商品を心に残すには「わかりやすさ」がキモ~キンカン塗っとこオヤジ登場編~

青島 弘幸
ソリューション局 マーケティングソリューション部
青島 弘幸
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 この夏も、「プーン」というあのムシの飛ぶ音を何度も耳にしたのではないでしょうか。特にわざわざ耳元に飛んでくるのはなんで何でしょうか。刺されてしまうと、痒くなって不快極まりないですよね。でもそんな時、昔から役立つのが『キンカン』です。今回は、金冠堂が今年新しいCMを出稿したのでそれを取り上げてみたいと思います。

 ご紹介するCMの出稿量は小さいので、直接TVで見られた方は少ないと思われますが、前回取り上げた赤城乳業Sof'のCMと同様、「キモ面白さ」で注目を引くCMです。このCMはコチラからご覧いただけます。

 このCMを見た対象者の感想には、「気持ち悪い」という意見もチラホラみられました。絵がややグロテスクな感じで濃いですよね。しかしそれ故に、個性的でインパクトがあるCMです。

 ただ、前回の赤城乳業Sof'のCMと違い、対象者からは「かわいい」という意見も目立ちました。お腹の出た禿げ頭のオヤジさんは普通人気のない存在ですが、それを大きくて丸い頭とつぶらな瞳、短いあごといった「ベイビーフェイス効果」を最も強く引き起こす要素で描いているからです。

 オヤジが黄色いランニングシャツに短パンを着れば普通、不気味に感じますが、ベイビーフェイス効果によって、赤ん坊のように無邪気で純真な性質を持つ存在に転換しています。インパクトを保ちながらこれを商品に関係付けしているCMになっています。

 下図にクリエイティブカルテの結果を示します。クリエイティブカルテ全業種ノーム値や前回の赤城乳業Sof'のCMと比較してみています。

<男女15-69歳>  

kinkan1.png

※調査期間   塗っとこオヤジ登場篇:2017/5/16 ~ 2017/5/18

                    Sof'篇:2016/4/17 ~ 2016/4/28

 全業種ノーム値との比較から、キンカンとSof'のCMはどちらも、「ざん新」で、「インパクト」があり、「独自性を感じる」と評価されるCMでしょう。どちらもキモ面白い作りがこのスコア差の要因だと考えられます。ただし、キンカンのCMはSof'に比べると、「わかりやすい」でかなりスコアが上回っていることが分かります。ここから両者にどんな違いが表れるのか考えてみます。

 下図はクリエイティブカルテの全業種669素材の「わかりやすい」と「商品・サービスの印象度(心に残る)」のスコアの関係性をみたものです。

<クリエイティブカルテ調査素材の結果から導いたわかりやすいと

商品・サービスの印象度の関係性>

kinkan2.png

 CMの内容がわかりやすい方が、商品を心に残しやすい傾向にあります。今回のキンカンのCMもこの法則に乗っ取り、平均的なCMよりも商品・サービスの印象度が高くなっています。

<商品・サービスの印象度>

kinkan3.png

 では、キンカンのCMがわかりやすい理由をいくつか考えてみましょう。

 まずキンカンは虫さされ・かゆみ以外に、肩こり、打撲、捻挫などにも効果がある万能薬ですが、虫さされ・かゆみにしぼって商品の使い方を描いている点がCMのわかりやすさに繋がっています。

また、蚊がリアルに描かれ、蚊にさされる男の子、女の子について、15秒で2回繰り返し訴求している点に作りの特徴があります。そしてナレーションも「キンカン塗って、また塗って」と繰り返されています(※唄っているのはグッチ裕三さんです)。虫さされに、とりあえずキンカン塗っとこ、とシンプルかつ素朴に、繰り返し訴求するという手法によりわかりやすさを高めています。これは、定番感を植え付けさせる効果も期待できます。

 キンカンは大正15年に発売された伝統ある商品です。今回のCMは、昭和っぽいレトロな、ノスタルジーを感じさせる画調で描かれています。これにより積み上げてきた伝統が表現されて、昔からある商品なんだなぁと伝わります。昭和っぽい画調は、商品の伝統を伝えるために計算された施策なのでしょう。奇抜なクリエイティブなのに商品との違和感の無さも、きっとわかりやすさに繋がっていることでしょう。

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