変わるシニア変わらないシニア シニア・ダイバーシティ ~ひとくくりにできない多様なシニア~

對馬 友美子
ソリューション推進局 生活者インテリジェンス部
對馬 友美子
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※本記事は2013年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。著者の所属部署は当時。

「現代のシニアはお金持ちで時間があって、国内海外問わずよく旅行に行って、カルチャースクールやスポーツクラブにもよく行って...」 というイメージを皆さんもお持ちではないでしょうか?

確かにお金は他の世代よりも持っている人が多いです。60代以上世帯の貯蓄額は平均で2300万円超。ただしこれはあくまで平均で、細かく見ると貯蓄額100万円未満と、2000万円以上に山=つまり格差が存在します。皆が皆お金持ちというわけではありません。

では時間はどうか?60代後半の男性は2 人に1人、女性は4人に1人、70代前半でも男性3割、女性は2割近くがまだ就業中。ということは、まだ時間を好きに使えない人もそれだけ存在するということになります。

メディアへの接触行動を見ても、テレビや新聞、ラジオへの親和性が高い一方、インターネットがだんだん浸透し、最新のデジタルツールを使いこなすシニアも珍しくなくなりました。

これだけ見てもシニアのプロファイルが様々なことがわかります。ライフステージやライフスタイルが多岐にわたるということは、根底にある意識や価値観が様々であり、商品やサービ スに対するニーズや消費行動もそれぞれ違うということが示唆されます。

今回私たちは、様々なシニアの志向と、その志向は何によって違うのか、志向の違いがどのように行動の違いに表れるのかを探るべく、シニア1000人を対象に調査を実施しました。

(参考文献・データ:内閣府「平成25年版高齢社会白書」、総務省「通信利用動向調査」)

<シニア定量調査 概要>

●対象者:55~74歳一般男女

●調査エリア:東京30Km圏

●調査手法:郵送調査

●サンプル数:有効回収1120サンプル

●調査期間:2013年6月

不安材料は親の介護よりパラサイト子供 夫婦2人が一番安心

現在の生活への満足度を聞いたところ、「満足」「やや満足」を足して62%、ほぼ3人に2人が現在の生活に満足していると回答しました。

一方で、将来の生活には対象者の52%、約半数が何らかの不安を感じていました。

これを性別、年代、有職・無職、家族構成、自分で自由に使えるお小遣いの額という様々な角度から見てみます(グラフ1)。

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満足度は、女性で高く、年代が上がるほど高くなる、まだ働いている人よりすでにリタイアした人のほうが高い、夫婦2人暮らしがもっとも満足度高く、ひとり暮らしは最も低い、お小遣いの額に比例して高くなる...という結果になりました。

一方、不安度は満足度と裏腹なところが多く、年代が若いほど不安、リタイアした人よりまだ働いている人のほうが不安、ひとり暮らし世帯と、親や子どもなど配偶者以外の家族が同居している人が不安、という傾向がみられました。

不安の原因を探ってみると、まだ働いている人は会社以外のコミュニティがないことと、リタイアした後の家計に不安を感じてい る人が多い様子が伺えました。

また、身近に頼れる家族のいないひとり暮らしの人の不安度が高いのはわかりますが、家族同居者も単身者と同じくらいの不安度になっています。介護問題が不安なのかと思いましたが、老親と同居している人は1割弱。一方、同居子供がいる人は半数以上。子供の多くは社会人ですが、無職の子供も17% と少なくありませんでした。また学生も2割強みられました。シニアにとってまだ独立していない子供は大きな不安材料であり、子供が巣立って夫婦2人暮らしになることが一番気兼ねなく安心して暮らせる状態といえそうです。

変わるシニア変わらないシニア

「夫婦」のためにお金を使いたい男性。

「自分」と「友達」に使いたい女性

お金の使い方に関する意識を見てみます。今誰のためにお金を使っているのか、今後誰のためにお金を使いたいかを聞いたところ、今は圧倒的に「自分のため」に使っている、次いで「夫婦」「友人との付き合い」「子ども」 孫」と続きました。

一方、今後使いたい対象としては、「自分」が若干下がり、「夫婦のため」、「孫のため」が増えます。

「地域や社会のため」「親のため」というのも若干増えていました。全体的にはこのような傾向でしたが、これには性別世代の差があ りました(グラフ 2)。

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男性は「自分のため」に消費したい気持ちが、団塊世代になると「夫婦のため」と同率になり、団塊より上の世代になると「自分のため」よりも「夫婦のため」が上回ります。

一方、女性はどの世代でも「自分のため」に使いたい人が圧倒的に多くなっています。

「夫婦のため」は次点ではありますが上の世代に行くほど下がっていき、団塊より上の世 代では「友人づきあい」に抜かれます。女性は上の世代ほど配偶者との死別率が上がることも影響していると考えられますが、大きな要因ではないでしょう。そもそも街頭や旅先 でよく見かけるシニア女性同士のグループはよく見かけても、男性同士のグループはほと んど見かけません。女性グループの会話に耳をそば立てて聞いていると、夫を家に置いて 好きに出かけている様子がわかることもよくあります。「友人づきあい」に使いたい率は世代差がほとんどない点をみても、女性は比較的若いうちからの「友人づきあい」を変えるつもりがないことが考えられます。夫の定年直後は夫婦消費の意向があっても年月を経るうちにずっと同じ家にいる夫より友人、となっていくのかもしれません。

「団塊」も「かたまり」ではない? 多様なライフステージが、価値観も多様に

さて、人口ボリュームの多さからいくつになっても注目の世代である「団塊の世代」を少し詳しく見てみました。戦後の教育や欧米文化を受けて育ち、ジーンズやミニスカートを流行させ、就職・結婚すればニューファミリーと呼ばれる新しい家族概念を作り出し、高度経済成長の担い手であるなど、あらゆる時代において消費を牽引してきました。その背景から、「団塊」=皆が同じようにパワフルで友人が多く、個性的で、リベラルで新しい価値観を持っている新しいシニア、というイメージを思い浮かべる人は少なくないのではないでしょうか。実際、私もそう思っていました。

しかしどうもそうではないようで、考え方は保守派と革新派とその中間層がほぼ均等、若さへの執着もそれほど強くなく、意外にも人とのつながり方がわからずとまどっている人が多い、そんな傾向が浮かび上がりました。

団塊世代の意識・価値観として特徴的なものとして、上下の世代よりも高かったもの、低かったものの傾向を見てみます(グラフ 3)。

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男女とも共通で高かったのは「なにごともホドホドが一番」「年齢相応に無理のない暮らし をしたい」など。そして「長生きしたい」は低くなっています。自然体とも諦めの境地ともとれますが、いずれにしても、団塊=ハイパワーなイメージとはかけ離れていました。

「若さに勝るものはない」と思っている人も多く、また、「年齢を重ねた人ほど魅力的」と 考える人が少なくなっているなど、エイジングをポジティブに受け入れられていない様子も伺えました。

恋愛結婚率が急上昇した団塊世代、恋愛に関しては割と進歩的で、「いくつになっても恋愛

変わるシニア変わらないシニアの相手がいたほうが良い」が高い一方、「生まれ変わっても今の配偶者と一緒になりたい」と思うのは男女とも上下の世代より低くなっていました。

共通軸がある一方、男性の中、女性の中でいろいろな価値観が混在することもわかりました。

例えば、男性は「のんびりマイペースな生活」を望む人が多い一方、「やすらぎよりも刺激」を求める人も上下の世代より多くなっています。また、意外とコンサバで「育児は主に母親が行うほうがよい」に賛成派も上下の世代よりも高くなっています。性別役割分担意識が強いのは、それだけ企業戦士が多かったからかと思ったら意外とそうでもない様子。すでに定年を迎えた人に現役時代に大事にしていた仕事の意識を聞いたところ、「出世」や「スキルアップ」といった上昇志向を表す項目が他の世代よりも高かった一方、「生活安定」や「休暇・余暇時間の充実」「人や社会の役に立つ」と、ワークライフバランスを重視する人、仕事は仕事と割り切った考えを持っていた人も多いことがわかりました。

女性は、「夫は家長として尊敬されるべき」という伝統的家族観が高い一方、「夫は外、妻は家」や「育児は主に母親」という意見に対しては上下の世代より肯定反応が低い傾向がありました。

同じ世代でもこれだけ価値観が混在するの はなぜなのか、属性を確認してみました(表1)

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団塊の世代は、有職率、家族構成、孫の有無、親の有無・介護の有無どれもほぼ半分ずつ有り無しが存在していることがわかります。

何かがどちらかに偏った形ではなく、あらゆるライフステージにいる人が混在していることが、保守派・革新派、マイペース派・バリバリ派、リタイア悠々自適派・生涯現役派など、あらゆる意識や価値観の人が一定数存在する理由になっていると考えられます。

同じ考え方=「価値観」という 切り口でシニアを分けてみると?

団塊といわれる世代でもこれだけバラバラな価値観が存在することがわかりました。では同じ考え方の人々をまとめて何らかのパターンを発見できればターゲティングのヒントにできるのではと考え、「価値観」という切り口で分けてみることにしました。

意識・価値観に関連する項目の反応からクラスター分析を行い、6つのタイプ分類が抽出されました。

ターゲット指標としての有効活用化を目指し、現在、クラスターのタイプ別により詳細でイメージが沸きやすいプロファイルを作るための定性的なアプローチを進めているところです。

定量データだけでは見えにくかった、男女の文脈の違い、「不安」の解釈の違いなど、いろいろな発見が見えてきています。(写真1)

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意識・価値観に関連する項目の反応からクラスター分析を行い、6つのタイプ分類が抽出されました。

ターゲット指標としての有効活用化を目指し、現在、クラスターのタイプ別により詳細でイメージが沸きやすいプロファイルを作るための定性的なアプローチを進めているところです。

定量データだけでは見えにくかった、男女の文脈の違い、「不安」の解釈の違いなど、 いろいろな発見が見えてきています。(写真1)

結果がまとまり次第、改めてご報告させて いただきます。

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