シニア夫婦に聞きました 〜夫婦の価値観は同じ?違う?どちらが幸せ?(前半)

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シニア夫婦に聞きました 〜夫婦の価値観は同じ?違う?どちらが幸せ?(前半)

「夫婦は似たもの同士!?」

現代のシニアについて研究を進めていくと "シニアはひとくくりではなく価値観の違いによってタイプが分けられる"ということを実感する場面に出会います。その際に、夫婦に関して尋ねられることがしばしば。そこで、この疑問に対して、シニア夫婦について調査を実施し、それを当社ひと研究所のシニア研究チーム『VRエイジング・ラボ』が開発した「シニア価値観セグメント」を使って検証しました。その内容を2回に分けて紹介します

※「シニア価値観セグメント」とは・・・
考え方も行動も多様化・複雑化しているシニア層を理解するための新たな切り口として、"価値観"で分類したセグメント。

価値観は6タイプに分類され、それぞれを行動が積極的か控えめか、志向が伝統的・保守的な傾向か変化や刺激を好む傾向かという2軸4象限上にプロットしたもの。

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シニア価値観セグメント 詳細はこちら↓
https://www.videor.co.jp/digestplus/title/2018/01/7717.html

シニア価値観セグメント判定チェックはこちら↓
https://www.videor.co.jp/digestplus/title/2018/01/7722.html

夫婦は「似たもの同士」の組み合わせになりやすい!

シニア価値観セグメントは6タイプずつなので、「夫×妻」の組み合わせパターンは36通り存在します。その組み合わせパターンを見てみたところ、同じタイプ同士の夫婦は全体の55%。つまり、シニアの夫婦は半数以上が似たもの同士ということが分かりました。

細かく見ていくと、組み合わせで最も多いのは「淡々コンサバ」同士です。次に「セカンドライフモラトリアム」同士、そして「身の丈リアリスト」「アクティブトラッド」同士と続きます。(図1)

図1:夫婦の組み合わせパターン

図2正.png

実は、単純に夫婦それぞれのセグメントの構成比から推計すると、理論上は同じタイプ同士の組み合わせが発生する確率は2割強という数字でした(図2)

図2 夫と妻それぞれのセグメント構成比から算出した理論値

図3正.png

それが、実際には5割を超える組み合わせが発生、ということは、「夫婦は似たもの同士の組み合わせになりやすい」ということが言えます。

この理由として考えられるのは、次の2点です。

① 元々価値観が同じ人同士が夫婦になりやすい。

② 元々は違う価値観だったが、長年連れ添っていくうちにお互いに影響し合って似たもの同士になった。

①の背景として、今のシニアは、恋愛結婚率がお見合い結婚率を上回った"結婚に至る過程の歴史的転換点"(※国立社会保障・人口問題研究所より引用)にいたことも影響として小さくないのではと推察できます。この"歴史的転換点"は1960年代後半にありました。今の70代前半の人たちがちょうど結婚する年齢にさしかかったころにあたります。

今回は70代後半より上の年齢の人を調査対象としていないので、あくまで仮説となりますが、まだまだお見合い結婚が多かった世代の人々は、本人の希望以外の条件によるマッチングが主流だったため、結婚当初から相手と価値観が合致することは、かなり確率の低い偶然であったことでしょう。一方、今のシニアは自分で相手を選んで結婚することができるようになってきた世代であり、一世代前の人々よりも、元々価値観が同じ人同士のカップルが誕生しやすい環境にあったのではないかと考えられるのです。

②については、今回の調査の中で、「長年連れ添っているので全て受け入れている」(セカンドライフモラトリアム同士・妻64歳の回答)という声を見つけました。

これまでも、実際にシニアの方々にヒアリングしていると、なんだかんだと夫または妻について軽口や悪口を言いながらも、「まぁ、うちは似たもの夫婦だからね」とおっしゃる方も少なくありませんでした。中には、「最近、顔まで似てきた」と "自覚?"している方もいらっしゃいました。

今回の調査では数値的には確認のしようがないのですが、「似たもの夫婦」や「夫婦は従兄弟ほど似る」といったことわざが存在することも、ある意味裏づけのようにも感じます。

違うタイプの組み合わせでは、"アクティブ同士"の組み合わせが多い

では、夫婦で価値観タイプが異なる組み合わせについて見ていきます。

まず、組み合わせが多かったのは、「夫:淡々コンサバ/妻:セカンドライフモラトリアム」(6.3%)、「夫:セカンドライフモラトリアム/妻:淡々コンサバ」(4.7%)。夫婦どちらかが「淡々コンサバ&セカンドライフモラトリアム」の夫婦が1割超で最も多い組み合わせとなります。

ただ、先ほど同じタイプの組み合わせのところでみた理論値を、違うタイプの組み合わせにも当てはめていくと、実は、理論値よりも低い比率であったことが分かりました。本来、理論上は、「片方が淡々コンサバならばその配偶者はセカンドライフモラトリアム」の組み合わせはもっと多く発生してもいいはずなのに、実際にはそれより少ないということになります。

逆に、もともと属する人数が少ないために、絶対数としては少なくみえるタイプの組み合わせが、相対的には夫婦として発生しやすいことがわかりました。

図3は、理論上の組み合わせ数を100としたときの、実際に発生した組み合わせ数が大きいものを順にランキングした表です。

図3 組み合わせランキング

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これでみると、「シニア価値観セグメント」の4象限の上段、行動が積極的なアクティブシニアゾーンに位置する3タイプでの組み合わせが、相対的に多く発生していることがわかりました。

行動がアクティブという共通点がある人同士以外は組み合わせがバラついているようで、非アクティブゾーンのタイプ同士(シニア価値観セグメントの下段)や、上段と下段、すなわち考え方が従来型同士、新型同士の組み合わせは少なくなっています。

ちなみに、相対的に最も少ない組み合わせは「ラブ・マイライフ」と「淡々コンサバ」の組み合わせ。「夫:ラブマイライフ/妻:淡々コンサバ」は指数16、夫婦逆だと指数25と、どちらが夫であれ妻であれ、最もアグレッシブなタイプと最も平穏を愛するタイプは共存しにくいのかもしれません。

●シニア夫婦に対する調査概要
対象者:55〜74歳の夫婦860組。
調査手法:インターネット調査
調査時期:2016年11月

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