クーポン・プロモーションとテストマーケット

VRDigest編集部
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※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 ビデオ・リサーチは創立25周年を迎える新年度より、新しい事業としてダイレクトマーケティング、VRホームスキャン、クーポン取扱い業務が新たに加わりました。そこでここに、この「クーポン」業務について説明するとともに、当面私達が取り組もうとしている「クーポン・プロモーション・テストマーケット」の企画内容をご紹介致します。

クーポン・プロモーションとは

クーポンとは一般的に消費者に証紙=金券を与えることにより、インセンティブを与え、商品の購買欲求を喚起させるもので、したがって、プレミアムや、懸賞付き広告、スタンプ、あるいはサンプル配布、キャッシュバックなどと同列の販売促進手段の一手法であります。最近、注目されているダイレクト・マーケティングも同じ範ちゅうの手段といえます。

 日本ではこのクーポン手法はまだ未発達に終っていますが、この種の先進国米国では図1、図2のように主要なプロモーション手段として受け容れられ、金額ベースにしますと数兆円の産業規模になっています。

 では、何故日本でこのクーポンが未発達に終っているのでしょうか、云いかえればクーポンは何故メーカーに積極的に受け容れられないのでしょうか。メーカーの声を代弁しますと「コストの割に小売店、卸店からのクレームが多く効果も低い」、即ち他のプロモーション手段の方が効率が良いということです。この点をもう少し詳しくまとめてみますと次のようになります。

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●現在、新聞、雑誌のマスメディアがクーポン広告について自主規制を行っているためマスプロモーションがとりにくい。

(新聞、雑誌に代ってフリーペーパーを利用したクーポンが一時出回ったが、注目率が低く効果があらわれない。)

●コストを下げるために小売店←→メーカーの間に精算業務代行機関(クリアリングハウス)が必要不可決となるが、マスクーボン・プロモーション時代にならないとクリアリングハウス単独で事業としては成り立たず、クリアリングハウスが輩出しない。

 以上の点を中心に図示しますと図3のようになります。

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 しかし、ここにきまして日本雑誌協会がクーポン広告解禁の道を開き、日本新聞協会も広告委員会、販売委員会からそれぞれ10社が代表として選出され、クーポン合同研究会の会合を続けています。愈々日本でもマスクーボンの時代が開かれようとしていますが、米国の仕組みを考えた時、日本にクーポンを根付かせるにはそのほかにいくつかの問題点があります。例えば、

  ●回収にあたっての郵送代が高い

  ●小売店の数が多く且つ零細である

  ●米国は回収したクーポンをメキシコに送り安い労賃で仕分けをしている(1日の労賃が日本の1時間分)

などで、直接コストに響くものです。また、米国の場合長い歴史のうえにクーポンは花開きましたが、一挙に根付かせるにあたってはクーポンを実際に取り扱う小売店側の教育、啓蒙をどのようにするかという点も重要なことでしょう。

 このように日本にクーポンを根付かせるにはいくつかの問題点がありますが、要はプロモーション手段としてコスト効率に見合った仕組み作りを如何にして作るかがポイントといえます。当社では販売促進としてのクーポンの特徴、利点、面白さにひかれ、この数年その仕組み作り=如何にクーポンのコストを下げるかということを研究してまいりました。今回、その本格化を前に㈱電通、凸版印刷㈱とお互いの特性を活かしながら机上のプランを具現化し、クーポンの問題点を洗い出すためにクーポン・プロモーションテストマーケット「はい!クーポン」を企画することになった次第です。

その企画内容を紹介する前にクーポンの特徴についてまとめてみましょう。

クーポンは、消費者にクーポン=金券という他のプロモーションにはみられない消費者の懐に直接結びつくメリットを与えるもので、それ故クーポン独自の特徴が生まれます。

 その特徴とは、

消費者需要の創成

であり、また、消費者需要の創成が強力であるために、更に、

流通業者及び販売員の支援が得られる

ことになります。具体的に特徴をいくつかあげてみますと、

a トライアルユースをとらえ、マーケットシェアの拡大を図る

 ●新商品/改良商品/新サイズ商品の市場導入時に特に有効

b 継続購入者の確保によるマーケットシェアの保持.拡大

 ●繰り返し購入によりブランドロイヤリティを高める

C 流通業者に刺激を与え商品の流通、販売の拡大を招く

 ●商品の仕入れ、在庫プッシュが容易になる

 ●棚フェイシングディスプレイ、タイ・イン広告、マネキンなどの小売店側の支援が得られる

d 単なる値引き政策ではない

 ●継続的値引きではなく一時的値引きによりマーケットシェアが拡大できる

 ●普段高価で手が出ないと思っている商品に手を出させる

 ●"値引き"とは違い商品のイメージダウンが免れる

 ●メーカーにとって価格管理が柔軟にできる

 ●パパ、ママストアへの価格政策の到達

 ●継続的値引きによる消費者の買い控え問題の解消

e AD(広告)としての効用を高める

 ●広告にクーポンが付くことにより広告そのものの注目率、精読率が高まる

 ●目的、ターゲットに沿って各種バリエーションの手法が採れる

 ●他の広告・プロモーション活動と連動して効用を高める

f 最適広告/販促プロモーション計画の策定と見込み売り上げ高(量)の把握ができる

g テストマーケットでクーポンを実施し.その反応をみて全国展開を図る

などが可能となります。したがって、クーポンとは.........

消貴著にメリットを与え、小売店、問屋業にメリットを与え、メーカーにメリットを与える

 残された最後のマーケティングツールといえます。

 このように、クーポンは売りの究極のツールとして米国ではその特徴を如何なく発揮していますが、クーポンの良さを理解して行きますと、消費者の心を微妙にくすぐる底の深い、且つ拡がりのあるプロモーション手段であることがわかります。

テストマーケット(「はい!クーポン」)の企画内容

1.テスト地域

 調布市、府中市、多摩市(約17万世帯)

2.クーポン・プロモーションの内容

1)参加会員方式

 テスト期間一括募集とする。テスト期間は昭和62年10月、昭和63年1月、3月の3回、但し、参加会員が多い場合は月を変え、2系列をテストする。

2)参加費用

クーポン冊子1ページ(A4版変形)出稿の場合2、700、000円

 ※版下持ち込みとし、クリエイティブ制作費は別途見積り

 ※費用の内訳は出稿料+クーポン・プロモーション結果報告書料

 ※値引き額及びクリアリンダフイー(小売店取り扱い手数料、・クリアランス手数料=回収枚数1枚当り15円)は含まず。

3)参加会員の条件

 ①メーカー、流通が明確な食品、飲料、日用雑貨を扱っている企業

 ②1商品アイテム1社を基本

 ③クーポン冊子1ページ(3回分)買い切りを原則、1ページに自社アイテムを数個いれるのは可。このことも含め1ページ買い切りでない場合は、別途参加料を決める。

4)参加会費の決済

11月末現金にて決済とする。

5)クーポン冊子「はい!クーポン」の制作、全戸宅配

 「はい!クーポン」のスタイルは、米国のF.S.I.スタイルでA4版変形のクーポン広告だけを集めた24ページ建てを予定。

6)クーポン取り扱い加盟店の獲得

 テストマーケット地域の対象小売店のうち約70~80%、2、000店を獲得目標とする。最終的な取り扱い加盟店のリストはテスト1カ月前に提供。

7)取り扱いクーポン回収

8)小売店に対する総値引き額′総取り扱い手数料の支払い代行

9)クーポン・プロモーション結果の報告

10)クーポン・プロモーションのコンサルテーション

※テスト実施前にチラシ広告による事前告知

※クーポン・アド見本を利用し小売店向けセールツールを作成する

3.クーポン・プロモーションの流れと経費

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4.目標回収率平均1%(回収枚数/配布枚数)

今回のテストは当社と㈱電通・SP局、凸版印刷㈱三者の共同企画によるもので、POSの運用回りを実験するためにNTTデータ通信事業本部の協力参加を得ております。

今回実験する冊子F.S.I.スタイルとは、クーポンアドだけを収録、掲載しており、そのため、冊子の目的が明確であり、またカラー刷りであるためインパクトが強い点が特徴となっています。米国ではこのF.S.I.がメーカーに積極的に受けいれられ、1986年時で全クーポン・プロモーションの約7割を占めております。

クリアリングハウスについて

 最後に、何故当社がこのクーポンに取り組むのか、その理由をおしらせしましょう。

これまでみてきましたように、クーポンはマーケティングツールの-手段であり、その結果はマーケテイングデータとして現われてきます。そのデータは、小売店が取り扱ったクーポンを一括して送付し精算業務を代行させるクリアリングハウスで生まれてきます。当社はこのクリアリングハウスに位置し、各種プロモーションのマーケットデータを関係業界に届けることが可能なのです。なによりクーポン・プロモーションでは第三者機関によるクリアリングハウスが必要になりますが、当社の立社精神である「公正な第三者機関」がクリアリングハウスの基本である点を理解していただけたらと思います。

                                 (クーポン企画室 大木)

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