ノルウェーでテレビ広告が解禁  海外NEWS

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ノルウェーのテレビにちょっとした革命が起きている。29年前に放映が始まったノルウェーのテレビは瑞典と同様に商業広告を排して-定額の視聴料で運営してきた。そのテレビに広告がのることになった。

1988年1月11日、文化大臣がスウェーデンのスキャンサット放送にノルウェーでの放送権を認可、新しくTV3が30万人のケーブルテレビ視聴者の茶の間に広告入りの番組を送り込む。

ソグン、ソーランデ、テレマークなど山岳地方では、40はどの町村でいまだテレビを見られない人たちが2万人いる。

140万人の人々がチャンネル1で娯楽、情報番組を受信しているが、番組拡充も財源が乏しく、なかなか思うにまかせなかった。テレビについての苦情が、ほぼ習慣的になっていたほどで、受信料を値上げすれば財源は何とか確保できるのだが、反税感情に火をつけるのを恐れて、政治家も避けて通ってきた。

それもこれも商業広告の収入があればということで、この問題は長年にわたり議論されてきた。新たにチャンネルを開くか、開けば1億5000万ドルの運営費をどうして捻りだすか。

労働党政府は1989年まで商業広告によるテレビ放送を禁じたが、どうやら技術革新が政治的配慮に優先する事態になったようだ。

今日ノルウェーでは、50万世帯がいわゆるケーブルテレビに加入して、年間100ドル足らずの受信料を払っており、10万世帯が新規加入を希望している。地理的な理由で、加入ができない世帯が140戸ある。

1990年代までには、ヨーロッパのテレビ局は110局ほとんどが商業放送局となって広告を競うことになる。放送衛星を経由する電波が全ヨーロッパをカバー、外国放送では現在イギリスのスパー、スカイ両チャンネルが見られるだけのノルウェーでは、今後の番組拡充が予想されるから、メディアへのアクセスで大きく取残されることになりかねない。メディア畑の政治家には大きなジレンマとなる。

昨年スウェーデンのスキャンサット放送がスタートして、ノルウェーの視聴者や利益団体はイギリスに対抗してスカンジナヴィア自前のチャンネルを持つ機が熟したという調子の議論が盛りあがった。俳優のロルフ・ヴェーセンルンドはスカンジナヴィア・チャンネルはノルウェーの俳優たちの仕事を助け、北欧3カ国語による放送は教育面でも大いに貢献するとして、スカンジナヴィア・テレビ賛成の論陣を張った。

やがてこれに政治家、メディア関係者が続いた。労働党のレイウルフ・ステーン国会議員副議長は、ノルウェー放送協会の独占は終ったとしてスカンジナヴィア・テレビ構想への支持を表明、同党メディア委員会のアルヴイッド・ヤコブセン氏、メディア間題のスポークスマン、ホーコン・ブランケンボール民らがそれぞれ賛同の意見を述べた。

一方、労働党のトルビヨン・ベントセン議員は商業テレビにからむ一つと問題を指摘した。同議員は、広告はブルジョア的姿勢を強調しすぎ、消費者に故なき圧力をかけるもので、労働党は力を行使する手段としての広告は問題だと考えているとして、国有のメディア会社を作って広告収入を吸収してはと提案している。

中央党のメディア間題広告スポークスマン、ラングヒルド Q・ホスタ女史は、この分野での技術革新はめざましく、テレビ放送運営についての同党の考え方はもはや時代遅れの感があり、党内でも批判の声が高まっていると述べて何らかの解決策の必要性を指摘している。

他方、スカンジナヴィア・テレビ構想への広告業界の反応は喜色満面という感じだ。現在のところ、ノルウェー企業が使う広告費は6億ドル、うち1500万ドルがスウェーデンからのチャンネル3で流されるコマーシャルに食われている。ノルウェー広告協会のスヴュイン・エリク・アンデルセン氏は、今後チャンネル3での広告支出は極く僅かに抑えることになろうと語っている。ちなみに同氏は、TV1の商業化に踏み切って、より多くの視聴者に向けて商業広告を可能にすべきだ、と主張している。

これに対してラース・ロアール・ラングスレット前文化相は真っ向から反対意見を展開する。ノルウェー放送協会独占解消を最初に唱えた政治家として、ただ-局の商業テレビ局は非生産的な存在だと反論する。同氏の見解はこうだ。時が来れば、資金も豊富になり、政治家も国から財源を選択が始まる。つまりもっとも人気のある番組がもっともよい番組をしのぐことになる。高い水準を維持するには、どうしても年間視聴料が支えるテレビ局1局と商業テレビ局1局、都合2局が共存して争う形が理想的だ。同氏はイギリスの例を挙げて、BBCとITVのような形が最良と考えるようだ。

テレビ商業化については、ハルヴァル・バッケ文化相が近く議会へ白書を提出する。ベルゲン出身の同相は、かねてから同市に独立したテレビ局を作るのが持論で、このあたりから一論争ありそうな気配だ。

ノルウェー放送協会のビヤットマル・イエルデ会長は独立したテレビ局設置には反対で、国有のメディア会社の下に2チャンネルを置くのが制作、番組購入の面でもっともコスト効率が高いと主張する。

ことほど左様に、ズバリ決定的な案がないままにテレビ論争が続いているが、関連の利益グループの考え方は、概ね3つぐらいに整理できそうだ。

どのような結論が出るにせよ、地方化への大勢は逆らえないようで、中央の1機関の下に全国各地の番組制作単位をぶらさげた形になる公算が高い。この形は中央党も支持しており、新聞13紙、地方テレビ局、ノルウェー通信社など13社が構成するNORPAあたりも賛成しているところだ。

この夏には新しい法律が成立するだろうし、大勢を見るところ、コマーシャルなしのテレビに戻る可能性はほぼないようだ。これからの論議は、商業テレビ局の運営はいかにあるべきかに絞られることになろう。

                             (ノルウェー通信 No.153)

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