ブランド連想調査の活用法 ~提案ブランド構築に対する広告の役割と効果の捉え方~

青島弘幸
ソリューション推進局 コミュニケーション事業推進部
青島弘幸
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※本記事は2015年に発刊したVR Digest に掲載されたものです。

「モノづくり」から「価値づくり」へ

日本は海外に比べ「モノづくり」は上手だが、「価値づくり」は下手だといわれる。「価値づくり」は「ブランドづくり」という言葉にも言い換えうる。ブランド論は日本でも1990年代後半から盛んに議論されるようになり、マーケティングの重要な課題と認識されるようになった。例えば家電・デジタル市場では、 世界的にみても先進的な技術を駆使した『商品・製品』は今も生み出され続けているが、海外の『ブランド』に人気が集まり苦戦していたりする。

ブランドは直接観測できない仮説的な概念なのでわかりにくいため、商品を生み出す側にとっては、ブランド力を機能や性能というスペックで捉えた方がわかりやすい。このため日本では、商品力を高めることとブランド力を高めることをイコールに捉えて、機能や性能の高い商品を作れば売れるという考えは依然根強いようだ。しかしブランドとは、商品に内在するものではなく商品の周りを包み込む見えないパッケージのようなもので、消費者の認識と結びついて生じる力なのである。ブランドを重視する企業はスペックだけに走らず、消費者のブランドへの知識構造を把握することで、価値の源泉を探りそれを育成・維持しようする。売上や利益目標を達成することはもちろん重要な課題であるが、企業が強いブランドを築く目的は『社会で実現したいビジョンを持つ主体的で個性的な存在を確立したい』という"想い"にあるからだ。例えば、化粧品ブランドのケイトは、発売当初あえて短期的な売上にマイナスに働く方針をとった。ケイトのフラシュクラッシュというアイシャドウ・パレットは、発売から大ヒットを記録した。すると翌年、単品だけを取り扱う店舗が増えてしまったため、陳列用什器に商品を吊り下げることもできるパッケージの「フック穴」を削除、あえて陳列を不便にするリニューアルを施した。単品で置かれる店舗を増やすより、ブランドの世界観を伝えることを重視したかったからだ。

これは日本企業の事例であったが、ブランドを経営の礎に据える考え方は欧米企業の方が広く浸透しているといわれる。多くの企業買収を通じて、ブランドという無形資産を評価し保護する土壌が育っているからだ。例えば、知的財産権というブランド価値の法的な整備が進んでいる。

日本においてもようやく今年4月、テレビCMのジングル(音)や色、映像も商標登録の対象にできる改正商標法が成立し、来年までに施行されるようになる。実は韓国や台湾では、すでに商標登録が認められている。アメリカにおいては、スローガン、色の組み合わせ、動き、味や香り、手触りまでも商標登録の申請が可能だ(※但し、味や香りの実際の登録例は少ないそうだ)。例えば、久光製薬のサロンパスについて、あの独特な匂いがアメリカで商標登録されている。今回の日本の知財制度改定は、海外企業に先を越されてしまって身動きが取れなくなってしまわないかという危機感が背景にあるが、このように商標改正が行なわれることで目に見えないブランド要素も「資産化」できることになり、ブランドに対する日本企業の考え方や取り組む姿勢について影響を与えるのではないだろうか。

ブランド・エクイティ(資産)の捉え方

ブランドは90年代後半から盛んに議論されるよう になったが、そのベースにはデイビッド・A・アーカー 教授の理論があり、日本の実務者、ブランド研究家 達に大きな影響を与えた。アーカー教授はブランド を管理する為に、ブランド・エクイティ(資産)という概念を提唱し、それを捉える4つの視点を提示した。

 ① ブランド認知

 ② ブランド・ロイヤルティ

 ③ 知覚品質

 ④ ブランド連想

(※⑤特許、商標権、チャネル関係)

何故これらの4点が重要なのだろうか。マーケティ ング的な意義はこうだ。

まず何より、ブランド知名度を上げることは重要だ。「知っている」ということは「知らない」ということよりも、消費者の心の中で自身と対象との距離感に影響を与える。つまり、知らないブランドは親近感情が形成されにくいので選ばれにくく、知名度の高いブランドである方が市場で優位に立てる。

そしてより多くのロイヤルユーザーを持つことは、マーケティングを展開するに当たって優位な基盤を持つことに繋がる。例えば、新製品が次から次へと投入される市場では売り場で商品の入れ替えが頻発するが、指名買いの多い商品は棚落ちすることを防ぐことができる。定期的な収入の確保は、次の施策への源泉となる。つまり、ブランド力を維持していく投資ができ好循環していく。

知覚品質とは消費者に知覚された商品の品質のことだ。実際に競合より高いスペックを持っていたとしても、伝わらなければ無価値である。知覚品質が高い商品ほど、マーケティング施策に対して高い反応を期待できる。例えば特売セールを仕掛ければ、知覚品質の高いブランドは低いものより、高い売り上げを記録するだろう。また、知覚品質の高いブランドは他のカテゴリーにブランド拡張する際、消費者に一定の品質保証を与える。

ブランド連想は、ブランドイメージを包含する概念だ。企業側には、自社ブランドをどう捉えて欲しいのかという意図がある。企業側の意図は、ブランド・アイデンティティと呼ばれる。その意図を伝えるためにコミュニケーション戦略が練られる。一方で、ブランド連想は消費者側がブランドに対し捉えたものである。だから、企業側の意図とは異なる予想外の連想が生まれ育っている場合もある。ブランド連想を把握することは、競合との間で有利なポジションニングを考える上で非常に重要なことである。

ちなみに昨今のブランド論では、企業と顧客との関係性の中で、相互に価値を創造していくことが提唱されている。これは「価値共創」と呼ばれる。

1990年代から2000年代前半のブランド論では、ブランド・アイデンティティ及びそこから提供される価値は、企業側の意思で市場に提供されるものだったが、SNSによる消費者との双方向コミュニケーションが普及する時代となり、ブランド・アイデンティティや提供価値を、企業の意思だけで生み出すのではなく、消費者から提案されたものを取り込んでいこうという動きが起こっている。この手法では、ファンサイトのような小さなコミュニティーでも、相互に深く関わりあうことで「創発」と呼ばれる大きな価値の発現が期待されている。例えば、「Nike+(ナイキ・プラス)」のような消費者のランニングの走行距離を管理する仕組みが世界中のランナーを結び、消費者間の相互作用によりナイキのシューズに新たな価値を生み出している。

ブランド価値の創造の仕方として異なる手法が出てきているが、そのコミュニケーションにより、「市場全体」でブランド価値がどのように伝達されているかを捉えることは引き続き重要なテーマであろう。 むしろ、消費者間で勝手に相互にやり取りされる部分が生じているので、以前のマーケティング・コミュニケーションでは起こらなかったブランドイメージの拡散も予想され、消費者のブランド連想を把握する重要性は益々高まってきている。

ブランド連想の捉え方

ブランド連想にフォーカスすると、日本の実務者に影響を与えたもう一人の学者としてケビン・レーン・ケラー教授の理論が上げられる。彼は、ブランド認知とブランド連想のふたつの要素からなる知識構造のモデルを提唱し、ブランド連想では「強さ」「好ましさ」「ユニークさ」に着目した次のふたつの視点を提示した。

① Point of Difference(差別化連想)

② Point of Parity(類似化連想)

「Point of Difference(差別化連想)」は、文字通り、消費者がそのブランドを購入せずにはいられなくなるような他のブランドと差別化されるブランド特有の連想のことだ。一方、「Point of Parity(類似化連想)」は、カテゴリーにふさわしく信頼できる製品だと消費者が認めるうえで必要な連想と、競合ブランドの相違点を打ち消すための連想である。つまり、「選ばれない理由を与えない連想」ということだ。

ケラー教授の主張は、『一般に差別化することだけが重視されがちだが、カテゴリーにおいて、どのブランドも共通して押さえるべきポイントがあり(Point of Parity)、それをはずさずに、他のポイント(Point of Difference)でいかに差異を出すのが問題になるのだ』ということである。

なお本稿では取り上げないが、ケラー教授は考えを更に推し進めてブランド構築にあたって考慮すべきポイントをピラミット上にまとめた概念を打ち出している。

ブランド自由連想の研究について

1.過去の研究について

ブランド・エクイティの評価として連想を定量化して利用しようと、1990年代から2000年代前半にブランド自由連想の研究が盛んに行われた。小川・木戸(1997)は、対象者にブランド名刺激による自由連想をさせた後、連想語がブランドにとってプラスであるのかマイナスであるのか評価をさせた。これをPINS測定と呼び、ブランド連想の「強さ」「広がり」「一貫性」という指標を提示した。更に、豊田(2002)は、連想語の評価に対しPINS測定に加えて情報エントロピーを使った重みづけによる、ケラー教授の差別化・類似化連想の定量化を試み、ブランドの訴求点抽出の示唆に繋がる分析方法を提唱した。筆者もこの時に彼の研究の協力を行い、作成された指標(スコア)は次のような解釈ができると考えた。

①差別化連想スコア

強く、好ましく、ユニークな連想かどうかを評価したスコア。ブランドが差別化された連想を持つことは、消費者を「専有」する可能性を高め、すなわちブランドのロイヤルティを高めることに繋がる。

②類似化連想スコア

強く、好ましく、どのブランドにも共通に出てくる連想かどうかを評価したスコア。ブランドがこの連想を持つことは、他のブランドと消費者を「共有」する可能性を高め、すなわちブランドのユーザー(リーチ)を広げることに繋がる。

このブランド連想評価方法について、タイヤブラ ンドで実験調査した結果をもとにご紹介する。タイヤは多くの消費者にとって、あまり頻繁に買う商材ではなく購入前に品質が予想しにくいものである。あるいは購入した後であっても、その品質について評価することは難しい。また、外見からどこのブランドのタイヤかを判別することすら、多くの消費者には難しいだろう。しかし、どれを買っても変わらないからといって選択されるようでいて、自分の命を預けるのだという極めて重大な性格も併せ持つ。コミュニケーションよる商品の意味づけが大切なカテゴリーであろう。

2.実験調査概要 調査時期:2014年8月 対象者条件:20~59歳男女。関東1都3県に居住し、自身で月1回以上車を運転する方 獲得サンプル数:1238サンプル 調査手法:インターネットリサーチ 対象ブランド:ブリヂストン他5つの企業ブランド

過去のブランド自由連想法の研究では、ブランド名を一つひとつ提示して記入させる方法をとったが、今回は差別化・類似化連想をより明確に測定するために、複数のブランド名を併記して呈示し対象者に自由連想させ、どのブランドが連想語と結びつくのかを答えてもらった。実際の売り場では複数のブランドが並ぶ中で消費者に選択される環境にあるの で、ブランド名併記の自由連想の方が消費者の心の中のブランド間の競争状態を表せると考えた。(※ブランド名を一つひとつ提示して連想させた場合の方が、個々のブランドについて豊富な回答が得られやすいので、研究の目的によって使い分ければよいと考えられる)。

3.差別化連想スコア・類似化連想スコアとブランド総合評価との関係

各ブランドの類似化連想スコア、差別化連想スコアをプロットしてみる【図表1】。

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ブリヂストンは右上に位置し、ブリヂストンだけに出現するような好ましく差別化された連想も、他ブランドと好ましく共有された連想も、どちらも高いことがわかる。

同じ調査から測定されたブランド考慮率(買って もいいと回答した割合)、第1考慮者の割合(ブランド考慮者ベース)をプロットし【図表2】、比較してみると、ブリヂストンが断トツに強いがブランド間の順序関係は似ている。このように豊富で好ましい連想を持つことがブランドが考慮されることに繋がる理由は、連想がブランドを思い出す「手掛かり」になるからだ。

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それは、購買時点でもブランドが検索される可能性を高めるだろう。そして更に差別化される連想を持っていれば、唯一選択される確率を高めることに繋がるのだ。

ブランド構築の理想は、まずある種のこだわりや差別性のある世界観を消費者に伝え、【図表1】の左上のポジションをとることだ。そして、差別化連想だけで類似化連想を持たないとユーザーが広がらずニッチブランドとなるので、その後には、どのブランドも好ましく共有される連想を強化して右側に移動することを目指していく。最初に類似化連想を強めて右下に位置取りし右上を目指す方法もあるが、最初に右下にいくことができるケースは多くの場合、ヒットしたブランドのおかげでユーザーを広げられている二番煎じのブランドであり、普及した後に「個性」をつけるのは難しい。

分析対象の中でブリヂストンに次いで強いブランドが構築できる可能性を感じるのはM社である。M社は差別化連想スコアが高い割に、ブランド評価では第一考慮割合が高くない。ブリヂストンの他、D社やY社に比べ類似化連想スコアが低く、「選ばれない理由」を与えてしまっているだろう。タイヤ市場で新車装着率を高めることは難しく、M社にとってはユーザーがタイヤをリプレイスする時が主戦場になる。少しでも「指名買い」を高めるには"差別化"することが有効だろうと考えがちだが、他のタイヤブランドと共通に連想されるモノを"顕在化"させることの方が重要なのではないかと考えられる。

4.ブランディングに対する広告の役割 について

ブランド連想の差別性や類似性の高さが、ブランドのロイヤルティやユーザーの広がりに繋がりがあることを示したが、具体的にどんな連想を高めると ロイヤルティの維持ができ、また新規ユーザーを獲得できるかがわかると、コミュニケーション戦略を考えるときに役に立つ。ブランド連想調査からブランド 構築に関するサジェスチョンを得るには、対象者の心の中でブランド連想とブランドのイメージ評価がどのように繋がっているかを可視化できるように設計し、把握した繋がりがブランドに対してどのような効果を生み出しているのかを詳細に検討することが必要だ。何故なら、ブランディングに対する広告の役割は、商品に内在するものを伝えて消費者へ説得をはかることではなく、むしろ商品の内側に は存在しない「価値観」や「精神性」、「領域(テリトリー)」、「規範」といった概念を商品に関係づけることにあるからだ。

この「関係づけ」としての広告効果の考え方を、田中洋教授(中央大)は著書「新広告心理」(1991) の中で試論として次のように書いている。

『広告の働きは本来では自然に結びつかない概念 同士を記憶の中でリンクさせ、様々な購買状況と競 合状況の中で、その銘柄の購買に有利な状況を作り出すことに他ならない』

田中教授は、『関係づけとしての広告効果の概念は世の中にあまり受け入れられなかった。』と何かの著書で述べられていたが、先ごろNHK Eテレで放送された「ニッポン戦後サブカルチャー史」(2014年9月12日放送)では、著名なCMクリエーターの川崎徹氏が『現在多くのCMは、効率よくメッセージを伝えたいと思うあまり、自分たちのメッセージだけ伝えようとして惨敗している。広告とは一見、無関係な価値観を商品に付けること、商品の脇におくことでアピールするものだ』と、同じような趣旨の発言をされていた。確かに広告が持て囃された1980 年代や90年代と現代社会は環境が異なるが、情報過多な時代だからこそ商品に関連のない"突飛な連想"を商品に関係づけることが、消費者の記憶の中でブランドが検索される時に有効に働くのだ。商品のコモデティ化が進む時代だからこそ、商品の外側に"意味づけ"を行うことが購入選択時に商品間の違いを発現させるのだと考えられる。

5.ブリヂストンのブランド連想からブランディングの強化ポイントを探る

前節でブランド連想とブランドイメージ評価との関連性を確認することが大事だと述べたが、それ以前に一体どのブランドイメージを強化すべきなのかを判断しなければならない。今回の実験調査では適当なイメージ項目を用意したが、ブランドのアイデンティティや価値観、精神性、領域、規範、便益など、打ち立てたい戦略に関連した項目を慎重に吟味して調査を設計すべきである。

また分析において重要なことは、既存顧客の維持に重点を置くのか、それとも新規獲得か、あるいはその他の切り口かといったターゲティングの視点であろう。これは様々なアプローチがあろうが、今回はブリヂストンを例に、ブランド第1考慮とブランドイメージ評価の関係性から重視すべきイメージを抽出する。つまり、ブリヂストンを第1考慮に上げる者が特徴的に持っているブランドイメージを大事にしていこうという既存顧客の維持に重点を置く戦略である。

強化すべきイメージの発見は、ブランドイメージの有無と第1考慮の有無のクロス集計から探すのがシンプルな方法だが、他のイメージの交絡により関係が強くみえてしまうかもしれない。他のイメージの影響を考慮に入れたときの正味の効果を探りたい場合は回帰系や分類系の分析方法が役に立つ。つまり、第1ブランド考慮を目的変数、ブランドイメージを説明変数としたモデル分析を行なう。【図表3】は第1ブランド考慮に対するブランドイメージの重要度を表したものである。

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【図表3】から、「一流である」、「品質がよい」、「信頼できる」といったイメージとブランド第1考慮との関係が強いことがわかる。全体の傾向としては、「乗り心地」や「耐久性」といった機能的なイメージは順位が低く、抽象的な手がかりに注目する傾向がみられている。自分や家族の命を預けるというタイヤの商品特性から「品質がよい」「信頼される」は満たさなければならないイメージであることはよくわかるが「、話題性のある」とか「個性的な」というイメージは重視されず、「一流である」といった『格付け』が商品選択に効いているようだ。

では例えば、ブリヂストンの「一流である」というイメージ評価と結びつくようなブランド連想にはどのようなものが上げられるだろうか。【図表4】は、差別化連想スコアの高いものを表示している。

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一番上位にある「F1」は、ブリヂストンが1997年から本格参戦して築いた連想である。ブリヂストンの高い技術力を世界最高峰のカーレースで示し、差別化された連想になっているが2010年に契約満了につき撤退しているので、今後この連想は弱まっていくと予想される。ブリヂストンは今年、新興市場攻略を目的にオリンピックのTOPスポンサーになったので、今後は「オリンピック」という連想が出現してくるだろう。

ブリヂストンはオリンピック種目である自転車やゴルフ(リオデジャネイロで復帰)に関係があり、これらの競技とブリヂストンとの関係づけがオリンピックのコミュニケーション活動を通じて更に強化されると予想される。しかし、自転車レースやゴルフ競技にとってオリンピックは決して世界最高峰の大会ではないので、「一流である」という『格付け』には機能しないのではないか。オリンピックをブリヂストンに関係づけてコミュニケーションを展開する際には、自転車やゴルフといった特定競技に拘らず全く新たな別のイメージを形成するつもりでオリンピックのブランド価値を探り、その概念とブリヂストンを関係づけるほうが効果的だろうと考える。

また「一流である」というイメージを補強したい場合は、【図表4】から「一流である」というイメージが「自転車」という連想からも醸成されうる可能性を示しており、新しい自転車の開発や自転車に関連する社会的な貢献活動といったアプローチが考えられる。一方、競合からみれば「一流である」というイメージがブリヂストンの強みであるので、どこか領域(テリトリー)を絞って格付け訴求することで崩していく戦略が考えられる。

最後に

強いブランドは「関係づけ」という広告の働きを活用して、商品の外側に「見えないが魅力的な衣」をまとっている。例えば、スーパードライは長年訴求し続けた「挑戦精神」という衣をまとっている。近年のコカコーラは「幸福(happiness)」を商品に関係づけようとしている。トヨタウンは未来のドライビングの規範を育てようとしているようにみえる。このような精神的価値の高いモノがブランドに関係づけられると、もともと持っている商品力が増幅される。

今後、「モノづくり」から「価値づくり」へ企業の意識転換が進むと、機能訴求による「説得」を重視した広告よりも、ブランディングを重視した広告が増えていくだろう。その際、本稿で述べたようなブランド連想を測定・分析すれば、関係づけようと試みたコミュニケーションがうまく機能しているかどうかが把握できるだろう。

【参考・引用文献】 小川孔輔 / 木戸茂(1997)「ブランド自由連想の分析」中西正雄編(消費者行動のニュー・ダイレクションズ 関西学院大学出版会)豊田裕貴(2003)「ブランド自由連想分析による類似化・差別化ポイントの尺度化(日経広告研究所報 207 号) デイビッド・A・アーカー / 陶山 計介他(翻訳)(1994)「ブランド・エクイティ戦略」(ダイヤモンド社)ケビン・レーン・ケラー / 恩蔵 直人・亀井 昭宏(翻訳)(2000)「戦略的ブランド・マネジメント」(東急エージェンシー) 田中洋 / 丸岡吉人(1991)「新広告心理」仁科貞文監修(電通)

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