SNSで検索する若者 具体的な行動にむすびつけるには

ひと研究所
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当社の生活者に関する研究所です。研究領域ごとに専門性の高いメンバーを招集し、ターゲット研究や新しい「生活者セグメント」を開発することで生活者に届きやすいコミュニケーションの研究や企業が抱えるマーケティング課題の発見・解決などを行っています。

生活者の情報入手には様々な方法があります。なかでもインターネットでの「検索行動」は能動的な情報入手方法です。検索を通じた情報入手はスマートフォンの普及によって、場所や時間を選ばずできるようになりました。しかし一方、インターネットの情報は膨大な情報量ゆえに、必要ない情報が混ざっていたり、恣意的な情報であったりするため、情報を選択する必要があり、本当に欲しい情報にたどり着くのが難しくなっているという側面もあります。逆に企業側(情報を届ける側)からすれば、常に多くの情報に取り囲まれている生活者に、いかにして自社の情報を届けるかということが課題になります。今回は若者を中心に広がる「SNSでの検索行動」を取り上げ、多様な情報の入手方法から効率的な情報提供について考えてみます。

8割の若者がSNSで検索

インターネットの検索といえばGoogleやYahoo!を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。もちろんこれらのサービスは検索行動の中心にありますが、若者はこれに加えてSNSでの検索行動を活発に行っています。VRわかものラボがインタビューした若者からも「今流行のチークの写真がいろいろ出てきて便利なのでSNSで調べた」など、頻繁にSNSで検索していることがわかりました。

若者のSNSでの検索行動で主に使われているのは「Twitter」と「Instagram」です。TwitterやInstagramには「ハッシュタグ(#)」という機能が備わっています。念のため説明すると、ハッシュタグとは投稿をカテゴリ分けするキーのようなもので、ユーザーは自分の投稿に自由にハッシュタグをつけることができます。例えば、テレビ番組の感想をつぶやくときに番組名のハッシュタグをつけて視聴者同士で盛り上がったり、イベント名のハッシュタグをつけることで参加者がリアルタイムで現地の情報を共有したり、という使われ方をしています。

これによって同じハッシュタグのついた投稿をまとめて検索することが可能となります。若者は自分が知りたい情報を探す際にこの機能を活用しています。

[図表1]は、18~24歳の若者に検索に利用するサービスを聞いた結果です。先ほど上げたTwitterとInstagramはユーザーの8割が検索に利用しており、従来の検索サービスと同様の水準で利用されていることがわかります。若者にとってSNSでの検索は「当たり前」 になっているといえます。

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用途によって使い分け

では、若者はなぜSNSで検索をするのでしょうか?その理由は検索する目的にあります。検索をする若者になぜSNSで検索するのかを聞いてみたところ、「面白い情報が得られるから」「今話題になっている・盛り上がっている事柄がわかるから」といった項目がGoogleやYahoo!での検索理由よりも高いスコアになりました。「地震が起きたときや電車の遅延情報はTwitterのほうが情報が早い」「テレビで盛り上がっていることがすぐにわかる」というように、"今知りたい""共有したい"情報についてはSNSで検索する人が多くなっています。また、「人の本音がわかるから」という項目も高いスコアとなっています。

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SNS上で情報を発信しているのは一般のユーザーが多いため、恣意的な情報ではなく、より本音で語るリアルな情報を入手できるということが利用されている理由です。実際「お店の情報などは一般の人が発信しているほうが活用できる」「Instagramでは検索すると必然的に写真がついているので、ごまかしが効かずリアルな情報が得られる」という意見があり、情報があふれる中で自分にとってより有益な情報を求めてSNS検索を利用している様子が窺えます。

SNS検索されるシーンが多いのは前述の通りですが、だからと言ってGoogleやYahoo!の検索を使っていないということではありません。「知りたい情報がすぐ見つかるから」「情報量が多いから」「正確な情報が分かるから」などの理由で検索サービスを使用する割合が高く、若者は自分の知りたい用途によって使い分けをしています。一般ユーザーが多く発信するSNSの情報はリアルな意見が分かる一方、必要ない情報も多く、玉石混交であるといえ、ユーザーもそれを理解したうえで利用しています。

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上の図はどのような事柄をどの方法で検索しているかについて、コレスポンデンス分析をした結果です。Google、Yahoo!のような従来からある検索ツールは比較的様々な用途で利用されています。これに対してSNSでの検索ではInstagramが「ファッション・美容」など画像で直感的に理解できる、参考にできる"ビジュアル"重視の情報が検索されています。Twitterは「スポーツ」や「話題の情報」と"時間"を重視した情報、Facebookでは「料理レシピ」、「ビジネス」など"自分に役立つ"情報を検索しており、それぞれのSNSの特徴が検索行動にも表れています。それぞれの特徴と自分が知りたいことがらを上手くリンクさせて、自分にとって必要な情報を得られるように使い分けており、効率的な検索をしています。

企業が情報を届けるための3つのポイント

若者の検索行動が多様化していることを鑑みると、企業が自社の情報を届けるためにはアプローチの方法を検討することが重要になります。これまでの結果を踏まえ、3つのポイントを示したいと思います。

①SNS上での情報発信

SNSで情報検索をする若者に情報を見てもらうためには、まず自社の情報がSNS上にあることが重要です。自社の情報発信にSNSアカウントを活用する企業が増えていますが、掲載する情報を検索に引っかかるようにするためにハッシュタグなどのキーワードを工夫 することもポイントになります。SNS検索では店名や商品名などの具体的なキーワードよりも「#渋谷」、「#イタリアン」など比較的広いキーワードで検索されることが多いため、そのようなキーワードを投稿に追加することが大切です。

②提供する情報の使い分け

SNSを活用して情報を届けることは重要ですが、せっかくSNSを使って情報発信をしても、見てもらいにくい、見づらい情報を提供していては興味を持ってもらえる可能性は下がってしまいます。自分達が届けたい情報に合わせて、適切なSNSを選択する(SNSによって提供する情報を使い分ける)ことが重要になります。たとえば今実施しているキャンペーン情報など発信のタイミングが重要な情報はリアルタイムが得意なTwitterで、商品パッケージなどのビジュアルで伝えたい情報はInstagramで、商品の成分や入手方法など具体的 な情報や正確な情報は自社のWEBサイト(通常の検索を通じて)という形で情報を出し分けることで、有益な情報を届けることができます。複数のSNSやサイトを運営するのは担当者にとっては負担になりますが、丁寧にアプローチすることが結果として自社情報に接触してもらえる確率を高めてくれます。

③情報の導線を作る

②で示したようなそれぞれのSNS、サイトに適した情報が整理され、それらを繋ぐ導線が準備されることで、来店、購買といった具体的な行動につなげる可能性を高めることができます。SNSの検索は行動のキッカケのひとつとなっていることも多く、次のステップに進めさせることが出来るかどうかが、具体的な行動への大きなポイントになります。SNSを通じて情報を見た人に対して、より詳細な情報にたどり着けるように"Twitterならリンクを貼る。"、"Instagramなら店名などより分かりやすいキーワードを載せる(現在はInstagramにはリンクを貼ることが出来ません)"といった導線を作ること が重要です。

これらの点に留意して、然るべき情報を、然るべき場所、タイミングで提供することで、自社の情報に接触する機会を増やし、さらにその後の行動につなげさせることが企業の情報発信にとって重要なポイントになります。さらに、これらに加え自社のターゲットがどのような人なのかを意識して、使うキーワードやビジュアルの選択など、情報を提供する側にも戦略性が求められる時代になっています。

若者を中心としたSNSでの検索行動は今後、その他の世代にも広がる可能性が大いに考えられます。その対応がいち早く出来ているかどうかが、多くの情報が溢れる現代のマーケティングを勝ち抜くための鍵となるかもしれません。

セミナー実施報告

ワカル?ワカモノ。~SNS時代の若者とは?~

9/12(月)Twitter社にて若者のSNS利用についてセミナーで紹介しました。当日は87名の方に来場いただき、本誌でも紹介した若者のSNSでの検索行動や、VRわかものラボが開発したセグメント別でのSNS利用の読み解きなどをお話しました。わかものラボでは今後もセミナー等を通じて情報発信を続けてまいります。

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