F2ママのリアルライフ ~3つの動線から見えた新しいF2の「普通」~

村田 玲子
ひと研究所 f2ラボリーダー
村田 玲子
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f2ラボは、社会環境や価値観の上で大きく変化しつつあるF2を「世代」「年代」「時代」の3つの観点で特徴を整理することから研究をスタート。3-4月号では、ライフコース別に推定シェア数を算出した上で、セグメント別に日常行動や1日のメディア接触の違いについて紹介しました。

以来さまざまなお客さまとお話を重ねるうち、ライフコース・ライフスタイルやデバイスが多様化したF2に対し、どのように情報を届けたら良いのかヒントを探している方が多いことを改めて感じています。

そこで今回は、F2の情報との関わりを生活の中で理解するために、f2ラボがお話を伺った女性たちをケーススタディとして、「情報動線」「生活動線」「心の動線」の3つの動線を紹介します。なお、今回はF2の7割を占める「子供あり女性(本稿ではF2ママと表記)」に焦点を絞り、話を進めさせて頂きます。

ミドル女性研究チーム「f2ラボ」とは

ビデオリサーチのミドル女性研究チーム「f2ラボ」では、メディア業界で一般的にF2と呼ばれる女性35~49歳を主として、彼女らの生活実態や本音を捉えるための研究を行っています。今回は3-4月号に続きf2ラボの取り組みを紹介させていただきます。

F2ママの情報動線やいかに?

基本3タイプ。情報の伝わり方は加速中!

F2ママの主要な情報動線は独自に築いたコミュニティです。コミュニティの種類を集約すると、「家族」「子供を介したコミュニティ」「仕事コミュニティ」「趣味を通じた友人」「学生時代の友人」の5要素で、それぞれの要素別で数や人数に多寡はありますが、動線の形としては次の3タイプに分けられます。

Kさんのケースは『子供を介したコミュニティ中心タイプ』。動線の中で「住宅ママ友」、「子供の習い事ママ友」、「小学校ママ友」の3つの「ママ友コミュニティ」に存在感があります。この3つの「ママ友コミュニティ」は、それぞれ微妙に役割が違い、Kさんは状況に応じ使い分けているそう。情報の過不足を補い合う重要なコミュニティで、生活の基盤になっています。

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ちなみに、F2ママが複数の「ママ友コミュニティ」をもつことは珍しくありません。子供の成長や出会いに応じ生まれたり消えたりしながら、一定数維持されるのが「ママ友コミュニティ」というもの。子供たちが遊び仲間であることや、成長過程での子育ての悩みが共有できることは重要で、子供の年齢や性別が同じ親同士が繋がりやすい傾向があります。なお子供が小さいF2ママでは、出会いのきっかけが「産後の子育てクラス」や「ベビースイミング」などのケースがみられ、昨今行政やNPOが地域の子育てサポート事業を進めていることや、習い事が低年齢化している背景から、かつてより「ママ友コミュニティ」の早期形成がすすんでいる可能性があります。

続いてSさんのケースは、『5要素備えたバランスタイプ』。ママ友以外に共通の趣味コミュニティや職場の同僚といった5要素が揃っています。暮らしの中で多様な趣味を楽しむ女性は多いうえ、今のF2ママは結婚や出産以前に職業経験があり、子供の成長後に再就職する人や育児休業を取得し就業を継続する人が増えています。現在~将来のF2ママはこのタイプが多いかもしれません。

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さて、F2ママコミュニティの連絡ツールはいまやほぼLINE。幼稚園・保育園・学校では学級連絡網化が進んでいるといって過言ではなさそうです。それを理由にスマートフォン(以下スマホ)に買い換えたというエピソードも聞かれました。F2全体でのスマホ所有率はこの1年で78%から86%(※)に増加しましたが、こういった事情から後押しされたF2も少なくないかもしれません。

最後にNさんのケースは『趣味コミュニティ中心タイプ』です。子育てのステージが変わり「子供を介したコミュニティ」が卒業気味で、芸能人の追っかけ等の趣味活動に勤しんでいます。ちなみにNさんの趣味コミュニティは、SNSからリアルに発展したコミュニティ。地理的に離れた人たちとも密接な情報動線をもつケースとして、これからのF2ママに増えるかもしれません。

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以上具体例から3つの情報動線のタイプを紹介しました。共通するのは、彼女たちがリアルなコミュニケーションに留まらずSNSを活用していること。今のF2ママがブログやmixi等のオンラインコミュニティを若い頃から経験してきた世代であることも大きいでしょう。彼女たちのオンライン井戸端会議の比重はますます高まって、コミュニティ内で交わされる情報の量は増え、伝わるスピードも早まりそうです。

※ACR/ex 2015年4-6月および2016年4-6月データより。 いずれも東京50Km圏データ。

子供を介したコミュニティ中心タイプ

「住宅ママ友」は団地内で知り合い、他校の習熟度・学校運営の比較や暮らしのお勧め情報が主。「子供の習い事(ピアノ・水泳)ママ友」は、教育関心度が近いため中学受験や習い事情報が中心。「小学校ママ友」は校内トラブル情報や行事運営に関わる情報を交換。ママ友が多く"会ってしまうため"、急ぐときは車で遠くのスーパーに行くことも。

5要素を備えたバランスタイプ

「幼稚園ママ友」は、子供のフットサルチーム保護者が自らプレイする"ママさんフットサルチーム"に転身。家族ぐるみの主要なコミュニティに。「趣味仲間」はアクセサリーを手作り市に出品し、共通Facebookページで発信も。

趣味コミュニティ中心タイプ

「セカオワ仲間」はtwitterで知り合ったアーティストのファン仲間。ライブ終了後は打ち 上げ、全国ツアーの際は家に泊めあう仲。「舞台挨拶仲間」は芸能人の舞台挨拶を見に行く コミュニティ。「犬仲間」は毎日の散歩で知り合い、LINEで犬自慢も。ちなみに「近所」は震災以降に関り始めたそう。

F2ママの生活動線とメディア接触

F2ママのルーチン&ルール

続いて、先ほどの3人の平日一日の生活動線を見てみましょう。3人の朝は早く、起床時間 は5~6時。7~8時まで朝食・お弁当作り、家族の通勤・通学の準備や洗濯等の家事、自身の身支度に追われる最も慌しい時間が始まります。

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メディアの接触状況をみると、3人とも家族が起床する前後でニュース番組をつけ、時間に 追われながらも時刻と天気をメインにその日の情報をおさえています。ちなみにSさんは家族より早く起床し、夜のうちに届いたメッセージ等のチェックと返信を行う習慣があるとか。家族を送り出した後にパート勤務のSさんは出勤、専業主婦のKさん、Nさんもそれぞれの自身の行動に入ります。生活動線とメディア接触を細かく見ていきましょう。

Kさんは最初に趣味の家庭菜園の手入れに向かいます。その後帰宅して、残った家事を済ませ買い物に外出。友人とランチして15時ごろまで過ごしながら、合間にYahoo!などの検索サイトをいじっています。帰宅後は子供の習い事の送迎や夕食準備をこなし、夕食時に子供の希望でバラエティ番組等のTVを見るそう。子供を風呂に入れて21時頃に寝かしつけながら一緒に就寝し、23:30頃再び起床します。その時間"見たいテレビは終わっている"ので子供を起こさないよう細々とした家事や用事を済まし、25:30頃に2度目の就寝。ちなみにKさんは、ママ友コミュニティとの関わりが強く、各コミュニティで定期的にランチするため日中は外出がち。そのため家事は午前中に集中して終わらせ、午後フリーにする習慣のよう。なお在宅の際は、撮り溜めたドラマを見ることが多いそうです。

一方、Nさんは午後の買物を除きTVを見て過ごします。芸能人情報やエンターテイメント情報への関心が高く、彼女にとってTVは重要な情報源。日中の在宅を好み、18~21時も子供が塾でおらずフリーに過ごせることが、テレビと密着した生活を送る背景になっています。家族が帰宅する21時以降はチャンネル権を渡し、ネットの芸能ニュース等をチェック、25時に就寝しています。

Sさんは、仕事から帰宅してすぐ夕食準備。その間ニュース番組をつけますが、KさんNさんと異なり食事中はTVを消しています。夕食は家族で会話する時間にしたいということが理由ですが、子供がTVに夢中になり食事や就寝が遅くなることを避けたいという事情も。仕事を持つ F2ママは、時間管理のため日々のルールに厳しくなりがち。

なお、最近のSさんにとってのTVは、朝晩ニュースを"ラジオみたいに耳で聞くものに近い"とか。仕事と趣味に忙しいF2ママからはときどき聞かれるエピソードでした。

以上3人の例のように、朝夕は家事で忙しいという共通項がありながらも、習慣や価値観で一日の生活動線やメディアの接触が異なることがわかります。一人ひとりの生活者のケーススタディに学ぶことは多く、定量データをより深く洞察することにもつながります。その両面から生活者の生活動線の中でのメディアの役割を理解し、生活者の過ごし方や気持ちに寄り添うことで、情報やサービスをより好ましく受け入れてもらえるための解に近づけるのではないでしょうか。

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※ACR/ex 2015年4-6月東京50Km圏データより 女性35-49歳(N=720)の生活行為率。1日の行動を「起床在宅(家にいて起きている)」「睡眠」「外出」の生活行動の行為率(3つの時間量を足すと24時間)と、メディア接触の行為率に分けてグラフ化しています。グラフ上部と下部でスケールが異なることにご注意ください。インターネットはメール・SNS除く。SNSはアプリ利用の無料通話を除く。

F2ママの心の動線

ひとり5つはタラレバ有り!

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最後にF2ママの「心の動線」として、普段の生活で頭の中を占める割合が高い事柄と、心の奥に潜んでいる欲求を紹介します。

今回お話を聞いたF2ママのケースでは、例外なく頭の中はほぼ「家族のこと」が大半を占めていました。ざっくり頭の8割くらいとみて良いかもしれません。その他には、「仕事」「趣味」が同程度の割合で続き、残りは「健康」「美容やファッションに関わること」「今度の休みの計画」「今日は何食べよう?夕飯どうしよう?」といったことが浮かんでいます。少々乱暴かもしれませんが、おおむねどのF2ママの頭の中(心の表層?)はこのような状況とみて良いでしょう。

ところが心の奥にはさまざまなつぶやき・叫びが渦巻いています。パンドラの箱を少し覗いてみましょう。総勢24名から聞かせてもらった130個の"F2ママのタラレバ"(=もし○○だっ たら・・、もし○○ならば・・)の一部を紹介します。

130個ということは単純計算で一人平均5個。一つひとつ目を通せばクスリと笑いたくなるもの、胸がきゅっとなるもの、鼻の奥がつんとなるもの、さまざまではありますが、以下5つに集約を試みました。

圧倒的に強いのは「自由時間が欲しい」ということ。F2ママは育児や家事そして仕事で自分の時間が限られ、やりたいことを我慢しています。今回お話を聞いた人は夫の帰宅が遅く、平日がほぼ母子家庭状態という人が多くいたことも関係しているかもしれません。続いて、「楽したい・ストレスから開放されたい」ということ。簡単なことからなかなかの難題もありますが、開放されるには、もし家族が○○だったら、という想いと繋がっていることも多そうです。そして、ズバリ「お金が欲しい」ということ。冒頭の「自由時間が欲しい」や「ストレスからの開放」の解決手段でもある、ふつふつと思いが綴られます。

さらには「変化・自信が欲しい」といった想い。導き出されるように最後は「人生をやり直したい・今と違う自分になりたい」という想いに駆られるようです。特に仕事や結婚出産などの節目で変化が多い女性ならではの切実さが感じられるものが目立ちました。

"北川景子さんみたいな顔になれたら、怖いものはなかったのに"というタラレバ(さきのSさんのタラレバのひとつです)は、難題ではありますが、一つひとつのタラレバに耳を澄ますと、モヤモヤや「不」の解消に相当なビジネスチャンスがありそうな気がしてなりません。普段彼女たちはこれらのつぶやき・叫びを心の奥深くにしまって生活していますが、この動線を伝って琴線に触れた商品やサービスには心がくすぐられたり、揺さぶられるのではないでしょうか。

最後になりますが、f2ラボはメンバーの多くがF2当事者です。今回ご紹介したF2ママ以 外にも、ライフコースセグメント的にはDINKS、お一人様と様々な立場で議論しています。お互いの常識が常識でないこともあり、多様な立場がいるからこその率直な疑問や気づきのある場ですが、時に普段の生活の中では避けがちなデリケートな話題に話がおよび、わが身を振り返ることも多々あります。この当事者としての感覚と調査・分析のノウハウの双方を大切に、まずは皆様の課題解決に役立つ研究のため、そして生活者の多様化の中で、より暮らしやすい社会を築くことに必要な相互理解の情報発信のため、それによって何より生活者が心が満たされる瞬間を増やすために、f2ラボはさまざまな角度でF2の今を研究・発信をしていきたいと思います。今後とも、どうぞご期待ください。

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