(注1)又は「相手方事業者の当該商品に係る取引高その他取引の状況が自己の定める一定の基準に該当することを条件として」(注2))のいずれかに該当する場合であって、かつ、告示第2項各号に掲げるもの以外の景品類の提供(例えば、観光旅行への招待又は専ら私的に使用する物品等の提供)をする場合である。この場合は、告示の制限を受け、相手方事業者1名(注3)につき年10万円を超えて景品類を提供することができない。

(注1)「新たに当該商品の取引を開始するよう誘引する手段として」とは、当該商品について取引を開始すれば、何らかの景品類を提供する旨を示す場合をいう。

(注2)「自己の定める一定の基準に該当することを条件として」とは、相手事業者に、あらかじめ、自己の定める一定の基準を示している場合のほか、定期的に同様の企画で実施しているため、実質的には示しているのと変わらない場合をいう。

(注3)①相手方事業者の役員、従業員等に対する景品類の提供は、相手方事業者に対する景品類の提供として取り扱い、これらに対する景品類は、事業者単位で合算する。②相手方事業者の支店、営業所等に対する景品類の提供は、事業者単位で合算する。

3.告示による制限を受けない場合

(1)景品類の提供に当たらない場合

告示は、製造業者等が相手方事業者に対し景品類を提供する場合を対象としており、景品類の提供に当たらない場合は、告示の制限を受けない。景品類の提供に当るかどうかは、「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する告示」(昭和37年公正取引委員会告示第3号)に定めるところによる。

  次のような場合は、景品類の提供に当たらないので、告示の制限を受けない。

     a 値引と認められる経済上の利益の提供に当たる場合

    (a) 取引の相手方に対し、支払うべき対価を減額し、又は受けとった代金を割り戻すことは、原則として、値引と認められる経済上の利益の提供に当たり、景品類の提供に当たらない(景品類等の指定告示の運用基準6(3)ア)ので、告示の制限を受けない。

    (b) 金銭の提供は、一般的に、値引と認められる経済上の利益の提供に当たり、景品類の提供に当たらず、告示の制限を受けないが、次の場合は、金銭の提供であっても、景品類の提供に当たり(景品類等の指定告示の運用基準6(4)ア)、告示の制限を受ける。

      ① 懸賞(注)により提供する場合

② 提供した金銭の使途を制限する場合(例えば、旅行費用に充当させる場合)

      ⑨ 同一の企画において金銭の提供と景品類の提供とを行う場合(例えば、取引の相手方に金銭又は招待旅行のいずれかを選択させる場合、1位のものには金銭を、2位以下のものには景品輯を、それぞれ、提供する場合)

     (c) セールスコンテスト、陳列コンテスト等取引高その他取引の状況の優劣によって経済上の利益の提供の相手方等を定める取引コンテストは、懸賞に該当しない(懸賞制限告示の運用基準2(4))。

    (e) 取引の相手方に対し、購入する商品と同一の商品を付加して、同じ対価で提供することは、原則として、値引と認められる経済上の利益の提供に当たり、景品類の提供に当たらない(景品輯等の指定告示の運用基準6(3)イ)ので、告示の制限を受けない。

     b 経済上の利益に含まれない場合

      取引コンテストの成績優秀者に対し提供する表彰状、盾、バッジ等相手方の名誉を表するものは、「経済上の利益」に含まれない(景品規等の指定告示の運用基準5(1))ので、景品類に当たらず、告示による制限を受けない。

(2)告示第1項の2要件のいずれにも当たらない場合

次のような経済上の利益の提供は、告示第1項の2要件のいずれにも当たらないので、告示による制限を受けない。

a、商談の際の飲食等の提供

     b 相手方事業者訪問の際の土産品としての物品等の提供

     c 相手方事業者の慶弔(記念行事を含む。)の際の金銭、物品等の提供

     d 中元歳暮としての物品等の提供

(3)相手方事業者の事業活動を助成するためのもの等の景品類の提供

告示第1項の2要件のいずれかに該当する場合であっても、次に掲げる景品類の提供は、告示による制限を受けない。

     A 次のような景品類であって、「正常な商慣習に照らして...事業活動を助成するため必要と認められる」(注)もの及び見本(告示第2項第1号)。

(注)「正常な商慣習に照らして...事業活動を助成するため必要と認められる」か否かについては、当該業界における慣行等を勘案し、公正な競争秩序維持の観点から判断する。

しかし次のいずれかに該当する場合は、「正常な商慣習に照らして...事業活動を助成するため必要と認め」られない。

     (a)懸賞により提供する場合

     (b)同一の企画において本号に掲げる景品類の提供と告示第2項各号に掲げる景品類以外の景品類の提供とを行う場合

     a 販売又は保管のための機器の提供等

     (a)当該商品の販売又は保管のための機器(ショーケース等をいう。)又は施設(商品陳列棚等をいう。)の提供又は貸与

     (b)当該商品の販売又は保管のための機器又は施設を相手方事業者が購入、設置又は賃借するために要する費用の全部又は一部の負担

     b 広告宣伝のための物品の提供等

     (a)当該商品の広告宣伝をするための装置(ネオン・サイン等をいう。)、施設(広告塔等をいう。)又は物品(ビラ、見本等をいう。)の提供又は貸与

     (b)当該商品の広告宣伝をするための装置、施設又は物品を相手方事業者が購入、設置又は賃借するために要する費用の全部又は一部の負担

     c 商品知識又は修理技術の習得を目的とする講習会の実施等

     (a)当該商品についての商品知識又は修理技術の習得を主たる目的とした講習会等他の実施(国内で実施すると海外で実施するとを問わない。)及びこれら講習会等に相手方事業者の役員、従業員等が参加するために要する費用(交通費、宿泊費を含む。)の全部又は一部の負担

(注) これら講習会等に名を借りた観光を主体とした招待旅行は、除かれる。

     (b)当該商品についての商品知識又は修理技術の習得を主たる目的として相手方事業者が実施する講習会等の実施費用の全部又は一部の負担

     (c)(b)の講習会等で使用する教材等の提供

     B 「親睦のため慣例として行なう会合に際して提供する景品類」又は「慣例として行なう自己の記念行事において提供する景品類」であって、「当該事業における正常な商慣習に照らして適当と認められる」(注)もの(告示第2項第2号又は3号)又は当該事業者と特別な関係にある相手方事業者の販売従業員に提供する景品類(告示第2項第4号)

(注)「正常な商慣習に照らして適当と認められる」か否かついては、当該事業者における慣行等を勘案し、公正な競争秩序維持の観点から判断する。

Ⅲ.取引コンテストは懸賞に当たらない旨を明確化するための懸賞御願告示の運用基準の改正(案)について

A 改正の理由

  セールスコンテスト及び陳列コンテストは、「特定行為の優劣...によって定める方法であり、懸賞にする」との見方もあって、あいまいさが残されていた。

  しかし、セールスコンテスト及び陳列コンテス・卜は、取引高その他取引の状況により相手方等を定めるものであり、類型としては事業者景品制限告示で規制すべきものであって、懸賞制限告示で規制するのは適当ではないと考えられる。

B 改正案

  したがって、セールスコンテスト及び陳列コンテストにより提供の相手方又は提供する景品類の価額を定めることは、懸賞に該当しないことを明らかにすることとし、「『懸賞による景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準について」(昭和52年4月1日事務局長通達第4号)の2(4)を次のとおり改正する予定である。

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Ⅳ.取引コンテストの成績優秀者に握供される表彰状、盾、バッジ等は、「経済上の利益」に当たらない旨を明確化するための景品類等の指定告示の適弼基準の改正(案)について

A 改正の理由

 これらは、受賞者の名誉を表するものであり、精神的価値はあるが、このようなものを自己が経済的負担をして購入することは通常考えられないので、経済上の価値はなく、「経済上の利益」には該当しないと考えられる。

B 改正案

 したがって、この旨を明確にするため、「景品類等の指定の告示の運用基準について」(昭和52年4月1日事務局長通達第7号)の5(1)を次のとおり改正する予定である。

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Ⅴ.同一商品を無料で添付して同一の価格で販売する場合は、原則とし了値引に当たる旨を明確化するための景品類等の指定告示の運用基準の改正保)について

A 改正の理由

 ある商品の購入者に対し、それと同一の商品を付加して、同じ対価で提供する場合は、仮に「プレゼント」、「無料進呈」等の表現を用いたとしても、実質的には値引行為であって不当な顧客誘引行為として必ずしも規制する必要はないと考えられること、また我が国とほぼ同様の理由で、総付景品規制を行っているフランス、ベルギー、オランダ等においても同一商品添付については値引きであるとしており、広告表現にかかわらず規制対象外としていること。

B 改正案

 今後は、広告表現の如何にかかわらず値引として取り扱う旨を明らかにすることとし、景品類等の指定告示の運用基準(昭和52年事務局長通達第7号)を次のように改正する予定である。

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Ⅵ 資料

  ○事業者に対する景品類の提供に関する事項の制限

                       (昭和42年5月20日 公正取引委員会告示17号)

            変更 昭和42年11月14日公正取引委員会告示第41号

 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第3条の規定により、事業者に対する景品類の提供に関する事項の制限を次のように定め、昭和42年6月1日から施行する。ただし、この告示の日前に行なった広告に係る景品類の提供で、同年8月31日までの取引の状況に基づいて行なうものについては、適用しない。

  事業者に対する景品類の提供に関する事項の制限

1 別表に掲げる商品の生産(加工を含む。以下同じ。)をする事業者(書籍、雑誌その他の著作物にあっては、発行者。以下同じ。)又はこれらの商品を販売する事業者は、その生産若しくは販売に係る商品を買い受けて販売し、又はこれらの商品を使用して一般消費者に役務を提供する事業者(以下「相手方事業者」という。)に対し、相手方事業者が新たに当該商品の取引を開始するよう誘引する手段として、又は相手方事業者の当該商品に係る取引高その他取引の状況が自己の定める一定の基準に該当することを条件として、景品類を提供してはならない。ただし、相手方事業者1名につき年10万円をこえない範囲内の景品類であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるものを提供する場合については、この限りでない。

2 前項の規定は、次の各号に掲げる景品類の提供については、適用しない。

 ① 当該商品の販売又は保管のための機器又は施設の供与、広告宣伝のための装置、施設等の供与その他広告宣伝の援助、商品知識又は修理技術の指導その他当該商品の生産又は販売をする事業(以下「当該事業」という)における正常な商慣習に照らして相手方事業者の当該商品に関する事業活動を助成するため必要と認められる景品類及び見本

 ② 親睦のため慣例として行なう会合に際して提供する景品類であって、当該事業における正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

 ③ 慣例として行なう自己の記念行事において提供する景品類であって、当該事業における正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

 ④ 資本の拠出、役員の派遣等により当該事業者と特別の関係にあり当該事業者と競争関係にある事業者と取引できない相手方事業者の販売従業員に対し、その販売従業員の当該商品に関する販売実績に基づいて提供する景品類であって、当該商品と同種の商品を販売する事業者がその販売従業員に対し支給する報償に相当するものとして適当と認められるもの。

備考

1 この告示の規定は、不当景品類及び不当表示防止法第3条の規定に基づく「チョコレート業における景品類の提供に関する事項の制限」(昭和40年公正取引委員会告示第8号)第2項、「写真機業における景品類の提供に関する事項の制限」(昭和40年公正取引委員会告示第33号)第2項、「即席めん類業における景品類の提供に関する事項の制限」(昭和41年公正取引委員会告示第11号)第2項、「カレー・こしょう業における景品類の提供に関する事項の制限」(昭和42年公正取引委員会告示第11号)第2項及び「トマト加工品業における景品類の提供に関する事項の制限」(昭和42年公正取引委員会告示第39号)第2項の規定の適用を妨げない。

2 この告示の規定は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)第2条第7項の規定に基づき不公正な取引方法を定める告示の規定で景品類の提供に関する定めの効力を制限するものではない。

  本備考 ― 一部変更(昭42公取委告41)

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