ACR/exと広告キャンペーン調査結果を組み合わせたメディアプランニング

鈴木 暁
ソリューション推進局 ACR/ex 事業推進部
鈴木 暁
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※本記事は2015年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

はじめに

マーケティング施策のひとつを構成する広告キャンペーンを展開する上では、

・作成プランでどれだけの人に到達するか、どれくらいの広告認知率/ブランド認知率を獲得できるかを事前に評価【Plan】

・出稿実績や広告診断などの実績・蓄積データによる検証に基づいた科学的なプランニング

【Check】

・実績を検証して次回プランニングに活用し、データに基づいた効果的な広告PDCAを実施【Action】が、必要かつ重要な要素です。

設定された広告キャンペーン目標に対して、媒体計画や表現計画を策定し事後の評価を行い、次キャンペーンの計画にフィードバックさせるという流れです。

本号では、「ACR/ex」を中心として他のデータを組み合わせてメディアプランニングに資するサービスを紹介します。

媒体到達

媒体到達における効果指標として、リーチやフリ-クエンシーが一般的に用いられています。広告にどのくらいの人が接触したか(リーチ)、何回接触したのか(フリークエンシー)を表す指標です。

当社は「R&F++」という名称の複数メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、交通、街)の広告接触回数を推定するアプリケーションを提供しています。ある出稿計画に対してメディア別及びミックスした広告接触回数分布を指定したターゲットで推定します。

このような機能を持つ「R&F++」ですが、対象メディアが上記6メディアに制限されているのでインターネットなどのメディアは対象外ですし、性別・年代・職業をベースとした32のターゲットで固定されているのでその他のターゲットでの推定ができません。そこで、現在メディア拡張とターゲットを任意に設定できる機能を追加して、「VR-CIP(注1)」での提供を計画しています。

●任意ターゲット、 インターネット

一例として、以下のキャンペーンを想定して媒体到達の推定を行ってみました(データは「ACR/ex」2014年4月調査)

<目的>

高級乗用車のキャンペーンに際して、富裕層をターゲットにプランニング

<ターゲット>

世帯年収1000万以上かつ世帯金融資産3000万以上かつ運転免許所有(注1)「VR-CIP」とは、ACR/exサービスに合わせ、新たに構築した集計・分析システム(ASPサービス)

<出稿プラン(関東地区)>

・テレビ:逆L 型5局×各50本

・ラジオ:全日型11局×各10本

・新聞:全国5紙×各1回

・雑誌:男性誌5誌×各1回

<ポイント>

従来の区分M2、M3(男性35歳以上)と比較したい。テレビでリーチ獲得、ラジオはドライバー向け、雑誌・新聞で機能訴求【図表1-1】が、富裕層ターゲットでの媒体到達の結果です。比較のため、35歳以上男性での結果も併記します【図表1-2】。

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富裕層でのミックスリーチは94.8%、平均フリークエンシーが8.5回、GRPが805.2%となりました。メディア別にリーチを見ますと、テレビで85.5%、ラジオで11.9%、新聞で66.9%、雑誌で6.1%獲得しています。

同一プランでの指標を35歳以上男性と比べると、ミックスリーチでは殆ど差がありません(94.8%と93.9%)。しかし、媒体別リーチを比べると、テレビ・ラジオ・雑誌では35歳以上男性ターゲットの方が高くなっていますが、新聞では富裕層ターゲットで高くなっています。これは富裕層の方が新聞に接する機会が多いということが要因です。

このプランにインターネットを追加してみました【図表2】。富裕層のミックスリーチを比べてみると、(※インターネットは特定2サイトに1週間露出したケースを想定。)インターネットでの出稿を追加することでリーチが94.8%から98.3%と3.5%上昇しました。インターネット単独の到達だけでなくメディアミックスでの到達を推定することで、広告キャンペーンを総合的に評価することができるようになります。もう一例、「ACR/ex」の商品意識項目を使って 媒体到達を推定した事例を紹介します。【図表3】は、特定のブランドA(ソフトドリンク)の特徴を知っているのか否かで30~49歳女性を二分割して、テレビ(60本×5局、逆Lで出稿)の到達を比較したものです。

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ブランドAの特徴をまだよく知らない層でのリーチが3%ほど少なくなっています。

テレビの出稿本数を40本×6局に減らして、その代わり雑誌(5誌)と交通(3 路線)を追加しました。リーチ推定の結果が【図表4】です。テレビの本数を減らしたのにかかわらず、ブランドAをよく知らない人でのミックスリーチは91.6%から94.6%に増加しました。雑誌と交通に出稿することで、リーチ獲得と内容訴求の双方の効果が期待できそうです。

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広告認知

出稿プランに対する媒体到達の効果・効率について述べてきましたが、次のステップとして広告認知に関してモデル化を試みた事例を紹介します。

【図表5】は、TVCMカルテ調査を基にしたテレビGRP対するTVCM認知率の関係を表した模式図です。

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このような図、すなわち、出稿量と広告認知率の関係式を他のメディアでも作成してミックスすればキャンペーン全体の出稿に対する効果・効率が推定できます。

【図表6】が全体像です。メディアGRP→広告認知率を個別に【図表5】のような関係式で予測し、キャンペーン全体の認知率は「キャンペーンカルテ調査」(注2)を使ってモデル化します。

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●キャンペーン認知率の推定

【図表7】が各メディアの出稿量からキャンペーン認知率及び各種態度変容率を推定した結果です。

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メディア毎に、出稿量(GRP、imp)に対する認知率を推定します。テレビの場合、1,100GRPの出稿で認知率64.5%獲得できます。テレビ以外のメディアでも、【図表5】に相当する関係式でそれぞれ認知率を推定します。

次に、メディア別の出稿量と個別認知率からキャンペーン全体の認知率を推定します。推定には、キャンペーンカルテ調査から得られた回帰係数を使用します。【図表7】の例では、キャンペーン全体の認知率は76.5%となっています。

(注2)キャンペーンカルテ調査:オムニバス形式による広告キャンペーン到達・意識・行動のインターネットで調査。

態度変容率は、何%上昇/下降するのかという値です。興味関心度が14.8%となっていますが、これは、もともとの興味関心度が50%だったとすると50%×0.148=7.7%上昇し、57.7%になるということを意味しています。

●目標キャンペーン認知率とメディア配分

いくつかのシナリオ<メディア別出稿量のバリエーション>を用意しそれぞれで認知率を推定し、より良いプランを探索するというのも可能ですが、キャンペーン認知率の目標値を設定しそれを実現するためのベストな配分をシミュレートすることも可能です。

【図表8】では、キャンペーンの認知率の目標値を70%としてそれを達成するためのメディア予算を算出した例です。

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媒体毎の単価と媒体毎の最小出稿量と最大出稿量などの制約条件を設定します。

そうすると、メディアのベストな配分(GRP、imp)と必要なキャンペーン予算をシミュレートします。

おわりに

本号ではメディアプランニング<出稿、媒体到達から広告到達まで>に資するサービス開発を紹介しましたが、この内容は2014年12月に実施したコミュケーション・セミナーがベースとなっています。

「R&F++」の改良・拡張版は2016年秋リリースする予定です。また、キャンペーン認知推定モデルに関しては、お客様のご要望に沿ったカスタム開発で対応していますので、ご興味をもたれましたら、当社営業担当までお問い合わせ下さい。

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