解剖中国市場 vol.6 ピンスーブタイカンディェンスー 平時不太看電視

王 静秋
国際事業室
王 静秋
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!

※本記事は2015年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

前回のvol.5では、テレビ番組にプロダクトプレイスメント広告がよく出稿されている記事を書きましたが、そもそも中国のテレビ視聴環境と視聴習慣がどうなっているのかとの質問をいただいたので、今号から2回に分けて、現在の中国のテレビ視聴状況についてご紹介します。

中国国家新聞出版広電総局の発表によると、2015年6月末までに、中国の地級以上の行政区画(※注1)に371のテレビ局があります。テレビ局はほぼ国有であり、所轄行政区画のランクに従い、国家級テレビ局、省級(自治区、直轄市と単列市を含む)テレビ局と地級(省都都市を含む)テレビ局の3階層に大別されます。国家級のテレビ局は中央電視台(CCTV)と中国教育電視台の2局で、全国向けに放送して中国の98.6%のエリアをカバーしています。省級と地級テレビ局は各省、自治区、直轄市、単列市及び地級都市に1局以上作られ、原則として地域内で限定的な放送を行ないます。難視聴地域への対策として国から特別に許可を受けた省級衛星局は、受信手段さえあれば、他所の行政地区からでも視聴できるため、全国放送となります。

CCTVはよく日本のNHKに例えられ、国内向けに23チャンネルを展開する最大手のテレビ局となっています。省級(日本の県にあたる)のテレビ局では、上海市が最も多い14チャンネルを有し、最も少ない青海省とチベット自治区でもそれぞれ4チャンネルを持っています。省級の下にあたる地級のテレビ局は1桁台のチャンネルを持ち、小さい都市だと1局に1チャンネルしかありません。チャンネル数でいえば中国全土で合計1,172チャンネル(2015年6月末時点地級以上)あります。

CSM社の「全国視聴世帯基礎調査」の結果によると、テレビの世帯普及率は、2014年も97.7%で安定しており、台数を見ると1台だけ所有する世帯が67.2%で、2台以上が30.5%です。1世帯あたりの平均所有台数は【図表1】で示すように1.37台ですが、農村部のほうが住居の広さと世帯人数の多さから、都市部より所有台数がやや多くなっています。所有するテレビのタイプを【図表2】で見ると、日本では見られなくなった普通のブラウン管カラーテレビの所有率が69.9%で、依然として主流となっています。液晶やプラズマなどのフラットスクリーンテレビの所有率を比べると、都市部が農村部を15%ほど上回り、生活レベルの差が垣間見えます。

(※注1)中国の地方行政構造は、今年5、6月合併号の解剖中国市場vol.4「新型都市化と県域市場」にてご紹介

2015_547_10-15_01.jpg

2015_547_10-15_02.jpg

「中国広播電視年鑑2015」によると、2014年末時点では、2億3,458万世帯(全国に約3億7 千万世帯がある)がケーブルテレビ(IPTVを含む)を利用しています。CSM社のデータでは、全国のケーブルテレビの平均普及率が67.5%、都市部では81.9%の世帯がケーブルテレビに加入しています。一方、農村部では、ケーブルテレビネットやインターネット回線が十分に展開されていないため、半数近くの世帯がテレビの屋外アンテナ、または衛星受信アンテナを使っています。平均73チャンネル、最多の北京では140チャンネルも視聴できる恵まれた都市部の視聴環境と違って、中部や西部の辺鄙な農村では、CCTVと地元のローカル局しか見られない地域が多々存在します。格差の大きい中国にあって、テレビ視聴環境においても格差があるようです。

2014年のテレビ視聴現状

1.平均視聴分数は日本の約半分

【図表3】が示すように、2001年以降の一人あたりの平均テレビ視聴分数は下がる傾向にあります。2005年と2006年には、各局がニュース番組の内容充実とバラエティー番組の制作に力を入れ、人気のFIFAワールド杯の試合中継もあったことから、視聴時間は若干挽回しましたが、2007年には、庶民の日常生活をクローズアップした民生ニュースとオーディション番組への新鮮感が徐々に薄れるにつれ、再び下がりました。北京オリンピック、建国60周年記念行事とロンドンオリンピックのあった2008年、2009年と2012年は、人々がテレビの前に集まる時間が前の年に比べて少し長くなりましたが、それ以外の年の視聴分数は減少する一方です。そして、2014年には、一人1日あたり161分と最低記録を更新しました。日本では、関東地区での同年度一人あたりの1日平均視聴分数が311分で、毎日中国人の倍ぐらいテレビを見ていることになります。

テレビ視聴時間の減少が最も顕著なエリアは、広東、広西と海南3省を含む中国最南部の華南地域で、全国平均の161分を23分も下回っています。年齢別で見ると、視聴分数が最も少ない15~24歳と25~34歳男女の視聴分数の減少幅が最も大きく、3年前に比べて12分も短くなりました。65歳以上は他の年齢層と違って、毎年視聴分数が延び続ける唯一の層で、3年前より16分も長くなっています【図表4】。

2015_547_10-15_03.jpg

2015_547_10-15_04.jpg

2.昼と夜のテレビ

中国の1日における全国の平均視聴率と関東地区を比較しました【図表5】。

関東では夜、朝、昼に大、中、小のピークが3つ現れています。平日は土日より、朝30分ほど早くテレビをつけて、視聴者の数も多く、所謂時計代わりの視聴習慣が顕著に見て取れます。朝と夜のピークの間の視聴率は、週末と平日で約5%の開きがあり、土日の視聴が平日を上回っています。

2015_547_10-15_05.jpg

一方、中国の視聴率の推移曲線には、夜と昼の大、小2つのピークしかありません。朝はテレビをつける習慣がほとんどないようです。筆者が友人たちにヒアリングした結果、

・子供がいる家庭では、朝は自分と子どもの身支度、朝食の準備、子どもの学校送りがあるので、毎日時間との闘いでテレビをつける余裕がない。

・祖父母になった世代は子供に代わって孫の世話で忙しくするグループと、早朝から公園や広場に行って運動するグループに分かれ、テレビを見る人は少ない。

・独身者は、身支度をしたら即家を出て、朝食

視聴率は総じて関東を下回ります。夜の最高視聴率は関東と同じで、8時半に現れますが、平日では、関東の42.8%を5ポイント下回って、38%に止まります。朝の時間帯では、その差が更に顕著で、20%前後となります。前出の友人にヒアリングした際も、ほとんどの方が同じ言葉を最初に口にしました。それは「我平時不太看電視」です。朝に限らず、普段はテレビをあまり見ていない、見る気がしない時はテレビをつけないといった意味が含まれています。テレビは日常生活にとって欠かせないメディアと感じる人の割合が日本より低いと推測できます。

今号は中国のテレビ局配置の構造とテレビ視聴の大まかな流れを、行政区画の格の違い、生活習慣の違い、番組編成の違いを交えて概観しました。次号では、視聴率からみたテレビ局のパワーバランスを紹介する予定です。

[データ出典] 中国国家新聞出版広電総局 中国広播電視年鑑 2015

CSM 社の全国視聴世帯基礎調査、視聴率調査 VR 関東地区視聴率調査

中国の生活者がみえる

CNRSデータ集2014 発刊!

CNRSデータは中国の生活者を様々な角度から 同時に捉えた最大規模のシングルソースデータです。 今回、2014年データを編集したレポートを販売します。中国都市部の生活者の「ライフスタイル」「商品・サービス利用」

「メディア接触」がこの1冊でみえてきます。

【本データ集でわかること】

① 都市ごとの

・消費者の規模・プロフィール

・消費者の家庭生活環境・生活水準

・消費者の商品所有・利用嗜好

・オーディエンスのメディア接触習慣・嗜好

・影響力の大きいメディア

② メディア、耐久財、日用品・食品・サービスごとの 都市間の違い、消費エリア分布

CNRSの調査概要

中国主要60都市、15~69歳男女個人、10万サンプル

メディア

新聞480紙

雑誌250誌

テレビ500チャンネル

ラジオ420局

インターネット300サイト

屋外メディア30種類

商品・サービス

150カテゴリー5500ブランド

2014年データ集を販売するにあたって、2013年のデータ集を無料でおわけします。

ご用命は当社営業担当者までお知らせください。

この記事をシェアする
  • facebook
  • facebook
  • Twitter
  • HatenaB!