働く女性の暮し

VRDigest編集部
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※本記事は1985年に発刊したVR Digestに掲載されたものです

-高度情報社会との接点を求めて-

 これは、日本ヒーブ協議会の第7期活動の-環として調査した「働く女性と暮しの調査」からの抜粋です。

 これまで、比較的資料の少なかったフルタイムで働く女性の暮しの調査資料として、さまざまな分野において参考になるのではないかと思い紹介いたします。

(調査概要)

◆調査地域、調査対象:20~39歳のフルタイムで働く女性(首都圏・京阪神地区居住者)

日本ヒーブ協議会会員(上記地域に限らず全員)

◆サンプリング方法:有意抽出

◆調査期間:昭和60年7月31日(水)~8月31日(土)(但し、グループインタビューは昭和60年10月15日(火)~10月21日(月))

◆調査方法:留置調査法による自記式アンケート及びグループインタビュー法(首都圏のみで実施)

◆回収状況:有効回収718人

◆調査実施:日本ヒーブ協議会

◆集計協力:㈱ビデオ・リサーチ

◆標本構成:

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生活者分類による働く女性像(生活者分類については〔注〕参照)

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 生活者分類をもとに、-般女性(20~69歳)と今回対象の働く女性の意識を比較すると、上記のように、働く女性では自己実現欲求階層(25.8%)が-番多く、一般女性(5.8%)

との差も非常に大きくなっている。

 この自己実現欲求階層の特徴を社会生活充足度(縦の階層分け)でみると「経済的、物質的には満たされていないと感じているが、精神的には人をリードしたいという意識が強い」層であり、生活充実感(横の階層分け)でみると「生活充実感が強く、革新的であり、自分の思っていることをとことんやっていく」という、いわゆる内面を追いかける層である。

 この特徴が、そのまま働く女性のプロフィールとして「上昇志向の強さ」「自信を持ち、高い目標に向って生きてゆく」「社会の規範にとらわれず新しいことへ意欲的に挑戦する」という意識が浮かびあがっている。

(注)生活者分類について

(株)ビデオ・リサーチが、米国スタンフォードリサーチ研究所の開発したVALS手法をもとに、

日本独自の観点に立ち生活者を分類した。

VALSとは、VALUE AND LIFE-STYLE SEGMENTの略で、ライフスタイルに価値観の概念を加えたセグメントであり、人間形成における基本的な理論を持ち込み、人間そのものを分類化しようとする点で、従来のクラスター分析とは異なっている。

(株)ビデオ・リサーチの生活者分類は、社会生活充足度による5階層を生活充実感でさらに11階層にタイプ分けしたものであり、内容は次のとおりである。

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Ⅱ 調査結果の要約

1.仕事について

・働く動機としては、自己の成長(56.5%)、社会とのつながり(37.2%)、経済的自立(35.9%)などが高く、自立志向や自己の精神的充足を求めていることがわかる。

また、9割以上の人が仕事を続けたいと答えており、その意識は年代・年収の高い人ほど、また夫や子供のいる人ほど高くなる。

・仕事をする上でのマイナス点は、時間にゆとりがない(59.5%)、疲れる(37.3%)、家事がおろそかになる(32.5%)が上位にあがっており、毎日を忙しく過ごしている様子がうかがえる。働く女性にとって、時間へのこだわりは強く「時間のゆとり」をいかにして作り出すかが日常生活の大きな課題になっている。

2.家事の役割分担について

  右図のように、家事全般の各項目にわたって半数以上がほとんど自分ですると答えており、働きながら多くの家事をこなしていることがわかる。

【グループインタビューでの発言】

・夫の家事協力は絶対的に必要と思うが、彼の仕事の性質・彼の性格を考えると無理なのであきらめている。(子供あり)

・手伝ってもらっても、思うようにやってもらえないのでつい自分でやってしまう。(夫婦のみ)

・夫は気が向かないとしない。(子供あり)

・非常に協力的だが、自発的にやらない。(夫婦のみ)

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3.生活の重点項目

生活領域別に重点を置いているかどうかをたずねた結果、重点を置いていると答えた割合は以下のとおりである。

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4.自動化(ホームオートメーション)の利用意向と生活欲求

  右表はニューメデンア技術で可能とされている18項目の自動化について利用したいと思うものをたずねた上位8項目の結果である。

 自動化の利用意向を種類別にみると、約7割と高かった項目は下記の通りである。

(1)外出時の留守宅への不安解消と遠隔操作

[セキュリティ]-戸建居住者が特に高い。

【グループインタビューでの発言】

 ・朝の戸締り、火の元のチェックは10分くらいかけて何度もする。(ひとり暮し)

 ・出張の時は神経過敏になる。(ひとり暮し)

 ・朝のアイロンかけが多く、コンセントを抜き忘れ電話を入れることが2回位/年ある。

(ひとり暮し)

 ・復唱点検をした時は自分を信じられる。(ひとり暮し)

 ・会社に電話がくると"ドキッ"とする。「生きててほしい」と思う。(子供あり)

[テレコントロール]独身ひとり暮しが一番高い。

【グループインタビューでの発言】

 ・帰ってからごはんを炊くと時間がかかる。お腹がペコペコですぐ食べたいから、つい外食をしてしまう。(ひとり暮し)

 ・子供が帰る少し前に暖房をつけてやりたい。(子供あり)

 ・子供が大きくなると鍵をかけずに遊びに行ってしまうので、外からコントロールしたい。

(子供あり)

・照明がついていないと、留守に見られて不安なので近くの親戚の人につけてもらう。(子供あり)

 などだが後者の2項はセキュリティとも関連がある。

(2)生活時間のズレを家庭内でおぎなえるもの

[ホームバンキング]今回のアンケート調査からも、困っている上位項目として「金融機関の窓口営業時間が短い(50%)」があがっている。

【グループインタビューでの発言】

・平日6時・土曜2時のサービスでは不満。(子供あり)

・第2土曜が休みでみじめな思いをする。(ひとり暮し)

などだが、この項目の利用意向が高いのはフルタイムで働く女性の特徴とうかがわれる。

[ホーム予約]独身一人暮し(20代)に特に高く、若者のレジャー志向がうかがわれる。

 以上、上位4項目について述べたが、フルタイムで働く女性は、留守中の安全確認とコントロール及び子供の安全や快適さに対する配慮への解決策として、自動化(ホーム・オートメーション)への欲求が高いといえる。

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Ⅲ 調査結果からの考察

調査の結果から、フルタイムで働く女性のきわだった特徴として次のようなことがあげ

 られる。

1.仕事をすること、仕事を続けることには意欲的である

  働く女性は、仕事を通して自己の精神的充足を求めている。仕事の継続意向はきわめて高いが、30・40代の半数以上は「現在の会社で働き続けたい」と考えているのに対し、20代の約3割には、「良い条件のところがあれば就職したい」と考えている。年代が高くなるほど、独立志向が強くなるが、これは仕事への自信と現在の処遇に深く関連していると思われる。

2.家事は自分の責任で行ないたいと患っている

  働く女性、なかでも主婦は、時には家族の協力を求めながらもほとんどの家事は自分で行なっている。職業を持っているために、家事は手抜きをしていると思われたくないという意識を強く持っている。しかし、自分が主体となって、家計管理や家庭運営の長期プランなどを行なおうとは考えていない。

3.家族の健康が第-と考えている

 仕事も家庭も健康あってのこととの思いは強いが、積極的に体力づくりや健康増進のために何かしているわけではない。日常生活の中で健康への配慮をしている程度である。

限られた時間の中で、家事をしようとすれば、おのずと優先順位が存在する。調理や献立作り、衛生(食器・ふきん洗い等)、健康管理に関連深いものが優先され、人まかせにしたくないという気持ちも強い。但し、防虫対策のように、重視していても手に負いかねることについては、専門家やサービスにまかせたいという面がみられる。ガラス窓や家具などの手入れ・掃除など健康との関連が薄いものは、家族の手を借りたがっている。

4.心と時間のゆとりを求めている

  働く女性が仕事も家事もこなしてゆこうとすると、絶対的に時間が不足する。さらに、生活時間帯のズレによる障害があちこちでみられ、時間にゆとりのないことが最大の悩みとなっている。この絶対的時間不足をサポートするための、多様な商品・サービスには、暮しのこだわりや価値観を充分に配慮したうえで、時間が節約できるものが望まれている。

5.家族・友人とのコミュニケーションを重視している

  夫や子供とのコミュニケーションは重視しており、時間の少ない中においても質を高めていきたいと考えている。独身でひとり暮しの者は、友人・知人とのコミュニケーションを、レジャーを兼ねた形で密にしている。これらをふまえ、コミュニケーションのための商品・サービスの利用意向は高いとみられる。-方、地域とのコミュニケーションへの関心は低く、挨拶をする程度にとどまっている。しかし、子供を持つ者は、育児・教育情報を地域での口コミによって得たいと思っている。

6.子供のためには.時間もお金もかけたいと思っている

  働く母親にとって、子供とのコミュニケーションは最も気がかりなことである。

子供と接する時間を持つために、他のことは後まわしにすることも多い。また、仕事・家事・育児をかかえ、孤軍奮闘している彼女たちをサポートする質の高い商品・サービス・情報の提供には、多少費用をかけても利用したいと考えている。

7.必要な情報は.情報源の幅を広げ充実させたい

  最も手軽に利用されている情報源としては、印刷媒体があげられる。情報の選択が容易で時間・場所の限定がないことが忙しい生活とマッチしているのだろう。欲しい情報は医療・健康情報、レジャー・旅行情報、金融・利殖情報、育児・教育情報などである。

 これらの情報は、情報源も多様に求められており、ニューメディアを利用した情報提供も期待される。

8.自由に使えるお金は生活のレベルアップとストレス解消に費やされる

  働く女性にとって、自分で自由に使えるお金があることは、最大の強みである。多少費用かかかっても、質の高いもの、生活に便利なものは積極的に取り入れようとしている。

 また、日常の買物や、ファッション、交際、旅行など、仕事や家事からくるストレスを解消してくれる要素が強いものへの出費も多い。しかし、継続的、計画的な支出プランを立てているわけではなく、一過性の出費が多いようである。

9.自動化が望まれるのは、留守宅への配慮と生活時間のズレを家庭内でおぎなえるものである

  日中、家を留守にしている働く女性にとって、留守宅の安全確認は最も神経を使うところである。火事やどろぼうなどを通報し、事故を未然に防いでくれる自動化(セキュリティ・テレコントロール等)が強く望まれている。同時に留守ゆえに発生しやすい住生活の問題(通風・換気等)にも悩みが多く、留守宅の環境コントロールへの欲求も高い。

 ホームバンキング・ホーム予約の利用意向が高いのは、生活時間のズレに起因するものだろう。また、ホーム予約は、今後独身女性の利用が期待できる分野である。調理・献立づくりなどクリエイティブな面を発揮できる家事やプライバシーに関連する部分については、自分でしたいという意向が強い。自動化を考える場合、これらを配慮する必要があろう。

市場調査部 浜田みどり-日本ヒーブ協議会会員               1

                第7期調査委員会委員、マーケティング研究会委員長(自主研究会)

                第8期幹事:会計&自主研究会推進委員会副委員長

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