ニューメディア事情(17)

VRDigest編集部
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※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

多チャンネル時代の文化度

 CATV向けの番組供給企業が30社を越えようとしている。劇場用映画やニュース、音楽番組、スポーツ、教育番組などが概存のCATV局に供給されている。まだCATV用に制作された番組は少なく、外国番組の流用が多い。しかしどの社も将来的には通信衛星を利用して、各都市で実用化されつつある都市型CATVに番組を供給しようと考えている。現在のところ通信衛星も上がっていないし、都市型CATVも開局したばかりだが、将来的には米国のように80チャンネル、100チャンネルのCATVが実用化されると関係者は考えているようである。今回は番組制作が多チャンネル時代にどう変わるかを考えてみたい。

 現在映像作品はテレビ番組が中心で映画に比べると何倍、何十倍と制作されている。そして民放の番組はより多くの人に"広告"を見てもらうために作られているといっていい。そのため視聴率というスケールで番組を評価している。しかし、視聴者が多いから良い番組、反対に視聴者が少ないから悪い番組という評価基準は視聴率にはない、番組がおもしろいから見る、みんなが見ているから見るという視聴量になっているだけである。

 それに対し番組制作者は、視聴率があるから良い番組が作れない、芸術的番組が作れないというような話が聞かれる。これが日本のテレビ文化度であろう。

 ところが都市型CATVの時代になると好きな番組が作れるようになる。つまり視聴率というものが何の意見もない数値になってしまうからである。というのは100チャンネルの番組を平均して見てもらうと1チャンネルは1%にしかならない。同時に100もの番組があれば視聴者は分散し、現在のように40%も視聴率をとる番組はなくなってしまうと考えられるからである。

 また都市型CATVの普及とVTRの普及がクロスし、VTRもレンタルショップの動きをみると増大する傾向にある。それらを考えると10年後には自分のまわりに、あらゆるソフトが氾濫するというような状況も考えられる。当然有料、無料(スポンサー付き)などさまざまな型で提供されると考えられるが、現時点ではどのような方向になるのか考え方がいくつもあり、まとめられない。

 このような時代になれば何度も繰りかえし視聴できる芸術的・文化的作品もどんどん作られることになる。この時期になれば日本の文化度は多様化する。つまりもっと個性化していくと考えられる。そのような時代には現在の広告についても考え直さなければならない時代がきそうである。

                                (新規事業開発室 森 一美)

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