米国デジタル・マーケティング最前線

VRDijest編集部
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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

~AMAインターネット会議報告~

 2000年3月29日(水)-31日(金)に米国ロサンゼルス郊外のパサディナで開催された"AMAインターネット会議-Marketing on the INTERNET"のご報告をいたします。

 この会議は、今年で7回目になり、まさにインターネットの成長と共に歩んでいます。また、多種多様な成功事例の増加に伴い、会議タイトルが示す通り、よりマーケティングにフォーカスした会議になっていました。今回は既存企業、ドットコム企業、コンサルタント企業等計18社の多岐にわたる内容の発表があり、インターネット業界の活況を肌で感じました。

ツアー概要

 主 催:日本マーケティング協会

 日 程:2000年3月28日(火)-4月2日(日)

 訪問地:アメリカ合衆国

     サンノゼ:スタンフォード大学、シリコンバレー企業訪問

     パサディナ:AMAインターネット会議参加

 ツアー主旨:米国マーケティング協会(AMA)主催のインターネット会議に参加し、米国企業の最新事例に触れ、今後の業界展望を確認する。

 ツアー参加企業:大学・研究機関、広告会社、広告主、調査会社、制作会社他 総勢 37名

AMAインターネット会議概要

 主 催:米国マーケティング協会

 日 程:2000年3月29日(水)-31日(金)

 場 所:Ritz-Carlton Hotel,Pasadena,CA

 参加者:全世界のインターネット関連マーケッター

     (起業家、広告・制作会社、研究機関等含む) 400名程度

会議における発表内容は大きく以下の3つに分類できます。

 ①既存事業へのインターネットの取組みをしている企業からの報告

   GM、GTE、Nieman Marcus等

 ②インターネット技術をベースに新事業を構築している企業からの報告

   Travelocty、Adauction等

 ③インターネット関連のサービスやコンサルタントを実施している企業からの報告

   Be Free、Digitas、Net Perseption等

 それぞれの分類で5~7社の発表がありましたが、個別報告は紙面上無理ですので、それぞれの分類の感想を中心に報告させて項きます。

◆最初の既存事業へのインターネットの取組みをしている企業からの報告は、規模の大小を問わず何らかの形でインターネットに取組んでいるが、既存の資産があるがゆえに問題を抱えている印象を受けました。

 Eビジネスを開始する際、メーカーの場合、BtoBなら既存の原材痢購入メーカーと、BtoCなら既存の流通網とのカニバリが発生しその串L轢をいかに克服していくかが問題となります。またEコマースサイトを自社で立上げても、消費者の比較検討要求から単独サイトでは機能しなくなるといった問題もあります。そんな問題を内在しつつも、効率経営のもと生き残りを掛け、経費節減、グローバル化、スピード化の為に各社ともインターネットへシフトしている印象でした。さらにインターネットシフトは株価維持・向上のメリットも背後にあるようです。

◆2番目のインターネット技術をベースに新事業を構築している企業からの報告は、いわゆるドットコム(.com)企業で今をときめくアメリカンドリームの内容です。各社ともサービス・商品の内容は多岐にわたりますが、インターネット技術を前提にして「白紙の上にビジネスデザインを構築」する事ができる為、アイデアとスピード、信頼性次第で大成功をおさめる事ができます。しかし、模倣が可能な為いかに早くその事業領域で断然優位に立ち、そして維持していくかが重要だと感じました。

 彼らは、インターネット消費者の特徴として

  ・①高所得②知恵が回る③せっかち④要求が厳しい

  ・地理的制約が取り除かれている(グローバル)

  ・消費者同士で購買経験に関する情報を共有する(コミュニティ)

  ・結果として、「売り手」より「買い手」が力を持つようになった

 等を挙げています。

 また、消費者を自社のサイトに惹きつけ、満足を得るには

   ①質の高いホームページ②無料配送③関係性の確立と維持

 等を挙げています。

  そして、顧客満足に最も影響を与えるのは、顧客サービスの品質であり、品質維持の為にはコールセンターなど人手が掛かる部門(労働集約型)もないがしろにはできないと考えています。

◆最後のインターネット関連のサービスやコンサルタントを実施している企業の報告は、インターネットならではのデータ収集・蓄積をベースに各種サービスの開発やコンサルテーションを実施する事で利益を得るものです。但し、これまで企業は情報の収集を企業の機能別、事業別で行ってきたが、今後は顧客という軸で情報の集計方法を構築し、それに対応したアクションを取るべきであり、さらにパーソナライゼーションによるデータマーケティングの必要性も感じました。

 具体的には、Webサイトの接触状況データやバナー広告接触データそのものの収集、それらのデータをもとにした評価、コンサルテーションの実施、データベースマーケティング、コミュニティの活用等が挙げられます。

 全体を通して3つのキーワードにまとめてみました。

①Bricks and Clicks(リアルとサイバーの統合)

 Bricksはブロック(レンガ)で既存の資産・技術の代表を示し、Clicksはマウスのクリックでインターネット資産・技術の代表として語呂のよさからか頻繁に使われていました。

意味合いとしては、これまで個別に展開されてきた「リアル(Bricks)とサイバー(Clicks)」のインフラやマーケティング手法を統合し競争力のあるソリューション提供を実施する事が必要である。また、リアルとサイバーのバランスが重要であると説いていました。

②Personalization(パーソナライズ化)

 インターネット特有の個別(個人)データを最大限活用し、「One to One」マーケティングに必要なデータ収集をもとにパーソナライズ化されたサービスの実施を行う事です。

 但し、パーソナライズ化に際してはいくつかの課題が存在します。

 課題1.プライバシーの問題

     パーミッション・マーケティングでは問題解決されず、特定エージェントのみに個人情報を預けエージェント経由でしか個人情報が得られなくなる事も想定されます。

 課題2.Eビジネスも労働集約型のビジネスモデル

     サービス向上競争の中で、人を貼り付ける場面が生じてくるのは明らかです。

     その時ごく限られた商品カテゴリーを提供する」働イトがパーソナルサービスを提供できるのか。-方、幅広い商品カテゴリーを持ち、財布内シェアを最大化する総花的業態がパーソナルでユニークな販売活動ができるかといった問題に突き当たります。

③Community(共通価値集合体)

本来、個人レベルでの双方向、参加性を特色とするインターネットツールならではのコミュニティ概念の活用が考えられます。コミュニティは「企業が場を作り、消費者が利用する」というプッシュ型の手法と「自然発生的に消費者が場を作り、結果として企業が利用する」というプル型の手法が考えられます。

前者は、資源(コンテンツ)が揃っていて、やり方を間違わなければ、かなりの確立で成功が期待できます。しかし、標準化や模倣が可能です。そのためコンサルティングビジネスが存在できるのでしょう。

後者は、ケースバイケースで、必然と偶然の賜物です。よって、投資件数に対する成功確立は低いです。逆に、標準化や模倣は困難な為、成功すれば非常に強い存在になります。

事業内容は違っていても、これらの言葉を各講演者は随所に織り交ぜ使用していました。

Eビジネスを実施する際に注意すべきキーワードとして、十分考慮する必要があると考えます。

最後に全体感想として、Eビジネスは、Webという狭い世界の中だけで技術中心に最適化を考えるのでなく、その企業やブラン施策全体の中で、既存インフラや媒体とWebをシームレス(継目なく)に連携させながらマーケティング活動の最適化を図る事が重要と感じました。すごく当り前な内容ですが、新しい技術だけですべては完結せず、既存の古い理論・資産が全部ダメな訳ではありません。まさにBricks and Clicks(リアルとサイバー)のバランスをいかにとっていくかが重要でEビジネス展開に際してもキーポイントとなる事でしょう。

eマーケティング室開発業務推進部  宮森 淳一

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