VRの生活者研究 今、注目の50代とは、どのような人たちなのか?

ソリューション推進局 テレビ事業推進部
松岡 逸美
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※本記事は2015年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

先日、カタログ通販「ベルメゾン」を運営する千趣会が2015年5月に5 0代からのファッションカタログ『Vialamo(ヴィアラモ)』を創刊するという記事を目にしました。ベルメゾンにおいて、40代後半から50代の顧客はこの5年間で約1.6倍に増加しており、新カタログ創刊はターゲット拡大の施策であるようです。そういえば、ここ最近「50代ターゲット」を明確に宣言したサービスを目にすることが多くなったような気がします。例えば、55歳以上だとお得なサービスが受けられる高田純次さん、夏木マリさんのスタイリッシュなCMが印象的なイオンのG.G戦略、「50代の肌をぱっと明るく!-5歳肌」という久本雅美さんの起用が新鮮だった花王ソフィーナ「プリマヴィスタ」などがあります。市場が注目する50代について、あらためて整理してみようと思います。

日本の人口状況

1956年から1965年に生まれた今の50代は、1,546万人、日本の人口の1割強を占めます(総務省平成27年1月人口推計データ)。高齢化社会の日本において、現在50歳以上の割合は40%ですが、2020年には47.7%、2025年には50%を超えるとされています(国立社会保障・人口問題研究所2013年予測)。10年後の日本の中心年齢はちょうど50歳くらいまで引き上がることになり、労働力としても50代はまだまだ中心に位置する必要があると言えます。

今の50代は、どのような時代を 生きてきたか

今の50代が生まれた1960年代前半は、日本 が高度経済成長に向けて邁進を始めた頃です。 生活レベル向上を示すテレビ・冷蔵庫・洗濯機が「3種の神器」と呼ばれたのは1960年頃で、幼少期に生活が徐々に豊かになって行くのを体験しています。1964年に開催された東京オリンピックはテレビの世帯普及率を大きく押し上げる契機となりました。小中学生時代は少子化の影響もあり習い事や塾通いで多忙に過ごし、高校受験を乗り越えた後、世の中には女子大生ブームが訪れ、彼女たちがメディアにも登場して脚光を浴びました。深夜お色気番組の代表格であった土曜深夜のフジテレビ生放送番組「オールナイトフジ」に出演していた女子大生たちは"オールナイターズ"と呼ばれ、番組に華を添える欠かせない存在だったそうです。その後、就職は売り手市場で企業からの過剰な綱引き合戦が繰り広 げられ、入社前に海外で研修を受けさせる企業もありました(今の若者からは想像もつかないでしょうね...)。仕事も私生活も忙しく華やかなバブル時代を20代に過ごしています。女性は、キャ リアウーマンの"Hanako族"、結婚後も"コマダム""VERY族"等と呼ばれ、他の世代に比べ、ファッションや食生活など生活全般において、お洒落で華やかな消費を嗜好する傾向があると言われています。冒頭でも取り上げましたが、この世代向けの雑誌の創刊ラッシュは現在も続いています。例えば、先駆けとしては「LEON」「MEN'sEX」といった"ダンディなオヤジ"を目指した男性誌で、2001年の創刊以来、LEONのモデルとして今も表紙モデルを務めている"ちょいわるおやじ"パンツェッタ・ジローラモは今52才です。女性誌もHERS/eclat/Richesse/GOLD/MADUROなどが挙げられますが、当時日経ウーマン/Hanakoを読んでいた世代ということもあり、外見だけでなく内面にも注目して ライフスタイル提案を行っている雑誌が多く見受けられます。2009年に光文社より創刊された「美STORY」「国民的美魔女コンテスト」から選ばれた一般女性が読者モデルとなりメディア露出し、その後も"美魔女"という言葉は見事に定着しましたが、その40代がもうすぐ50代になろうとしている、既になってきていることも注目すべき点です。

ライフステージが後ろにズレている

今の50代は10年前の50代とは少し人生設計への考え方が 変わっているかもしれません。2013年4月から60歳などで定年を迎えた社員のうち、希望者全員に対し65歳まで継続雇用制度の導入を企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が施行されたことがきっかけです。定年年齢自体を65歳に引き上げて設定変更している企業も出てきています。社会人生活は60 歳まで、と思って仕事をしてきた会社人にとって、退職までのカウントダウンがプラス5年後ろにずれ、定年退職後の設計が5年延びる格好となります。

女性の働き方も変化が起きています。女性の高学歴化、高就業化や、世の中の景気低迷が要因と考えられますが、共働き世帯が年々増えており、内閣府男女共同参画白書(平成26年版)によると2013年時点で共働き世帯は1065万世帯、専業主婦のいる745万世帯を大きく上回り、その差は今後も増える傾向にあるようです。子育てと労働の関係を見てみますと、末子が未就学児から小学校に上がるときが仕事復帰の一つのタイミングであり、子供に手がかからなくなると仕事に復帰していることが分かります。復帰後そのまま50代も就業が続いており、女性においても50代はまだまだ「働く」世代であると言えます。

今の50代の意識面での特徴

次に、今の50代が他の世代と比べて目立った特徴があるかどうか確認するために、当社「ACR/ex」調査のサイコグラフィック(意識)での項目で確認してみました【図表1】。 すると、今の50代の特徴として、

①ファッションや美容への意識が高い

②テレビや広告との距離が近いことが分かりました。

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例えば、男性は、高級ブランドの靴やスーツを所有している割合が、他世代に比べて一番高いようです。バブル時代に経験した「良いものを身に着けたい」という感覚を持つ方が多い世代と言えます。一方、女性は美容にお金を掛けているようです。他の年代と比較しても、化粧品に一番お金を掛けるのは50代女性です。「化粧品にお金をかけるほう」と答えた割合は20代よりも高いようです。「特別な機能や効果の化粧品を買う」「化粧品の機能や成分にこだわる」「流行の食事やダイエットを試す」「若く見せるオシャレを心がけている」といずれも年代比較でトップであり、美意識の高い世代だと言えます。

テレビについては「何となくTVのスイッチを入れてしまう」が男女ともに各年代トップであり、生活の一部と化しているようです。また、「流行を知るために、広告には大いに関心がある」も男女とも一番高く、広告に対しての興味も一番高い年代です。ちなみに余談ですが、20代の頃に流行ったCMは時任三郎さんが当時のザ・サラリーマン役を演じたリゲイン「24時間たたかえますか♪」、もたいまさこさんの渋いトーンが心に残る金鳥ゴン「亭主元気で留守がいい」、高田純次さんが楽しそうに飲みに出かけていくグロンサン「5時から男のグロンサン♪」など、当時のイケイケな世相を表すCMが多かったことが印象的ですね。

今の50代と10年前の50代に テレビ視聴の違いはあるか

テレビとの距離が近い50代ですが、今どのようなテレビ番組を見ているのでしょうか。2014年と10年前にあたる2004年の「50代の高視聴率番組ランキング」を作成してみたところ、女性は10年前とさほど傾向は変わらず民放ドラマ・バラエティが上位を占める結果でしたが、男性で2つの面白い傾向が見られました【図表2】。

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ひとつは「プロ野球」です。10年前は上位に多数ランクインしたのに対し、2014年はベスト20の中に1本しか入っていませんでした。プロ野球の放送自体が地上波で減っているという事実はありますが、今の50代が20・30代のときにサッカーJリーグの開幕を迎え、アメリカのプロバスケットボールNBAを衛星放送で日本でも視聴可能になるなど、ファッション性のある若年層にうけるスポーツの流行もあり、野球に対する熱狂度が薄まった可能性も推察されます。

2つ目の特徴は「国内ドラマ」です。プロ野球を除いてランキングを作り直して比較したところ、10年前の50代にはあまり見られていなかった国内ドラマを、今の50代はよく見ていることが分かりました。今の50代が20代の当時、トレンディドラマ全盛期でした。その先駆けともいえるTBSで放送された明石家さんま、大竹しのぶ主演の"夏物語"の続編である「男女7人秋物語」 は、1987年12月18日(金)の最終回で、関東地区の世帯視聴率は36.6%と高視聴率をマークしました。バブル時代を象徴するような出演者の設定や派手な男女の交際模様を若者たちはきっと楽しんでいたのだと思います。今は"恋愛ドラマ"自体が減っているようにも思いますが、当時からの習慣が今の50代男性の国内ドラマへの関心の高さに繋がっているのかもしれません。

アクティブなイメージの強い50代ですが、寄る年波には勝てないこともあるようです。40代と比べ「病院へ定期的に通っている(40代:28.7%→50代:45.1%)」「塩分のとり過ぎに注意している(57.2%→68.8%)」「定期的に健康食品を利用している(18.7%→25.0%)」と、健康への留意がより強くなる年代でもあります。ただしこれまでの話を総合すると、例えば健康でもファッション性を持たせるなど今までと違うアプローチが必要であるように感じます。

世の中の50代の方とお話していると、えも言われぬ強いエネルギーを感じていましたが、今回のデータ分析でその背景に近づくことができました。「もう3層※だから」などとご自身のことを揶揄するのを耳にすることもありますが、まだまだ若い人たちには負けないよというジャブですね。まさにこの世代、恐るべしです。今後も50代マー ケティング、そして50代の皆さまから目が離せません。

※「3 層」とは M3(男性 50 歳以上)、F3(女性 50 歳以上) を指す。

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