情報通信と産業構造に関する研究会報告書

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※本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

「情報通信と産業構造に関する研究会報告書」について

郵政省では、既存企業及びニュービジネスが情報通信をどのように活用していき、その結果、産業構造がどのようなインパクトを受けていくのか、そのトレンドを展望するとともに、このような産業構造変化の中で情報通信が産業にどのような質的、量的変化を招来しているかを明らかにするため、西暦2000年における我が国の産業社会を展望することにして、「情報通信と産業構造に関する研究会」(座長:堤 清二 西武セゾングループ代表)を開催してきたが、このほど同研究会において報告書が取りまとめられた。報告書の要旨は以下のとおりである。

1.企業戦略の展開方向

〔経営戦略における情報通信活用の中核化〕

① 今後、「情報」は、これまでの主要な生産要素とされてきた資本、労働力、土地と並んだ重要な生産要素としての役割を果たすようになり、その活用が各企業の競争力、発展力を決定付けるようになっていく。

② このため、情報通信の活用は、経営戦略の中核に据えられるようになり、各企業においては、情報資源の自在な活用に向けで情報通信システムの高度化等体制整備、その活用を活発に展開していく。

2.情報通信ガ産業に与えるインパクト

〔ネットワーク型産業構造の形成〕

① 製造、流通、運輸、金融、サービス等あらゆる産業分野において、企業内のみならず、異企業間での様々な目的、態様での情報通信ネットワーク化が展開され、企業経営面において意思決定方法、組織・業務分担の在り方等の変化が招来されるとともに、情報通信ネットワークにより各企業、各産業分野が相互に連結されたネットワーク型の産業構造が形成されていく。

② ネットワーク型産業構造においては、一企業のみならず、複数企業・産業間に渡る業務機能、産業機能の時間と距離を超えた自在な組合せが実現し、創造性、連結性、効率性を発揮できる体制が形成されていく。

③ このようなネットワーク型産業構造の形成に伴い、各産業分野においてそれぞれ多様な変化を遂げるとともに、産業全体において市場ニーズ主導型の産業体制の形成、新産業群の創造等産業フロンティアの拡大、企業同士のグループ化 競争関係の変化 さらには就業構造の変化等を招来し、これまでの産業構造が一変され、新たな産業社会が形成されていく。

④ ネットワーク型産業構造の形成に当たって、自ら情報通信への依存度が高くなるとともに、他企業の産業機能の連結・高度化を促進していく通信業、物流業、流通業、金融業等ネットワーク産業が重要な役割を果たしていく。

3.2000年にかけての産業の変容

〔情報通信を活用したソフト化進展による物財部門の変容〕

① 全産業的な情報通信の活用により、人件費の削減、製品の高付加価値化、ソフトウエア開発等の外注化の増大、ジャスト・イン・タイム体制形成による在庫コスト削減、輸送コストの削減等様々な局面においてその効果が発生し、各産業において付加価値率の変化にみられる産業の変質が招来されてくる。

② このような情報通信活用効果の差異による製造部門の付加価値率の上昇、サービス部門の付加価値率の低下が要因となって、これまでのような物財部門の日本経済に占めるウエイトの低下が止まるとともに、全産業的な情報通信支出比率(生産活動に必要な情報通信活用量を示す指標)の増大にみられるようなソフト部門への支出の増加が加速される形で、経済のサービスイヒ ソフト化が進展していくものと考えられる。

③ なお、就業構造面では、サービス分野への労働力の移行が進んでいき、サービス産業を通じたワークシェアリング化が進展していくものと考えられる。

Ⅰ.企業戦略の展開方向

―経営戦略における情報通信活用の中核化―

「情報」はこれまでの主要な生産要素とされてきた資本、労働力、土地と並んだ重要な生産要素としての役割を果たすようになり、その活用が各企業の競争力、発展力を決定付けるようになっていく。

このため、情報通信の活用は、経営戦略の中核に据えられるようになり、各企業においては、情報資源の自在な活用に向けて情報通信システムの高度化等体制整備、その活用を活発に展開していく。

Ⅱ.産業における情報通信の活用動向

1.製造・流通分野

① ネットワーク化の動向

製造部門におけるFA化(factory automation:製造システムのオートメーション)、さらには、CIM化(Computer Integrated Manufacturing:製造部門のみならず設計、開発、生産管理、販売管理等経営全体に渡る総合ネットワーク化)、流通・物流部門における受発注ネットワーク形成、新物流システムの形成により、在庫圧縮等経営の効率化を進めながら、リードタイムの短縮、多品種少量生産、さらには、生産・販売一体化等の市場対応型の生産体制の形成が目指されている。

また、小売段階においては、EOS(Electronic Ordering System)、POS(point of sales:販売時点情報管理システム)、カード等の活用により、商品企画、品揃え等の商品管理力、顧客ニーズへの対応力の強化が図られている。

・流通チャネルにおける今後のネットワーク化動向

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製造・流通分野におけるネットワーク化の動向は、(a)メーカー(川上)主導型、(b)卸・商社(川中)主導型、(C)小売(川下)主導型、(d)物流業者主導型に大別され、現在各々独自に構築されているが、今後、同業種のメーカー・卸間の業界ネットワークと地域別の卸・小売間の地域ネットワークが中心となって流通チャネルのネットワーク化が進み、このような共同ネットワークと、メーカー主導、量販店等の小売主導のネットワークが接続されていくものと考えられる。

② 情報通信のもたらすインパクト

今後、製造から卸、小売店まで、各企業が垂直ネットワークを活用して消費者情報等の情報を共有し、一体的な市場ニーズ主導型商品生産・供給体制が形成される他、ホームショッピング等新たな流通システムの創造、クイック・レスポンス性が要求される流通経路の簡素化等が進展するとともに、決済事務の効率化を契機として、商流システムと資金流システムの一体化が進み流通ネットワークが金融機能を有するようになる。

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2.金融分野

① ネットワーク化の動向

銀行業・証券業においては、金融の自由化、国際化に対応するため業務システムの見直し、充実に加え、顧客情報、経営情報、各種金融情報を提供する「情報系」、ファームバンキング等外部のネットワークと接続していく「外部系」、海外支店との情報ネットワークである「国際系」等の分野でのシステム化・機能充実を目指す第三次オンライン化が展開されている。

また、クレジット業においては、クレジットカードの活用を中心に他業界との業務提携が進められている。

② 情報通信のもたらすインパクト

情報通信ネットワークの活用によりエレクトロニック・マネー化が加速され、資金移動が飛躍的に活発化していくとともに、金融機関相互間のみならず、流通部門等非金融機関との間においても金融業務の競合が生じていく。

こうしたエレクトロニック・マネー化の進展に伴い、決済事務等金融業務が情報通信サービスそのものとなってくる上、金融情報提供力の強化、情報化に伴って蓄積されたソフト開発力・情報通信コンサルティングカを活用した情報通信分野での業務量が増加し、金融機関の情報通信産業化が進展していく。

また、カードを活用した他企業、他業界との業務提携により、新たな企業グループ化が展開されるとともに、カードの高機能化(キャッシング機能や多様な付帯サービス機能が体化)が進み、本格的なカード社会化が加速されていく。

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3.サービス分野

① ネットワーク化の動向

サービス分野全般において、業務の主要機能の効率化、高付加価値化を目的とした企業内での情報通信の活用が展開されているが、旅行代理店等情報提供サービス型の業種を中心に、情報提供元とのネットワーク化また、顧客等サービス提供先とのネットワーク化への取り組みが進んでいる。

また、本部-チェーン店間等組織内部においてネットワーク化によるPOSデータ分析情報等の経営情報の共有化、衛星塾等映像メディアを利用し商品そのものを伝送する形で、経営の面的拡大を図るものがみられる。

② 情報通信のもたらすインパクト

情報通信の活用により、サービス分野に多数の新業態、新業種のビジネスを創出していくとともに、サービス商品の均一的提供体制を構築し、サービス産業の高品質化・高付加価値化を促進する。

 また、情報通信システムを活用した多様な情報提供事業者の出現に伴い、従来、商圏が営業店からの距離に制約されていたサービス商品が「足の長い商品」(広いエリアで取引関係が発生するようなマーケットエリアの広い商品をいう)と化し、市場の拡張・流通加速が招来されるとともに、各企業の商圏の重複・競合が激化し、サービス産業における競争環境が変化していく。

Ⅲ.情報通信が産業にもたらすインパクト

―ネットワーク型産業構造の形成―

1.ネットワーク型産業構造への変化促進

製造、流通、運輸、金融、サービス等あらゆる産業分野において、企業内のみならず異企業間での情報通信ネットワーク構築が活発化してくる。

異企業間の情報通信ネットワーク化は、単なる効率化・合理化目的に止まらず、①垂直ネットワークによる市場動向の把握を目的とするもの、②水平的な共同ネットワークにより相互の企業力の強化を目的とするもの、③異企業の経営資源の活用による新サービス等の創造を目的とするもの、④顧客との情報通信ネットワーク化による新しい販路の開拓を目的とするもの等戟略的目的によるものが多く、情報通信ネットワーク化により、各企業・各産業分野が相互に連結されたネットワーク型の産業構造が形成されていく。

 ネットワーク型産業構造においては、一企業のみならず、複数企業・産業分野間に渡る業務機能・産業機能の自在な組合せが実現し、「創造性」、「連結性」、「効率性」を発揮できる体制が形成されていく。このようなネットワーク型産業構造の形成に伴い、個々の企業レベルにおいて経営戦略の革新、意思決定の的確化・迅速化、組織・業務分担の見直し等の企業経営面での変化が招来されるとともに、産業全体においては、市場ニーズ主導型の産業体制の形成、新産業群の創造等産業フロンティアの拡大、企業同士のグループ化、競争関係の変化、更には就業構造の変化等を招来し、これまでの産業構造が一変され、新産業社会が形成されていく。

 ネットワーク型産業構造の形成に当たって、自ら情報通信への依存度が高くなるとともに、他企業の産業機能の連結・高度化を促進していく通信業、物流業、流通業、金融業等いわゆるネットワーク産業が重要な役割を果たしていく。

2.市場ニーズ主導型産業構造の形成

(1)市場ニーズへのジャストフィット

 POS、カード・システム等の活用による消費市場ニーズの分析・把握、製造部門におけるFA、CAD/CAM(computer aided design:設計部門の作業をコンピュータを利用して行うもの)/(computer aided manufacturing:コンピュータを利用して製造業務を行うもの)等の活用による新製品開発・製造体制、多品種少量生産体制の形成等により、多様化していく消費ニーズにきめ細かく対応できる製品・サービスの生産・提供体制が形成され始めており、こうした動きは、今後、中小事業者まで含めて広く普及していく。

 ま.た、金融分野、サービス分野においては、情報通信を活用して関連分野、周辺分野に渡る多様なサービスをコーディネイトし、顧客のニーズに対応したトータルサービスを創造・提供していくものが多くなる。

 このような動きの中で、消費者自ら生産者へニーズを直接伝達するシステムの活用により消費者のプロシューマー化が加速されていく。

(2)市場ニーズへの迅速対応

 各企業においては、変化の激しい市場動向を先取りしていくため、POS、カードシステム、各種データベース等を活用し、蓄積された最新デ」夕をもとに市場変化について仮説をたて、それを市場動向で素早く検証しながらビジネスを展開する仮説・検証体制が形成・強化されていく。

 また、情報通信を活用した受発注システム、在庫管理システム、物流システム等により、部品・資材メーカーである下請企業と親企業が一体となった生産工程におけるリードタイムの短縮、さらには製造部門から小売部門全体に渡るジャスト・イン・タイム、ジャスト・イン・プレイス体制の形成等市場動向に素早く対応できる新しい生産・流通システムの形成が進む。

(3)新たな流通チャネルの形成

 情報通信システムを基軸にした宅配システムを活用した無店舗販売、ホームデリバリー、ホームディーリング、ホームリザベーション等消費者が手軽に発注できる新流通チャネルが形成され、市場ニーズへの対応が遅れている流通経路の再構築が進んでいく。

3.企業関係の変化

 新分野へ進出するための重要なツールであり、また、仮説・検証システムである情報通信ネットワークの整備状況、活用形態の違いが企業競争力の差となって現れ、情報通信ネットワークによる「連結メリット」、「効率化(スピード)メリット」、「創造メリット」を活用する企業が飛躍するようになる。

 一方、資本力等従来型の企業力を有していても、情報通信活用能力(人材、ノウハウ等)を有していない企業や業種においては、厳しい淘汰の波を受けるようになる。また、中小企業であってもこのような情報通信の活用能力を有する企業は大企業への依存性が薄れ、複数の企業との結び付きを有する多元的構造へと変化していく等従来の大企業と中小企業の関係に変化が生ずる。

 ネットワーク化を契機として企業間の競争は独自の情報通信ネットワーク構築という「物量の競争」を経て、情報通信活用力による「知恵の競争」へと変化していくようになり、このように競争関係の高度化が進む業界においては、業務内容の高度化も進んでいくものと考えられる。

4.産業フロンティアの拡大

新産業分野の創造

① 複合・融合産業の創出

 情報通信ネットワークは、資金、モノ、情報という企業の経営資源を結束し、総合的管理を可能にするのみならず、複数企業の経営資源の有機的一体化を可能にするため、企業の技術力・商品・サービスを組合せ複合化を図り、業際化の促進さらには従来の業種の枠を越えた複合・融合産業を創出していく。

② ニュービジネスの創出

 サービス分野においては、情報通信システムの活用により特化・専門化していく諸分野のサービスを需要ニーズに併せてマッチングしトータルサービスを提供するコーディネイト型産業、ホームデリバリー、無店舗販売等の在宅型サービス等多様なニュービジネスを創出していく。

市場の拡大 

 情報通信の活用による新流通チャネルの出現や、テレマーケティング等生産者と消費者間の仲介機能を果たすニュービジネスの出現により、企業は多様化する消費ニーズに対応できる商品開発、経営戟略の展開が可能になり、また、消費者は広範な情報の中から自己のニーズにジャストフィットする商品・サービスの選択が可能になり潜在的ニーズを掘り起こし、市場の拡大・活性化を促していく。

企業活動の国際的展開

 情報通信ネットワークの活用により、分散する事業所、工場、海外提携企業等との一体的・有機的活動の確保、国際的な諸情勢の把握が可能になり、地球的視野からの企業立地、地球レベルでの資材、部品、製品の調達流通体制の形成等、企業活動範囲の地球化が加速されていく。

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注:①「通信サービスの提供・利用をサポートするニュービジネスグループ」とは、セキュリティ面、人材面情報通信の円滑な提供利用をサポートするサービスを提供するグループ(例:人材派遣業、バックアップサービス等)「通信サービスを活用したニュービジネスグループ」とは、情報通信を活用することにより事業の基本部分が成立しているグループ(例:テレマーケティング等)や、情報通信の活用により従来のサービス内容を充実させたり、効率化を図っているグループ(無店舗販売、機械警備業等)

  ②サービス産業は基盤型サービス部門(電気・ガス・水道・熱供給業、商業、不動産、運輸、金融・保険)と一般サービス部門(公務・公共サービス、対事業所サービス、対個人サービス)及び情報通信サービス部門の通信に付帯するサービス業の合計値

5.就業構造の変化

 企業における情報通信の活用に伴い、端末の操作等情報通信システムと密接に接する就業者層が増大するとともに、仕分け作業、受発注作業等従来の労働集約的単純作業分野から、商品企画、セールス等人間の高度な判断力、感性等を要求する分野への労働力の移行が生じていく。

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Ⅳ.2000年にかけての情報化による産業の変質

―情報通信を活用したソフト化進展による物財部門の変容―

1.情報通信分野への支出増大

 企業の情報通信分野への支出は、昭和60年9兆6571億円から、昭和75年には35兆8224億円に達し、昭和60年の約3.7倍(年平均伸び率9.1%)の規模となる。

企業活動に必要な情報通信ニーズは、企業内の各種情報通信活動でまかなう場合と、外部市場から調達するものに大別されるが、企業内活動分野ではハード費用の構成比が24.5%から29.6%(支出額では4.5倍)に増大するのに対し、人件費については25.1%から18.5%(支出額では2.7倍)と増大を抑制された形になっていく。

一方、外部市場に依存していく分野では、第二種電気通信事業者へのVANサービス支                                                         出の構成比が4.5%から11.8%(支出額で9.6倍)に、ソフトウエア開発費等が11.7%から17.4%(支出額で5.5倍)へと大きく増大する。

 全体的には各企業においで情報通信システム等ハードウエアの重装備化が進む-方、従来企業内でまかなっていたソフトウエア開発等が外部化されていき、VANサービスを利用したネットワーク活動が展開されていく形で産業の情報化が進展していくものと考えられる。

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2.情報化による産業の変容

(1)情報通信の活用と付加価値率の変化

  全産業的な情報通信の活用により、人件費の消滅、製品の高付加価値化、ソフトウエア開発等外注化の増大、ジャスト・イン・タイム体制形成による在庫コスト削減、輸送コストの削減等様々な方面においてその効果が発生する。

  各産業において、情報通信がどのような目的で活用され、その結果どのような効果が生じるかにより、各産業分野においての付加価値率の変化にみられる変質が招来されてくる。

●情報通信と付加価値率の関係

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(2)産業構成比の変化

 情報化の進展に伴う各産業の2000年における我が国の経済規模を試算すると、産出額は、昭和60年の669兆5983億円から昭和75年には1196兆3250億円(年平均成長率3.9%)に達し、付加価値額(粗付加価値額)は、昭和60年の321兆7642億円から596兆5230億円(年平均成長率4.2%)の規模となり、付加価値率は、昭和60年の48.1%から昭和75年には49.9%へと1.8ポイント上昇する。

 各産業別の構成比は、昭和60年まではいわゆる1次、2次産業である物財部門のシェアーが年々減少し、逆にいわゆる3次産業である基盤型サービス部門、一般サービス部門のシェアーが年々増大してきたが、昭和60年から昭和75年にかけては物財部門の付加価値額のシェアーが大きく(建設の大きな伸びを除くと物財部門の昭和75年の構成比は41.2%で、昭和60年(39.4%)に比べてほぼ横ばい)なっていく。

 これは、情報通信の活用により各産業にもたらされる付加価値率甲変化が大きな要因となっており、製造部門においては我が国の総情報通信支出額の約40%にも当たる情報通信活用により産業全体として付加価値率を高め、生産額の伸びとともに付加価値額が増大していくのに対し、金融・保険業、対事業所サービス業に代表されるサービス部門においては、付加価値率が大きく下降し、生産額の伸びは物財部門と同様の伸びを示しているにもかかわらず、付加価値額の伸びが物財部門に比較して抑えられたことによるものと考えられる。

従来、経済のサービス化、ソフト化は、第3次産業(特に一般サービス部門)が日本経済に占めるシェアーが増大する動きと、全産業的にソフト部門での支出が増大する動きの両面がみられていたが、今後は,全産業的な情報通信支出比率(生産額に対する情報通信分野への支出額の比率:生産活動に必要な情報通信活用量を示す指標)の増大(昭和60年の1.5%から昭和75年の3.1%)にみられるようなソフト部門への支出が増大するという形で進展していくものと考えられる。

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Ⅴ.情報通信活用に向けての諸課題

 今後の産業分野において円滑な情報通信活用体制を構築し、国際経済と調和する新産業社会を形成していくに当たっては、①情報通信活用力の強化・普及,インフォメーション・オフィサーの養成、情報通信端末の普及促進、地域における総合ネットワーク化体制整備,労働環境変化への対応等情報通信活用体制の整備、②新たな取引システムの確立、既存制度の見直し等新たな市場ルールの形成、③マルチメディア間の相互通信性の確保、イメージ情報の伝送・処理力の向上等情報通信機能の高度化、④情報通信コストの低廉化等の諸課題を克服していくことが求められる。

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