クーポン・プロモーションの理論と現実 7

VRDigest編集部
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※本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

―クリアリングハウスの業務内容とプロセス―

クリアリングハウスの発生、発展過程をみると、小売店向けサービスとメーカー向けサービスとの二面性があることが理解された。これ迄の私達のクリアリングハウスに対する理解は、この二面性があることを理解しながらも、この2つのサービスが同時に行われているものと理解していた。しかし、これは全くの誤解で、2つのサービスは全く独立しているものと認識する必要がある。

●米国のクリアリングハウスの勢力地図

 米国では、クリアリンクツ、ウス事業に乗り出している企業は200~300社にのぼるといわれている。それぞれのクリアリングハウスがメーカー、小売店に対するサービスで競い合っている。主なクリアリングハウスとしてはA.C.ニールセン、カロリナ・マーケティング、セブンオークス、CPAなどがあげられ、この4社で全米の80%のシェアを占めているといわれる。主要クリアリングハウスの小売店向けサービスのシェアは以下の通り。

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一方、メーカー向けサービスはA.C.ニールセンが60%とその多くを占めている。しかし、最大手のA.C.ニールセンは、最近、巨大になりすぎたためサービスの低下が云われ、シェアを落してきている。特に、小売店向けサービスでの退潮が大きい。このことや、メーカー向けと小売店向けのサービスのシェアの違いからも分かるように、2つのサービスは全く異質のものである。各クリアリングハウスはそのサービスの内容、質によって、メーカー、小売店の契約取得を競い合っているのである。

また、すべてのクリアリングハウスがメーカー向け、小売店向けの両方のサービスに対応しているものではない。CPAはソート専門で、メーカー向けサービスには一切タッチしていない。その代り、全米のいくつかのクリアリングハウスのソートも代行して行っている。

全米で200~300のクリアリングハウスが存在しているということも、2つのサービスが全く異質のものであることを証明していよう。その多くは、各州、或いは各ブロックに存在し、地場の小売店との密接な関係を築き、それをサービスメニューの一つとして小売店向けサービスを行っている、地場クリアリングハウスである。ホールセラー、その州に勢力を持っているフード会社の本部機構の一つなどがあたっている。クリアリングハウスの発展過程が偲ばれる。

●小売店向けサービスとそのプロセス

小売店向けサービスとは、精算代行業務を契約している小売店が取り扱ったクーポンを、小売店に代って処理しメーカーに対し請求するもので、処理料は小売店とクリアリングハウスとの間で決められ、小売店への支払いはメーカーに代ってクリアリングハウスが行う。

小売店向けサービスのプロセスを図示すると次の通り。

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米国における小売店向けサービスの内容を、順を追ってまとめてみると次のようになる。

(1)クーポンの受領

 ① 受領

郵送、トラック便、航空便などでクーポンが送られてくる。地場クリアリングハウスでは、トラックによる集荷をサービスメニューとして加えているところもある。

 ② 計量

送られてきたクーポンの本当の重さを計るため、ホッチキス、輪ゴムなど余分なものをすべて取り除き、積荷ごとに計量する(送られてきた積荷の重量も控えてある)。

この積荷の数と重量は、ソートなどすべての作業が終った段階で再びチェックし、作業段階でのハンドリングミスがないかどうかを確認する。

(2)クーポンのソート

  メーカー別にクーポンを仕分けする。

(3)データエントリー   .

  メーカー別にクーポンの値引き金額を入力する。

(4)アウトプット

 ① 小売店向けアウトプット

   全取り扱い枚数、メーカー別枚数、金種別枚数など(クリアリングハウスの小売店向けデータサービスメニューの内容による)と共に総値引額と手数料を算出する。

   その際、1)-②で計量した数値を元に、総取り扱い枚数と総値引額の推計値を同時にアウトプットし、実際の枚数と額とが推計値と大きく違う場合は再チェックを行う。

 ② メーカー向けアウトプット

   各小売店ごとに金種別枚数と総値引額、手数料を算出しアウトプット。

(5)支払いと請求

  メーカーに代って支払いを小切手で行う。その際、明細書を同時に送る。メーカーに対しては、契約全小売店の取り扱いクーポンと共に請求書を発送、支払いを受ける。

 (結果的にはメーカーと契約しているクリアリングハウス=リデンプションセンターに発送し、そのリデンプションセンターから支払いを受ける。次ページ図参照)

以上が基本的なプロセスであるが、契約のサービス内容の大本になる取り扱い手数料8セントを巡っての攻防は、精算日数と処理枚数とによって決められている。わかりやすく具体的に例を上げてみる。

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小売店に対するサービスは、データの信頼性も含めいろいろあるが、このレート表が基本であり、各社極秘扱いとなっている。また、表でもわかる通り、1枚当り0.025セント(約3銭)レベルでの競争を強いられるのであるから、経験のうえに立ったコスト管理を厳密に行うプログラムが必要になってくる。

●メーカー向けサービスとそのプロセス

メーカー向けサービスとは、クリアリングハウスや独立小売店から送られてきた請求書に基き、その内容をチェック、確認し、メーカーに代って支払うとともに、プロモーション別のマーケティング・データを提供するものである。

メーカー向けサービスのプロセスを図示すると次の通り。

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小売店向けサービスの流れは、従来、私達が考えてきたメーカー、小売店、クリアリングハウスの基本的な関係を表わしており、抵抗なく受けいれられたと思う。しかし、メーカー向けサービスの流れは、これ迄あまり目にされたことはないと思う。この流れを理解するにはいくつかのポイントがあり、そのことをまず明らかにしておく。

              クーポン発送

〔独立(零細)小売店 ―――――→ 契約クリアリングハウス(リデンプションセンター)〕

小売店向けサービスは、クーポンの1枚当り取り扱い手数料8セントを中心とした、小売店とクリアリングハウスの契約で成り立っている。何故、小売店がクリアリングハウスに精算業務を代行させるかというと、取り扱い手数料の一部を支払ってでも委託した方が効率が良いからである。その契約料は、精算日数とクーポンの処理枚数とで決められていることは理解されたと思う。再び前ページの料金表をみていただこう。処理枚数が多ければ多いほど、小売店の取り分が多くなっている。逆の見方をすれば、処理枚数が少なければ少ないほど、小売店の取り分が多くなっている。逆の見方をすれば、処理枚数が少なければ少ないほど、小売店の取り分は少ない。クリアリングハウスを事業として考えるならば当然である。しかし、小売店からみると、クリアリングハウスの必要性は、取り扱い枚数が多くなり、処理が大変になってきたことで生じたものである。したがって、取り扱い枚数が少なければ、クリアリングハウスを必要とすることもなく、また、自店で処理すれば1枚当り8セントのすべてがメーカーから保証されることになる。そこで、クリアリングハウスを通さずに直接メーカー(結果的にはメーカーと契約しているクリアリングハウス)にクーポンを発送する、独立(零細)小売店があらわれてくる。

             請求書(明細書)発送

クリアリングハウス ―――――――――→ 契約クリアリングハウス(リデンプションセンター)〕

             クーポン発送

請求書とともにクリアリングハウスからメーカー向けに送られてくるデータは、そのクリアリングハウスが契約している小売店別、金種別枚数のデータに限られる。メーカーにとって重要なブランド別やプロモーション別などの詳細なマーケティング・データは一切ない。また、この種のクリアリングハウスは全米に散在している。したがって、もし全米を対象にクーポンを行うと、全米のクリアリングハウスと独立小売店の管理機能を内部に持つ必要が出てくる。そのために専属の久リアリングハウスと契約し、データの取りまとめを依頼すると同時に精算業務の一括代行も依頼している。米国の文献にリデンプションセンターの記述があり、クリアリングハウスの記述との違いが明確とはなっていないが、リデンプションセンターとはこの精算業務一括代行部分を指している。リデンプションセンターは、基本的には小売店向けのクリアリングハウスのサービス機能をも有しているのであるから、境界線が明瞭となっていないのであろう。

メーカー向けサービスの内容を、順を追ってまとめてみると次のようになる。

(1)クーポンの受領

  数多くのメーカーと契約しているクリアリングハウスでは、メーカー別に積荷を仕分け る。A.C.ニールセンのように巨大になると、エルパソの郵便局そのものが仕分け工場となっている。

(2)プロモーション別ソート、データエントリー

  小売店別にプロモーション別に仕分けをし、データ入力をする。その時、クリアリングハウスから送られてきた明細書の内容が正しいかどうかチェックされる。このことは、クーポンの仕分けが小売店向けサービスの段階と、メーカー向けサービスの段階と、二重に行なわれていることを指している。また、次のように簡素化し、図示すると、この仕組みは、仕分けの品質管理に対し、クリアリングハウス同士の相互監視にも繋がっていることがわかる。

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(3)支払い

クリアリングハウスから送られてきた明細書の内容と実際とが違っていた場合は、その旨を明記し訂正して支払う。

(4)プロモーション別マーケティング資料の作成

  プロモーション別マーケティング資料を作成するために、-般的に各メーカーはクーポンにOCR数字を付している。その数字をデータエントリーの際入力し、プロモーション別マスターファイルとマッチングさせ、各種マーケティング資料を作成している。またOCRの付加基準や提供マーケティング資料の内容は、それぞれのクリアリングハウスが、独自紅定型化し提供しており、その内容力喫約取得のポイントとなっている。

  *ロングコードを利用している場合もある。

(5)マーケティング資料の提供と請求

加工、集計されたマーケティング資料を提供し、独立小売店、他のクリアリングハウスへ支払うクリアリンダフィーなども含めて支払いの請求を行う。メーカー向けサービスの費用は表面には出ていないが、1枚当り2セントから4セントと云われている。この価格設定はデータ量が伴わないと難しく、小売店向けサービスの価格設定と同様、かなりの経験を必要とすると思われる。

(クーポン企画室 大木眞煕)

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