ニューメディア事情(11)

VRDigest編集部
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※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

PCM音楽放送

 映像系のニューメディアでは、キャプテン、文字放送、CATV、VTRと実用化されているが、ニューメディアの分類ではあとデータ通信と、音声通信という分野がある。その音声通信の中でPCM音楽放送の実用化が始まろうとしている。

 今回はこのPCM音楽放送についてとりあげてみる。

 このPCM(パルス・コード・モジューレーション)は、近年コンパクト・ディスク(CD)として市場に登場し、若者のあいだではとくに評判が高く、レンタルレコード店での利用も好評である。このPCMが注目されたのは、従来のAM放送やFMに比べ飛躍的に高品質という点である。CDもこの技術を使用しているので、レコードやカセットテープに比べ高品質な音質が得られる。このPCMを簡単に説明すると、まず音元を各周波数に分解し、その各周波数の高低を数値化する。この数値化はコンピュータで使用している情報処理方法、つまり0か1かというデジタルデータに変換する。この0、1データを放送するというものである。受信もこの反対に0、1のデジタルデータから各周波数の高低をつくりだし、もとの音に再生するというもので、このPCMの最大の特長は機械からの雑音がまったくないという点である。

 この実用化は郵政省が中心になり「高品質デジタル音声放送研究会」(郵政省放送行政局長の私的諮問機関)を設け、5~6年先の実用化をめざし研究を始めることになった。

研究会は郵政省の電波研究所、NHK、家電有力メーカーなどで構成され、今年4月を第一期研究として技術的課題整理、今年5月から63年3月まで実用化実験に取り組み、66年ごろに実用化をめざすとしている。

 PCM音楽放送はCATVの空チャンネルを利用して、甲府のNNSで実用化されているが、空中披を利用して放送することはまだ実現されていない。これはテレビ電波などに悪影響を与えることが必至で、これまで実用化を阻んできた要因となっている。この研究会では「スペクトラム拡散方式という新技術を使えば実用化は可能」という理論的結論を根拠に、今後開発研究を進める方針であるという。ただ空中波といっても、現在のテレビではなく、放送衛星を使うことになるだろう。これにより全国一律同時放送、多局化(12~16番組)、音声以外にデータや、静止画の組入れも可能であり、また電波のゆがみが排除されることになる。音楽好きな人には魅力ある商品になるであろう。

(新規事業開発室 森一美)

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