交通媒体DATAの基礎知識 ~'99ACR東京30km圏DATAより~

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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

◆はじめに

 データに基づいた科学的な広告計画を求める声は、一層高まっています。交通広告についても、それは例外ではありません。そこで今回は、交通媒体の基礎知識として、' 99年ACR東京30km圏データより、交通媒体に関するデータについて、いくつか観察した結果をご紹介いたします。

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◆どれくらいの人が利用しているか?

 

最初に、「どれくらいの人が交通機関を利用しているのか?」をみてみます。グラフ1の通り、全対象者の6割以上の人が1週間で少なくとも1日以上は交通機関を利用しています。全交通機関を、JR、地下鉄(都営・営団・市営)、私鉄、バス(※1)に分けてみてみると、JRが約4割で最も多く、次いで私鉄が4割弱、地下鉄(都営・営団・市営)が約2割5分、バスで約1割5分の人が利用しています。また、平日と土日に分けてみてみると、グラフ2の通り、平日5日間で全対象者の約5割5分が、土日2日間で全対象者の約3割5分の人がそれぞれ最低1日は交通機関を利用しています。

 それでは次に、平日と土日それぞれで性年齢別にみてみます。グラフ3の通り、平日は男性では、10代から40代で各年代とも約6割の人が利用しています。土日になると、20代で利用率は高く約4割の人が利用しています。次位は10代で、4割弱が利用しています。男性では、土日になると、30才未満の若年層で交通機関を利用している割合が他の世代に比べ高くなるようです。

 一方女性では、平日、土日とも20代で高く、平日で7割以上、土日で5割以上の人が利用しています。次位は、平日、土日両方とも10代で、平日で6割以上、土日で4割5分が利用しています。女性では、1週間を通して、30才未満の若年層で交通機関を利用している割合が高いようです。

 また、男女とも60代での利用率は全体的に少なくなっていますが、それでも平日で5割弱、土日で約3割の人が利用しています。

 続いて、職業別にみてみます。グラフ4の通り、平日では男性給料事務職の8割弱が、また学生の約7割が週1日以上交通機関を利用しています。土日では学生の約5割が、また男性給料事務、女性有職の約4割が利用しています。

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◆どの路線がよく利用されているか?

 

さて、ここからは個別の路線ごとにみてみます。表1~3は、週平均、平日平均、土日平均それぞれの利用率上位10路線です。トップはいずれも山手線です。山手線に続く、バス、京浜東北線・根岸線、中央線、総武線、千代田線、東横線が上位に位置しており、1週間を通して利用者の多い路線といえます。

 いずれの路線においても、土日平均の利用率が平日平均のそれを下回ってます。そこで、各路線の平日平均利用率を100とした場合の、土日平均利用率の割合(以後、対平日指数)を見てみたいと思います(次ページ表4)。ここでは、対平日指数の高い路線順に並べ、グループ分けを試みました。対平日指数が60以上の16路線は、平日から土日にかけての利用率の減少が比較的少ないので、土日健闘型とします。対平日指数が44から59までの22路線は、平日から土日にかけての利用率の減少が平均的であることから、平均型とします。対平日指数が43以下の16路線は、平日から土日にかけての利用率の減少が比較的大きく、平日で圧倒的に高いので、平日圧倒型とします。

 続いて、平均型の山手線、平日圧倒型の日比谷線、土日健闘型の小田急線についてそれぞれ曜日別利用率をみてみます。グラフ5(次ページ)の通り、3路線とも平日より土曜日、土曜日より日曜日と利用率が減少しています。だだし、小田急線は土日健闘型の路線だけあり、土日での減少が少なく、土日の利用率については日比谷線を逆転しています。

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◆どんな人が利用しているか?

 

引き続いて、山手線、日比谷線、小田急線について、利用者プロフィールをみてみます。いったいどんな人が利用しているのでしょうか?

 まずは、男女構成を平日平均と土日平均でみてみます。グラフ6の通り、平日では、3路線ともほぼ男性6:女性4となっています。土日では、山手線は男性5:女性5、日比谷線と小田急線では、男性4.5:女性5.5と一様に女性の割合が増えています。平日に比べ週末は、女性の方が活発に交通機関を利用しているようです。

 次に、職業構成をみてみます。グラフ7の通り、3路線ともに特徴的なのは、男性給料事務職は土日より平日の方が割合が高く、女性有職は平日より土日の方が割合が高いことです。特に、日比谷線では、平日から土日にかけて、男性給料事務職が18ポイント減少し、女性有職が9ポイント増加、また、小田急線では男性給料事務職が9ポイント減少し、女性有職が18ポイント増加していることが特徴的です。平日に通勤の足として交通機関を利用していた男性サラリーマンが、週末は交通機関を利用して活動することが少なくなる一方で、仕事を持つ女性は、週末も活発に交通機関を利用して活動している様子が窺えます。

 また、職業構成からは、小田急線は学生の利用割合が高い路線であること、日比谷線は平日において男性給料事務職の利用割合が高い路線であること、山手線は各層に比較的平均的に利用されている路線であること、などそれぞれの路線の特長が見て取れます。

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◆どれくらいの人に届くか?

 それでは、交通媒体は「どれだけで、どれくらいの人に届くのか?」をみてみます。実際にターゲットを設定して、Reach Max集計を行うことにします。ただし、ここでは路線を特定できないバスを除いて集計を行いました。

 今回は、ターゲットを携帯電話欲求者に設定し、Reach Max集計を行った結果を見てみます。そもそも携帯欲求者は全対象者の21%います。この全体で約2割の人たちをベースにして、Reach Max集計を行った結果が、表5です。山手線を筆頭に、東横線までの上位10路線で携帯欲求者の5割に到達します。この10路線は、東京都内を走る"山手線""日比谷線"、東京駅から新宿駅を通り八王子方面に延びる"中央線"、新宿駅(西武新宿駅を含む)から西側の各方面に延びる"京王線""小田急線""西武新宿線・多摩湖線・多摩川線"、渋谷駅から横浜方面に延びる"東横線"、御茶ノ水駅から千葉方面に延びる"総武線"、埼玉、東京、神奈川を縦断している"京浜東北・根岸線"、千葉、埼玉、東京の郊外を走る"武蔵野線"と多方面にわたっています。首都圏の交通媒体は、山手線を中心として、あらゆる方面へと延びているため、ターゲットへのReachを獲得するのに有効であることを示しています。

 ただし、ここではReachの対象を「週1日以上利用した人」としていますので、さらに分析を深めるためには実際の出稿期間にあわせる必要があります。

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◆おわりに

 

今回は、'99年ACRデータより、ごく簡単にではありますが、交通媒体の利用データの一部をご報告しました。

 今回のまとめについては、あくまでも生活者側の視点から、データを客観的に観察するために、平日と土日という区分で分析を試みました。しかし、実際の広告出稿の立場からすれば、例えば「金・土・日」の3日間の出稿となるケースがほとんどです。本来はそうしたくくりで、Reachや利用者プロフィールなどを観察する必要があります。(ちなみに、<グラフ2>でご紹介した「1日以上利用した人の割合」については、全交通機関で平日56%、土日34%となっていますが、「金・土・日」の3日間で集計すると「52%」となります)。今後は、こうしたデータの集計・検索を容易とするシステムの開発を含め、検討していきたいと思います。

 また、現在は「路線」の利用のみ7日間連続の日記式調査ですが、2000年のACR調査では、「駅」の利用も日記式調査になる予定です。これにより、駅の利用実態だけでなく、駅と路線をあわせたR&F集計などが可能になりますので、さらに充実したデータを提供できるようになります。前述したように、当社では、現在、交通媒体データ集計ソフトの開発を準備していますが、より使いやすいシステムとしていくべく検討を重ねておりますので、今後とも関係業界の皆様のご指導をよろしくお願いいたします。

                         新聞雑誌マーケティング部 石井 一成

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<ACR東京30km圏調査概要>

 サンプル数:3600サンプル

 標本抽出法:1999年3月の住民基本台帳をフレームとした無作為2段抽出

 調査対象者:調査時に満12~69才の男女個人

 調査期間 :1999年5月17日(月)~5月23日(日)の1週間

 調査方法 :訪問による質問紙留置法

<職業分類>

 学生―中学生、高校生、大学生

 男性給料事務職

 男性給料労務職

 男性その他―男性自由暮管理職、男性商工自営業、男性農漁林業・その他・無職

 女性有職―女性既婚(主婦以外)、女性未婚の有職、主婦フルタイム、主婦パートタイム、主婦自営従事

 女性無職―女性未婚の無職、主婦専業

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