解剖中国市場vol. 9 美膜(魔)女 "女心"が透けて見える

王 静秋
営業局 国際業務部
王 静秋
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※本記事は2016年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

最近の中国化粧品市場で特に人気が高まっているのが美容パック・フェースマスクです。来日観光客が爆買するアイテムでもあり、年々その需要が伸びています。2014年のCNRS調査※によると、主要60都市の15~69歳女性における美容パック・フェースマスクの利用率は44.2%で、2011年の4人にひとり(23.3%)からほぼ倍増しています【図表1】。

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この美容パック・フェースマスクは、中国では「面膜」(ミェンモー)といいます。「膜」の中国語の発音が「魔」と同じであることから、「面膜」が急に売れたことを「膜(魔)法降臨」と揶揄する人もいます。

美容パック・フェースマスクの利用者のほとんどが20~49歳の女性です。結婚まであと一歩の恋人と同棲中の女性や、将来いつかは結婚するであろう独身女性の5割近くが利用しています。さらに既婚者の利用率も独身女性と遜色なく、いずれも二人に一人が利用しているのです【図表2】。

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そんな中で、伴侶と離別・死別した女性の利用率は一気に3割弱まで落ち込みます。この傾向は、中国に古くからある言葉「女為悦己者容」を思い起こさせます。「女為悦己者容」とは、女性は自分を愛してくれる人、認めてくれる人のために、美しくお化粧をするという意味です。美容パック・フェースマスクは肌の調子を甦らせる即効性があるとされ、更に、好きな時に手軽に、且つ手ごろにできるため、「悦己者」つまり、自分を認めてくれる人のいる同棲・既婚者、或いは「悦己者」がほしい独身女性にとって当然魅力的な商品となります。反対に、「悦己者」がいないとなれば、無理して手を出さなくてもいい商品にとどまります。まさに、"女心"を反映した商品の一つと言えましょう。

収入との関係でみると、利用者は収入が高く、化粧品全体にかける金額も女性全体を著しく上回っています。中でも個人月収が美容パック・フェースマスクの消費により影響していることがわかります。また、スキンケア商品やコスメに、より多くのお金を使っていることから、経済的に自立した女性の方が自分磨きに精を出している様子がうかがえます【図表3】。

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美容パック・フェースマスクを最もよく利用する都市は社会経済ランクが最も高い1線都市です。1線都市とされる北京、上海、広州、深圳の4都市では、上海女性の美容パック・フェースマスクの利用率が59.4%とトップで、利用者の平均年齢も最も高い37.6歳です。4都市の美容パック・フェースマスク女性利用者家庭の経済状況を示す【図表4】を見ると、北京の利用者が最も高収入寄りで、上位2階層で63.4%を占めています。北京と逆の傾向を示しているのは上海で、中低・低収入利用者が6割強で、上海では、低所得者にも美容パック・フェースマスクが浸透している様子が見られます。

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美容パック・フェースマスクはスキンケア商品ですが、化粧水や乳液などの利用率の高い基礎化粧品と違って、過去に利用者が少なかった分、市場の伸び代が大きい商品です。そのため、中国の化粧品業界では、消費者のニーズをいち早く把握し、ニーズに合致した商品を市場に提供する流通戦略とコミュニケーション戦略を駆使することで、中国市場での伸び代獲得を有利に進めるホットな競争が展開されています。

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