クーポン・プロモーションの理論と実際 11

VRDigest編集部
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※本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

―クーポン広告テストマーケットの結果 2

●クーポンの利用枚数が伸びなかった要因~つづき~

クーポンの利用は期待を下回る結果に終った。その要因として①消費者の消費習慣の問題、②取り扱い店のカバー率の問題、③参加アイテムの商品力の問題、以上3点を前号であげた。この3点が主要因ではあろうが、そのほか、今回利用が伸びなかった要因として次の2点が加えられよう。一つは参加アイテムの店頭配荷率が極めて低いことである。このことはどういうことかというと、せっかく消費者がクーポンを利用しようと思っても、その商品を取り扱っている店が少ないため利用機会を失うことになる。また、別な見方をすれば、店のマーチャンダイジングに合っていないアイテムが、クーポン商品として出てきていることになる。米国ではクーポン・プロモーションを行う際、50%以上の店頭配荷率を得ていなければ成功は覚つかないと言われているが、今回のテスト前の全アイテムの平均配荷率は27%に留まっている。もう一つは、今回はテストということで、敢えて取り扱い店側の協調プロモーション、及び支援体制を積極的に求めなかったことである。クーポン計画の成功は常にある程度まで小売店の協力に支えられるといってもよく、メーカーと小売店の共同作業の重要性が言われている。本誌、'88年3月(No.237)でその一端を紹介したが、再びここにその事例を紹介しておく。

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3.クーポン広告の本質見極め ―その1-

 今回のテストで採用したテクニックはクーポン広告の形態である。したがって、必ずしもクーポンの利用枚数だけで効果を推し測れるものではなく、一方では広告としての役目、効果がある。そのため、前号の企画概要で紹介したように、幾つかの調査を併行して行いクーポン広告の本質の見極めを行った。ここにその結果を紹介する。

1.配荷・陳列効果

 周知のように、広告の役目は消費者に知らしめることのはか、流通に知らしめる役目がある。クーポン広告も正にその役目を持っており、流通に商品育成の意志を伝え、取り扱い意欲、販売意欲をかきたてることを目的の1つとするが、クーポン広告の場合、クーポンという「売り」に直結したインセンティブが広告に加わるため、通常の広告より流通の反応は強くなることが予想されている。その結果は商品を取り扱う店が増え、エンドを利用した大量陳列など、積極的な支援活動としてあらわれるとみられている。その実証を行うために、テスト開始直前から1過置きに全店に対し配荷、陳列状況のチェックを行った。

 まず、配荷(店頭取り扱い)状況をみてみよう。今回のテストに3回とも参加した商品15アイテムについて、その配荷状況をチェックした結果は表1の通り。

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 テスト終了直前の時点で、実施前を100とした時、約20%の配荷指数アップに繋がっている。このことを食品、日用雑貨品に分けてみると表2のようになる。

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 食品のほうが指数が高いが、このことは、今回の参加アイテムのうち、食品は配荷率が低いアイテムが多いため指数が高くなったもので、配荷率のアップそのものは、平均で食品4.4%、日用雑貨品5.9%となっている。食品、日用雑貨品ともクーポン広告により5%前後の配荷率アップ、即ち、チャネルのフェイス拡大が招かれている。

 テスト期間中の配荷率の推移をみてみよう。

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 食品、日用雑貨品とも、テスト開始直後に一挙に取り扱い店を増していることがわかる。また、両者とも第三回目配布直後に最も配荷率を伸ばしている。クーポン広告に小売店が敏感に反応していることがわかる。

 業態別にみると、食品はGMSへの配荷が伸び、日用維貸品はスーパーレット、薬局・薬店、化粧品店への配荷が伸びている。共に前号のクーポン利用状況結果のところでみたように、クーポン利用のウエイトの高い業態への配荷が伸びている。

 このように、クーポン広告により、配荷効果は十分みられた。もし、広域エリアにおいて配荷率を5%アップするものとするならば、莫大な販売戦線の労力、エネルギーと経費が掛かるといえよう。クーポン広告は、短時日のうちにそのことを可能にしている。

 次に陳列効果であるが、残念ながら、配荷効果はみられたもののその多くは定番の陳列で、エンドやアイランドなどへの波及効果はみられなかった。積極的支援活動にまでは至らなかったといえる。ただ、テスト開始1カ月ぐらいまでの間は影響がみられており、むしろ支援活動を起こすまでの販売増に至らなかったことが、継続的な支援活動に結びつかなかったとみられる。

                                (クーポン企画室 大木眞煕)

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