10月スタート 関東地区テレビ視聴率調査の仕様変更について 〜サンプル拡張とタイムシフト測定〜

不明
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この10月3日より関東地区の視聴率調査のサンプル数を900世帯に拡張し、リアルタイム視聴率とともにタイムシフト測定を実施していきます。
今回はこの仕様変更に携わってきた担当部署長である橋本和彦にこれ からの視聴率調査についてインタビューしました。

テレビの視聴分散化に対応するための第一歩

--600世帯から900世帯にサンプル拡張する背景には、ここ数年でのテレビ視聴状況の変化があると思いますが、具体的にはどのような変化が起きているのでしょうか。
テレビ視聴に影響を与えているものとして、まず世帯特性に変化が起きています。2000年の世帯数を100とした場合、2015年の世帯数は116.7と増えているのに対して、平均家族人数は89.1と大幅に減っています。これは単身世帯の割合が増えていることが要因で、その割合を視聴率調査世帯で確認すると2000年1割強だったのが、2015年には2割を超えてきています。また、2000年には1世代のみで構成されていた世帯が3割強だったのが、2015年には5割近くまで占めるようになってきています。世帯視聴率算出のベースになっている世帯のあり方が大きく変化してきたことが確認できます(右図)。

2016_553_02-09_02.jpg

--他に、どういったことがありますか。
世帯構造の変化に加え、テレビ視聴形態の変化があります。中でもタイムシフト視聴の増加は象徴的です。デジタル技術の進歩によって、タイムシフト視聴が簡単にできるようになった環境が視聴形態を変化させ、"テレビ視聴の分散化"を引き起こしています。テレビ視聴の構造が変化してきていることは皆さんも肌でお感じになっていると思います。

--そんな視聴環境の変化が背景にあって視聴率調査の仕様変更に至ったわけですね。 "テレビってこう変わってきているよね""生活者も変わってきてるしね""テレビはいろいろな見られ方がされているよね"といった中で、視聴率のあり方について関係業界の方々と協議を重ねてまいりました。これからのテレビやCMの接触の価値をどう表していくかを検討し続けた結果、テレビメディアの価値を最大化するために「テレビ番組のあらゆるリーチを測定すること」と、「 生活者のプロフィールを分析できるような切り口 」 が必要と考えました。
今回はその第一歩として、多様化する世帯や生活者のテレビ視聴をより正しく表現していくために、関東地区の視聴率調査のサンプル600世帯と2013年にスタートしたタイムシフト調査300世帯とを統合し900世帯として、この課題に対応していきます。それに伴い個人サンプルが1500人程度から2300人程度に増加しますので、視聴者の特性をより細分化して、テレビ視聴の実態をみることができます。

--「テレビ番組のあらゆるリーチの測定」とは具体的にはどんなことでしょうか?
リアルタイム視聴に加え、まずはタイムシフト視聴、 そしてスマートデバイスによるテレビ視聴があげられま す。まず統合した900世帯において現行視聴率の定義には含まれていないタイムシフト視聴を10月から測定し、データを提供していきます。もうひとつのスマートデバイスによるテレビ放送の視聴は、まずは視聴実態の把握からスタートし、検証を踏まえながらこれからのデータのあり方を検討していくことにしています。

――まずタイムシフト視聴を測定していくということですね?
はい。2015年のデータになりますが、生活者の1日のテレビ視聴全体を100として、そのうちのタイムシフトが占める視聴分数の割合は6%、プライムタイムになると、それが約10%にまで上昇します。まずは視聴量とし て顕在化したタイムシフトをしっかり測定していくことが重要だと考えています(下図)。

2016_553_02-09_03.jpg

タイムシフト測定をすることによって新指標が生まれるということでしょうか。
新しい指標は2つあります。「タイムシフト視聴率」 と「総合視聴率」です。「タイムシフト視聴率」はリア ルタイム視聴の有無にかかわらず、7日内(168時間内)でのタイムシフト視聴の実態を示すものです。

――では「総合視聴率」とはなんですか?
「総合視聴率」はリアルタイム視聴とタイムシフト視聴のいずれかでの視聴を示す指標です。重複視聴が存在した場合はリーチの考え方で集計されます。これは番組単位での視聴の拡がりを示すものとして、新たな指標と考えています。

スマートデバイスについてはいかがでしょう?
視聴デバイスの拡がりを捉えることとして、対応していくべきだと考えます。スマホはこの数年で約6倍、タブレットは5倍と急速に普及しています。特に20代のスマホ普及率は9割にも達しますが、実際、スマートデバイスによる視聴行動はまだ少ない状況ではあります。とはいえ、スマートデバイスの急速な普及を考えるとこれからの視聴スタイルに与える影響とその可能性は無視できません。測定技術や対象者からの許諾面など課題もあるので一つひとつクリアにして、測定の準備を進めていきたいと思います。

ユーザーと課題を共有することが大事

――仕様変更に際して、どのようにお客さまに説明されたのでしょうか。
大きな発表の場としては2015年に行った当社のプライベートイベント「VRフォーラム」です。フォーラム以降は、全国各地の放送局を中心としたお客さまに説明させていただいています。

――どういった質問が多いのですか?
やはりタイムシフトについてのご質問を多くいただき ます。多くのお客さまにとって初めて触れるデータですので"、どういう風に使おうとしているんですか""どう変わりますか""どんな検証していますか"など漠然とした不安や懸念をお持ちなのだと思います。関東地区だけで実施していたタイムシフト調査ですので、他地区の方々にはどのような調査を実施していて、どのような結果が出ているのかなどこれまでお伝えしていないこともあり、タイムシフト動向の説明を進め、課題を共有しているところです。

――サンプル拡張にあたり大変だったことは?
すでに視聴率調査仕様に準じたタイムシフト調査を実施していましたので、比較的スムースに統合作業を進めてこれたと思っています。大変...という意味では、 タイムシフト調査を立ち上げるまでの方が、技術面でも、ルール作りの面でも初めてのことだらけだったので大変なこともありました。その時に培ったノウハウが今回の900世帯化で役立っていると感じていますし、業界の方々への説明にも生かされていると感じています。

無作為性と代表性を重視

――他社でもテレビやネットの視聴・接触状況を測定するデータが出てくる中で、当社の強みは?
VRフォーラムで提示した「これからの視聴率」のコンセプトにもありますが、「視聴者の実態を詳細に捉え"、市場を反映させた"メディアデータとして共通にご利用いただくために、そしてテレビメディアの価値を正しく示すために」が当社の原動力となっています。そのために大事なことは「無作為性・代表性による母集団特性を反映させ、品質を維持する」ことです。ビデオリサーチの視聴率は多くの皆さまに共通で使用していただくデータですので、この点はゆずれないものですし、 これこそが当社の強みです。

昨年秋、アメリカのメディア事情を視察した際に有識者の方々とテレビメディアデータについて色々意見交換しました。その中で、強く印象に残っているの が、指標で一番大事なのは"CPM"だとおっしゃっていたことです。つまり指標として市場をしっかり表わすものでなくてはなりません。だからこそ「無作為性と代表性の重視」「品質維持」はすべてに優先されることであり、胸を張って皆さまに提供していかなければと考えています。ただ、費用対効果を考えると、この点だけに縛られすぎてもいけないのでバランスも必要ですね。

――最後に、今後の計画について教えてください
まずは関東地区から立ち上げ、その動きや状況をみて、順次、各地区に展開していく考えです。タイムシフトへの対応、スマートデバイスの展開など大きな方針は関東地区と同じですが、地区、地域によっていろ いろ事情があるでしょう。そういったことを各エリアの方々と協議しながら進めていきたいと思います。
これからもあらゆる変化を捉え、調査基盤を強化しながら共通データとしての視聴率を提供してまいりたいと思います。引き続きよろしくお願いします。

あらためて

視聴率調査のサンプリングについ て

当社が重要視している「代表性」というものはサンプルが母集団の縮図となっていることではじめていえることです。それを確実なものにするため、統計学の理論に基づいたサンプリング調査を実行しています。今回は PM900化に際し、調査開始以来一貫して実施してきたサンプリング方法と調査精度を保つための当社独 自の対応策をお伝えします。

視聴率調査のサンプリング手法

当社では、全国27地区のエリアで、PMシステムによる調査とオンラインメータシステムによる調査を 実施しています。調査対象世帯数はPMシステム調査の関東地区がこの10月から900世帯となり、関西地区・名古屋地区が600世帯、それ以外のオンラインメータシステム調査の200世帯で合計6,900世帯に協力いただいていることになります。
視聴率調査は各世帯に継続的に協力していただくパネル調査ですが、ご存知のとおり、対象世帯は希望者による手上げ式モニターではありません。視聴率調査の対象となる世帯は、統計学の理論に基づいて無作為(ランダム)に抽出しており、この抽出した世帯に調査協力の依頼をします。この方法を用いるのは、 対象世帯の視聴率データから調査エリア全体の視聴率を推定できるからです。ここが重要なポイントで す。「対象世帯の数が多ければ調査結果が信頼できるのでは?」と思われるかもしれませんが、単純に数を増やしただけでは結果の信頼性が増すことにはつながりません。無作為抽出をしていない場合、そこで得られるものは、実際に調査に協力した世帯の結果であって、調査エリア全体を推定することはできないのです。では、自動的に大量のデータを収集できるビッグデータはどうでしょう?もちろん使う用途によっては優れたデータですが、調査エリアのデータを"あまねく" 収集できてはいないので、ある種の偏りが生じることになります。視聴率データは広告取引の指標となっているため、調査エリア全体の視聴率を推定できなければなりません。そのため無作為抽出を行う必要があるのです。 無作為抽出法(ランダムサンプリング)には、その都度乱数を発生させて対象世帯をひとつずつ抽出する方法もありますが、調査エリアの中から900世帯(あるいは600世帯や200世帯)をひとつずつ選ぶのは現実的ではありません。したがって、当社では最初の世帯だけをランダムに選び、あとの標本は一定間隔(インターバル)で抽出する「系統抽出法」という手法を採用 しています。

サンプリング手法の概略を関東地区を例にして簡単に説明します。

900世帯の場合
① 国勢調査の世帯数データをもとに 調査エリア内の総世帯数を求めます 。以下の計算では18,000,000世帯と仮定します。
② 調査エリア内総世帯数を調査世帯数で割って、インターバルを出します。
18,000,000÷900=20,000
③ 乱数表を用いて20,000より小さな数字をひとつ選び、スタートナンバーとします。この数字が1番目の対象世帯となります。
④ スタートナンバーにインターバル(20,000)を加算していき、残り899世帯の番号を求めることで、合 計900世帯の対象世帯が決まります。

視聴率調査のサンプリング手法及び系統抽出法についての詳細はホームページに記載しております ので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。
なお、視聴率調査は、調査エリアに居住する自家用テレビを所有する「普通世帯」を調査対象としていますので、病院、事務所、寮、テレビ非所有世帯は除きます。また、調査の性質上マスコミ関係者のいる世帯も調査対象外としています。

関東地区PM600世帯とTS300世帯の統合について

お伝えしたとおり、この10月より関東地区の視聴率調査対象世帯が600世帯から900世帯に増えました。 追加した300世帯は2013年10月より実施していたタイムシフト調査の対象世帯です。27地区の視聴率調査と同様に、タイムシフト調査も系統抽出法で対象世帯を抽出しています。「調査エリアは同じだけど、単純に統合しても大丈夫なの?」という疑問を持たれるかもし れませんが、統合前の視聴率調査(以下、PM600)と タイムシフト調査(以下、TS300)、統合後の視聴率調査(以下、PM900)の関係を図に示してみます。

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TS300はPM600に比べて対象世帯が少ない(=インターバルが大きい)ので、図で見るとスカスカした 印象を与えると思いますが、対象世帯が調査エリアの縮図となっている(都県の世帯数に応じた分布になっ ている)ことに変わりはありません。PM600、TS300は対象世帯の抽出だけでなく、その他の調査設計も同一です。それぞれ調査エリアの縮図となるように対象世帯が分布していますので、統合したPM900の対象世帯も調査エリアの縮図となっています。したがって、 二つを統合したPM900で視聴率データを算出することに問題はありません。
現在は別々に抽出した900世帯ですが、次に調査世帯を抽出する際は、2015年の国勢調査データが確定したあと、前述の手順で900世帯をまとめて抽出します。

調査精度維持のための方策

❶サンプルローテーション
対象世帯はPMシステム調査地区では2年間、それ以外のオンラインメータシステム調査地区は3年間ですべての世帯が入れ替わるようにローテーションしています。
ローテーションを行わないと対象世帯の構成員の年齢が上がるのみで、母集団と乖離していきます。また、PMシステム調査の場合、対象世帯の一人ひとりがテレビ視聴した際に自分のボタンを押すという作業が必要です。ボタン押しは慣れてしまえば大きな負担にはなりませんが、調査期間が長すぎると疲弊が起こらないとも限りません。母集団との乖離やボタン押しの疲弊を防ぎ、調査精度を落とすことなく視聴率調査を継続していくために、ローテーションは必要な方策なのです。 ちなみに2016年10月以降、PM900は1ヶ月あたり37世帯もしくは38世帯入れ替えていくことになります。

❷コミュニケータ
データの公正性と精度を担保するため、視聴率デー タの測定や収集は機械的に行われ、直接人が介在することはありません。その一方で、調査を円滑に、正常に行うためには対象世帯と良好な関係をつくることが重要です。そのため対象世帯の特性の変化にいち早く気づいて、対応できる体制と相互理解を得るために、対象世帯と当社とを結ぶコミュニケータと呼ばれる専属調査員を置いています。コミュニケータは定期的に対象世帯宅を訪問し、不安や疑問に応えながら調査への理解を促すことが大きな役割であり、調査協力を維持するのに必要な存在です。

❸ISO9001品質マネジメントシステム
視聴率調査に関して国際規格であるISO9001品質マネジメントシステムの認証を受け、全社あげて実行していることも大きな特徴です。ISOの目的は『良い製品を作ること』だけではなく、『よい製品(サービス)を作る(提供する)ためのシステムを管理すること』です。こ れにより、顧客が求める高品質なデータを継続して提供しているという信頼感の醸成と、それによる『お客さまに満足してもらうこと』を目指しています。

視聴率の使われ方を考えた時、"代表性の確保・維持"はなによりも優先されるものであり、その基盤となる サンプリングについては専門部署によって厳密に管理・実施しています。時代や環境が変わろうとも、"代表性の確保・維持"を追及し続け、公正で、信頼性の高いデータの提供に努めてまいります。

「サンプリング手法」https://www.videor.co.jp/rating/wh/04.htm
「系統抽出法」https://www.videor.co.jp/rating/wh/04_random.htm

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