衛星放送とハイビジョン

VRDigest編集部
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※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

さる7月より衛星放送がスタートした。これは昭和59年、衛星放送ゆり2号が打ち上げられ同年5月よりNHKで実験放送が始まっていたが、これを難視聴だけでなく普及促進を図るため本年実施されたものである。

NHKの衛星第-テレビは7月4日より、24時間、国際ニュースを中心に舞台中継、スポーツ中継、映画などの放送が開始され衛星第ニテレビは従来の「総合」ど「教育」の混合編成で-日の放送時間は平均18時間30分放送されている。現在、この衛星テレビを視聴するには、パラボラアンテナ、コンバータBSチューナと工事費が必要だが、量産化によって20万円から10万円前後になるものとされている。

衛星放送の本格化には民放の登場が必要だが、その前提となる受信機のハイビジョンについての懇談会が、郵政省で各界のトップのメンバーが参加しはじまっている。ハイビジョンの推進に関する懇談会(座長 山下勇東日本JR会長、民放連中川会長、電通木暮社長、日立製作所三田社長、松下電器谷井社長、東映岡田社長、TBS濱口社長など26名で構成)では今秋10月を目標にその最終報告書のとりまとめに入っている。そこで、その概要を中間報告でみるとつぎのようになっている。

ハイビジョンは、高画質、高音質のハイクォリティーのテレビであり、大型画面により、臨場感あふれる映像を提供することが可能であり、次世代テレビとして期待されているほか、映画、印刷・出版等の産業応用分野においてもその発展が注目されている。

また、ハイビジョンは、我が国の緊急の課題である内需拡大に対しても全世帯数の30%に普及すれば12兆円となり大いに貢献するメディアである。

懇談会では、ハイビジョンの特徴実用化の動向等について分析し、昭和65年打上げ予定のBS-3及びCATV等による実用化を目標に、その推進策について検討が行われている。

具体的には、財政・税制上の支援措置を含め、以下の項目等について検討されている。

(1)ハイビジョン規格の早期明確化

ハイビジョンをBS-3で実用化するため、国内での規格の考え方(暫定規格の制定等)を早期に明確化する必要がある。さらに、ハイビジョンの規格化においては、放送とCATVの規格の調和、映軌 印刷・出版等への応用も配慮する必要がある。

(2)ハイビジョン機器の開発

ハイビジョンの衛星放送を受信可能な小型低廉なアンテナの開発のはか、家庭用普及型受信機の開発促進が重要である。また、番組制作機器等の高性能化、低廉化の促進が一層望まれる。実用化技術の開発に閲し、財政・税制上の支援措置が必要である。

(3)ハイビジョンに対する国民の理解の促進

テレコム旬間におけるノヽイビジョンフェアの恒例化や、BS-2段階において、これらのイベント対応に一定時間内昼間でのハイビジョンの放送実施について検討する必要がある。また、街頭ハイビジョンの設置や家庭へのハイビジョンの実験的導入等のプロジェクトを実施することを検討する必要がある。

(4)民間衛星放送会社の育成

ハイビジョンについては、今後もNHKの先導的役割が期待されるが、ハイビジョンをBS-3により普及発展させていくためには、民間放送によるハイビジョンの実施が不可欠である。そこで、ハイビジョンの放送事業化のための設備・施設等につき金融・税制上の支援措置を行うことを検討する必要がある。また、BS-3以降において、複数の民間放送事業者が新たに衛星放送事業に参入し、ハイビジョンを行うことを促進するための施策についても検討する必要がある。

(5)ソフト供給体制の整備

   ハイビジョンの普及促進のためにはソフト供給体制を整備することが必要である。そこで、ハイビジョンソフト制作環境の整備のため、ソフト制作者のスタジオ・機器等に対する設備投資に対する金融・税制上の支援措置やスタジオ機器のリース業の育成につき、検討する必要がある。または、ソフト制作に係る教育・研修施設を整備する等の人材の育成策や、映画・放送等様々な分野のソフト制作者の技術交流を促進するための措置についても検討する必要がある。

CATVについて

 現在、衛星放送の受信世帯数の90%以上はCATV等の共同受信者であり、ハイビジョンの普及におけるCATVの重要性は極めて高い。CATVでの実用化のための固有の課題としては、次の2つがある。

(1)CATV施設の高度化に対する金融・税制上の支援措置

(2)・CATVによるハイビジョンの伝送規格の早期確立

地上放送について

 現在23GHz帯でのハイビジョン地上放送方式に閲し技術開発が進められているが、12GHz帯の導入の可能性の検討を含め、地上放送の導入については今後更に積極的に検討を進める必要がある。

●ハイビジョン普及予測調査の概要

1.ハイビジョンに関する専門家に対する郵送調査

(1)ハイビジョン放送の普及見通し

  ハイビジョン放送の世帯普及率は次のように予測されている。

  ・世帯普及率 10%  昭和70年(平均)

  ・世帯普及率 20%  昭和73年(平均)

  ・世帯普及率 30%  昭和76年(平均)

(2)家庭用受信機の大きさ

  ハイビジョン放送の普及を図るために必要な家庭用受信機の大きさは、「30インチ(ブラウン管)」(35%)と「40インチ(ブラウン管)」(34%)に二分されている。

2.-般視聴者及び映像に関心のある視聴者に対するハイビジョンの体験調査

(1)30インチ程度の受信機の購入意向

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(2)有料放送支払可能月額

  仮に、ハイビジョン放送が有料で実施された場合、1か月当たりで支払える平均金額。

 ・一般視聴者 1,882円  ・映像関心者  2,283円

 ハイビジョンのハード機器の開発にともない、ハイビジョンの普及の鍵となるソフト制作も日本をはじめ米国、カナダ等で始まっている。

 昭和57年NHKが「HDTVのためのいろいろなイメージ」と「日本の美」の作品を制作しているが、その後の主要作品は次のようになっている。

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