US Media Hot News 広告の競演、米スーパーボール中継より

VRDigest編集部
VRDigest編集部
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!

※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 全米一のプロ・フットボール・チームを決定する『スーパーボウル』が今年も米国で放映されました。'96年夏のオリンピック会場になったジョージア州アトランタで開催されたこの試合は、今年で34回目を迎え、"セントルイス・ラムズ"どテネシー・タイタンズ"が手に汗握る試合を展開しました。結果は、残り時間あとわずかというタイミングでラムズが優勝し、西部開拓時代の西の玄関口となったセントルイスの町では、地元ファンが祝杯をあげました。

 このスーパーボウルは、米国ではフットボールの覇者だけでなく、広告主の王者を決めるイベントとしても知られています。推定視聴者数は1億3000万人。これは、なんと全米人口の2人に1人がチャンネルを合わせた計算になります。過去の試合の平均視聴率は40%を超え、視聴率ランキングでは年間トップの常連です。また、視聴者のうち約800万人は、コマーシャルだけが目当てとも言われており、この絶好の機会を広告主が放っておくわけはありません。ただし、人気の番組だけにCM放映料金も半端ではありません。30秒枠の広告で今年最高だったのは、ハーフタイム中に流された一コマで、300万ドル(約3億円)。平均しても220万ドルで、過去最高と言われていた昨年の160万ドルを軽く超えました。毎年、このドル箱番組を巡って全米ネットワーク局がし烈な放映権争いを展開し、広告料金の急騰に拍車をかけています。

 今年のスーパーボウルの話題のひとつとしては、コカ・コーラ社のCMが復活したことです。広告料金の高騰にあきれ果ててか、ここ数年間はスーパーボウルへの出場を見合わせてきたコカ・コーラ社ですが、今年は"勝算あり"と睨み、再び参加した模様です。

 また、試合終了後にヤフーがスーパーボウルでオンエアされたコマーシャルだけを集めて、約1週間にわたりウェブサイトで公開したことも斬新な試みとして注目されました。スーパーボウル中のCMは、このためだけに制作される"必見モノ"も数多くあります。

 この話題のCMを見逃した人でもヤフーのサイトを覗けば、翌日の会話についていけたことでしょう。

 しかし何と言っても目立ったのは、「ドットコム企業」が増えたことです。広告を出した36企業のうち、約半数を新興のネット関連会社が占めました。昨年はオンライン求人の"モンスター・ドットコム"と"ホットジョブ・ドット・コム"だけでしたので、この1年間のドットコム企業の乱立ぶりとその勢いが伺えます。とは言え、立ち上がったばかりのドットコム企業は、ほとんどが赤字経営から脱していないのが現状です。投資家から集めた資金を一コマ200万ドル以上もするスーパーボウルCMにつぎ込むのは、決死の覚悟とも言えます。

 ドットコム企業がこれほどまでして広告を出したがっているのは、認知度と信頼性を即座に獲得できるからです。スーパーボウルだけでなく、最近はラジオやテレビといった従来型のマス媒体の利用が目立っています。無数のドットコム企業がひしめく中で、いかに自社の存在をアピールするかが成功の秘訣。ポータルサイトと提携してユーザーを引き寄せる方法もありますが、多くの人が見ているテレビ番組に広告を出せば、手っ取り早く名前を覚えてもらえることができるからなのでしょう。

 効果のほどを見るため、CMオンエア後にサイトのヒット件数を調べたところ、オンライン医療の"ウェブMD社"が49万7000件とダントツー位になりました。往年のモハメド・アリがシャドウ・ボクシングをするCMは、話題性としては今ひとつでしたが、アリの知名度に加えてこの一年に買収などのニュースで世間を賑わしたことが貢献してか、視聴者の興味を引いた様です。

 オンエア前と彼の比較では、ほとんど無名だった電子商取引ソリューション開発の"マイクロ・ストラテジー・ドット・コム"の件数が5000%以上伸びました。

 また、オンエア後に頭に焼きついた度合いを調べた調査では、オンライン証券の"Eトレード"がネット企業中で奮闘しました。CMに大枚を叩いたことを自ら皮肉り「これで私達は200万ドルを無駄にしました。あなたのお金の使い道は?」と問い掛けたユニークさが受け入れられたようです。

 米全国紙「USAトゥデイ」が実施した人気調査では、人気トークショーの司会者、オプラ・ウインフリーを起用した"オキシジェン・ドット・コム"やペットショップの"ペッツ・ドット・コム"がオンライン企業の中で奮闘しました。

 しかし、やはり強いのは出場経験豊富な大手企業です。10コマを買い取り、合計5分のCMを用意したビール大手のアンハイザー・ブッシュは、ランキング上位10位中、3位を独占しました。今年の覇者ラムズの出身地セントルイスに本拠地を構えるだけあり、相当な意気込みで臨んだ様子です。同社の御曹司オーガスト・ブッシュ4世が率いるマーケティング・チームは、アイデア溢れるCMを制作することで知られており、カエルに続き今年は大の「Rex」が大ブレイクしそうな予感です。

 常連のペプシコも実力を発挿し、炭酸飲料の「マウンテンデュー」とオレンジ果汁「トロピカーナ」の両方でランキング10位以内に食い込みました。

 こうして見ると、もともと知名度の高い企業がCM評価としてはいい成績を残したようで、新参者がいくら巨額を投じても、一夜にして消費者の心をつかむのは難しいようです。

Video Research USA, lnc.

この記事をシェアする
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!