VRホームスキャン・データ分析事例(1)

VRDigest編集部
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※本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

―カレーマーケットと新製品導入ケースをみる―

 VRホームスキャン・システムは、シングルソースのスキャナーデータベース構築をめざして、本年4月に本格稼動をはじめた。この調査システムデータは、広告・プロモーション・購買行動相互の関係がサンプル単位で直接分析可能である点が一大特徴で、関係各方面からその研究成果に大きな期待が寄せられている。マーケティングリサーチ積年のテーマに関する研究は、現在その緒についたばかりであるが、そこでこの調査データの分析事例を断片的にではあるが、シリーズで紹介して行きたい。

 今回は、調味料としてのカレー粉を除く、インスタント、レトルト、缶詰のカレーマーケットの分析事例をとりあげることにする。このマーケットは、成熟段階に達したとみなされて久しいが、それでも毎年いくつかの新製品がデビューし、依然激しい競争状況が続いている。

1.購買状況について

 図1は、カレーの月間購入率の推移である。2~5月の購入率50%前後に対し、6月は57.6%と上昇しているが、これはカレーの需要が例年夏・秋に高まることと一致する現象である。また、購入回数や個数、金額についての統計量は表1に示した。

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2.購入ブランド・商品

 ホームスキャン調査エリアで'87年6月に最もよく購入されているものから順に10ブランドを選び、その購入率の推移を示したのが表2である。この表を見ると、1位、2位のポジションは比較的安定しているが、3位以下は混戦模様である。

 また、6月に最もよく購入された商品は「ハウス バーモントカレー 甘口250g」であったが、商品のタイプ別に購入率を計算してみると、250gパッケージ、甘口タイプのものに人気が集まっているといえよう。(表3)

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3.ブランド競合関係

 表2の購入率をながめてみると、一方の購入率が上れば他方が下るといった関係が浮び上ってくる。そこで、相関係数からこれら10ブランドの競合関係を分析してみた。表4がその結果であるが、10ブランドのうちトップブランド「ハウス バーモント」対「エスビゴールデン」&「永谷園 マリオカレー」の競合関係が最も強そうである。

  サンプルベースのブランドチェンジの分析については別の機会にゆづりたい。

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4.ユーザー世帯のプロフィール

 カレー購入世帯のプロフィールを措くために、世帯特性別購入率を算出しその値をサンプル全体の購入率を100とした時のインデックスに変換したものが図2である。また、別途1、000世帯当りの購入個数や購入金額を使ったインデックスも計算してみたが傾向はほとんど同じであったので、購入率ベースのインデックスを代表して使うことにする。

 さて、カレーの購入率は主婦年齢が若い程高く、家族構成員でみると中・高生以下の子供のいる世帯の購入率が高くなっている。勿論、ユーザープロフィールはブランドによって大きく異なっている。図3に特徴的なブランドのユーザープロフィールを示したが、図でも明らかな様に「ハウス ククレ」は子供の年齢の最も低い世帯を中心に消費され、次いで「ハウス バーモント」「ハウス ザ・カリー」の順であるが、むしろ最後の「ザ・カリー」では"子供"のいない世帯での購入率の方が高くなっている。ハウスのこの3商品は子供の年齢層により使用ブランドのセグメンテーションが行なわれていることがわかる。

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5.新製品の市場浸透

 今年に入ってカレーマーケットではいくつか新製品が登場しているが、今回の資料(表2)では4月発売の「永谷園マリオカレー」が目立つ商品である。発売月には5.2%の購入率で、先発ブランドの「エスビー ディナー」や「ハウス ジャワ」を押えて第3位ブランドに位置している。この新製品はどのようなプロセスで市場浸透を果したのであろうか。

 図4は、「マリオカレー」の市場浸透状況を全標本世帯と世帯特性別にみたものである。この商品は、未就学児のいる世帯を中心に市場浸透を行って来たが、9週目でその浸透状況は停滞しそうな気配である。

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 次に、購入経験世帯での平均購入回数の推移をみると、9週目の世帯全体で1.6回である。この数字は、カレーの月間平均購入回数1.8回の半分にも達していない。市場浸透は遠からず頭打ちになるとすれば、反復購入の低さは懸念されるところである。

 以上で今回の報告は終るが、次回はこの新製品のテレビ広告、チラシ広告、インストアブロモーションをとり上げ、この商品がいかにして急速に市場浸透を果したのか、広告やプロモーションが購買行動にどのように影響を与えたのかについて分析を加えてみたい。

                              (消費者行動分析部 八木 滋)

VR home Scan System調査の概要

1.調査エリア  首都圏ミニマーケットエリア(2kn圏 4万世帯程度の地域)

2.調査対象世帯 上記地域内の家族人数が2人以上で18歳以上の家事を担当する女性のいる世帯

3.調査標本数  1,000世帯

4.調査頭目   ① 日用雑貨、加工食品、薬店向け医薬品(購入者、購入店、購入商品、購入個数、購入金額)

② テレビ視聴実態

5.調査方法  VRホームスキャンシステムによるオンライン調査

6.調査の開始  昭和62年4月

7.補完データ ① テレビ広告出稿状況とサンプルへの露出状況データ

② チラシ広告内容とサンプルへのチラシ到達状況データ

③ エリア内スーパーマーケットのプロモーション展開調査データ

④ エリア内のイベント、天候、気温データ

⑤ サンプル特性、店舗特性、エリア特性データ

⑥ 広域圏消費者パネル(VCI)データ

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