電気通信高度化ビジョンについて(下)

VRDigest編集部
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※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

―電気通信泰盛套通信政策部会報告より―

Ⅲ.電気通信分野の発展動向

● 情報通信分野における急速な技術進歩により、今や多種多様な情報通信の活用力河能となっており、また、昭和00年の電気通信制度の改革に伴う多数の電気通信事業者の出現により、多彩な情報通信サービスを提供する体制が整いつつある。

  こうした動向を背景に、今後、電気通信の高度化は着実さ∈進展し、ますます多様なメディアが出現し、本格的なマルチメディア化が進行していくとともに、多様なメディアの特性を生かして相互に組み合わせた新たな活用方法が考案されるメディアミックス時代の幕開けを迎える。

● 技術開発の進展、利用のされ方の変化サービス内容の変化に伴い、パソコン、ワープロ、ビデオテックス等多種メディア相互間の通信が可能となるメディアミックス化が進む中で、機能面ではメディアの融合、競合・代替現象が生じてくるが、価値観の多様化生活の個性化による情報通信ニーズの多様化に伴い、各メディアのわずかな特性差に着目し、その特色を発揮する使い分けが行われていく。

● 情報通信分野においては、電話が引き続き中核的地位を占めるものの、メールボックス等、新サービスや多機能電話機の出現に伴い、機能、サービス内容に質的変化を生じていく。また、データ通信、ファクシミリ、パソコン通信等、多種多様な非電話系通信のウエイトが着実に高まっていく。

 特に、企業分野においてはこの傾向が著しい。

  利用回線は、不特定多数者間の通信を可能とする公衆回線の利用の増加が著しい。

● 放送分野においては、従来のテレビジョン放送、ラジオ放送に加え、都市型CATV、衛星放送、文字放送等、ニューサービスの普及に伴って多様化が進んでいく。

1.情報通信インフラの動向

① 伝送網の光ファイバー化 デジタノ叫ヒが進み、ISDN(デジタル統合サービス網)に向けての基盤整備が進められるとともに、昭和63年からは民間部門における通信衛星の本格的活用が開始され、広域性、同報性、広帯域性等、衛星通信の特性を活かせる新たなネットワークが形成される。

② 更に、CATV網の双方向機能の具備、ネットワーク化の展開に伴い、CATV網が新たな情報通信インフラとしての役割を果たすようになる。

⑨ 企業における情報化に対応する情報伝送網としてのLANが広く普及していくとともに、家庭内の情報化に対応するためホームバスシステムを組み込んだニューメディア対応型住宅(インテリジェントハウス)等の建設・販売が開始されていく。

④ 情報通信のソフトインフラであるVANサービス分野においては、VAN同士の接続、VANサービスメニュー等の充実等が進展し、総合的ネットワーク化へ向けた基盤整備が進められていく。

 また、産業の情報化に伴い、新規にVANサービス分野へ参入する事業体が多数発生する。

2.情報通信サービス分野の動向

① 電話サービスは、引き続き情報通信サービスの中核的地位を占めるが、メールボックスサービス等、新たなサービスの提供、留守番電話機能等様々な機能が付加された多機能電話機の普及に伴い、機能、サービス内容の質的変化を生じ新たな利用形態を創出していく。

② 一方、データ通信、ファクシミリ、ビデオテックス、パソコン通信等、多種多様な非電話系サービスの利用が活発化していく。特に、公衆回線を利用した非電話系サービスの利用にニーズの急成長が予想され、電話網の利用内容も、こうした非電話系サービスの占める割合が高くなっていく。

③ また、自動車電話、MCAを中心とした移動体通信利用ニーズが高まり、これまでの固定地点間通信システムと一体化するネットワーク化が進んでいく。

④ 経済社会のグローバリゼーションの影響を受け、国際通信の利用が活発化していくが、従来国際通信の中核であった国際テレックスから、ファクシミリ、データ通信等への利用の移行が顧著になってくる。

3.放送サービス分野の動向

① テレビジョン放送、ラジオ放送が引き続き中核的役割を果たすとともに、衛星放送、文字放送という新たなサービスが成長期を迎える。

① また、CATVは、番組供給体制の整備等に伴う番組内容の充実、多チャンネル化等により加入者を増加させていく。

4.ニューサービス分野の動向

ここ5年程度の状況を見ても、テレターミナルシステム、ハイビジョン等様々な情報通信の実用化サービス開始が予想される。主なニューサービスの実用化時期の見通しは下図の七おりである。

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Ⅳ 情報通信産業の動向

● 情報通信分野の高度化、利用の普及、増大に伴い情報通信産業(注)の付加価値額は、昭和60年度の15兆9992億円から昭和66年度には28兆5657億円(年率10.1%の伸び)となり、わが国のニュー・リーディング・インダストリーとしての地位を固めていく。

● また、社会経済の情報通信への依存が強まる中で、情報通信産業は各産業の基盤としての役割を果たし、わが国の産業構造変革の重要な担い手となっていく。

● 更に、各産業に情報化の進展に伴う情報通信分野への新規参入が相次ぎ、情報通信の活用を核とした融業化が進展し、従来の業界構造を大きく変革していく源泉となっていく。

     (注)情報通信産業とは、電気通信事業、放送事業、有線放送電話事業、

         電気通信関連業からなるものである。

1.電気通信事業の動向

① 第一種電気通信事業は、電話、専用回線サービスなど基本的な通信サービスの着実な成長が、規模拡大の基調となる。また、第二種電気通信事業者が提供する高品質のVANサービス等によって潜在的な情報通信需要が発掘され、その影響を受けて市場が拡大する。

② 第二種電気通信事業は、今後も参入が続き、積極的な事業展開が図られる。一方、産業分野の本格的なネットワーク化に伴ってデータ伝送サービスのニーズが増大、高度化する。また、データ加工処理サービス、情報提供サービスのニーズが今後ますます高まり、市場は著しく拡大していく。

③ 昭和66年度における第一種電気通信事業の市場規模は、昭和60年皮の5兆3074億円から、昭和66年度には7兆8512億円(年率6.7%の伸び)に、また、第二種電気通信事業の市場は、昭和60年度の5200億円から、昭和66年には2兆8266億円(年率32.6%の伸び)に達する。

2.放送事業の動向

① 放送事業収入の約80%を占める民間放送が基本的に広告料収入に依存しているため、放送事業全体の成長率は経済成長とほぼ同程度の伸びと思われる。

② 放送系ニューメディアの中では、文字放送の急速な普及が予測される。また・衛星放送も番組内容の多様化が予想されるBS-3の打ち上げを契機に普及の加速が予測される。

③ CATV事業は都市型CATV等における双方向、多チャンネル等の機能を活用した事業の本格的展開、更に番組ソフト供給体制の充実等により、相当の成長が期待できる。

④ 放送事業の市場規模は、昭和60年皮の1兆6240億円から、昭和66年度には2兆3741億円(年率6.5%の伸び)に達する。

3.情報通信関連業の動向

情報通信機器製造業

① 円高、貿易摩擦により、輸出の伸びは鈍化を余儀なくされる。

② 一方、内需面では、現在、急速な円高進行のため、緊急避難的に設備投資を控えている企業についても、合理化投資、企業力強化投資としての情報通信投資が盛んになる他首都圏等、大都市部における都市開発・再開発あるいはそれに伴うインテリジェントビル建設においで情報通信システムをインフラとして取り込む動きが活発化していく。

  また、個人生活におけるライフスタイルの変化に伴う情報通信機器の活用、視聴態様の多様化家庭におけるマルチメディア化等に伴い、家庭・個人向け情報通信機器需要の多様化が進む。

③ 情報通信機器製造業も他の製造業同様、円高により海外に生産拠点を求める動きが(海外直接投資、製品・部品調達)生ずるが、情報通信機器は高付加価値の製品、部品が多いため国内生産に係る部分が多い。

④ 電気通信事業者および一般企業において、情報通信システムを導入する場合には、情報通信関連設備投資負担の軽減、最新鋭設備の利用のため、リース活用が活発化する。

⑤ 情報通信機器製造業の市場規模は、昭和60年度の30兆3002億円から、昭和66年度には53兆7266億円(年率10%の伸び)に、また、情報通信機器賃貸業は、昭和60年度の1兆4234億円から、昭和66年度には3兆2924億円(年率15%の伸び)に達する。

電線・ケーブル業

① NTTの伝送路の光ファイバー化、新規参入第一種電気通信事業者の事業計画の拡張、都市型CATVの増加、企業内情報通信網(LAN)の発展等に伴う需要増により、着実に成長する。なお、今後、光通信システムの導入増加に伴い、ケーブル中、光ファイバーの占めるウエイトが大きくなる。

② 電線・ケーブル業(光ファイバー生産を含む)の市場規模は、昭和60年度の1兆2384億円から、昭和66年には1兆4265億円(年率2.4%の伸び)に達する。

ソフトウエア業

① 企業情報通信システムのネットワーク化、コンピュータ利用の高度化に伴い、アプリケーションソフト、通信処理ソフト、ネットワーク管理ソフトなど各種ソフトウエアの需要が飛躍的に増大していく。特に、エキスパートシステムを始めとするAI技術も導入期の段階に入りつつあり、AI関連ソフトウエアの需要も増大してくる。

② アプリケーションソフトを中心とした需要の増大に対応するため、ソフトウエア生産の地方分散化が進んでいるが、ソフトウエアの生産は労働集約的睦格が強く、産業構造の過程で生ずる地方都市(地場産業)空洞化を防ぐため、雇用の受け皿と期待される。

③ ソフトウエア業の市場規模は、昭和60年度の6913億円から、昭和66年度には2兆908億円(年率20.3%)への成長が見込まれる。

Ⅴ.電気通信高度脂⑳経済効果

 情報通信産業は、今後わが国の新しいリーディング・インダストリー.としての地位を固めていくものとみられ、その成長は日本経済に大きな影響を及ぼしていく。

① 情報通信産業の市場規模見通しをもとに算出した情報通信消費支出は、昭和60年度の2兆9600億円から昭和防年度は4兆7100億円へと年率8%で増加し、情報通信設備投資は昭和60年度の9兆2800億円から昭和66年度には16兆8500億円へと年率10.5%で増加する見通しである。

② 昭和66年度にかけてのこうした日本経済の成長のなかで、情報通信消費支出及び情報通信設備投資の成長によりもたらされる部分は、名目GNP成長率で0.9%、実質成長率で0.6%(金額ベースでは名目で18兆9400億円、実質で11兆7300億円)を占めることとなる。また、情報通信消費支出及び情報通信設備投資の成長は、輸入の伸びを0.4%上昇させ、雇用面で24万人の雇用機会を創出する等、その貢献度は大きく、わが国経済の牽引車としての情報通信産業に寄せられる期待は高い。

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電気通信サービス等の流れ

 電気通信事業者、放送事業者、情報通信機器業者、一般利用者等、電気通信に係わりのある者が、通信サービス・機器の提供・利用に閲し相互にどのように関係しているか整理すると下図のようになる。

 電気通信の各分野の発展動向を見ていくに当たっては、これらの関係者によって提供・利用されるサービス・機器の動向を総合的に見ていく必要がある。

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