日本広告学会 第18回全国大会研究報告から...

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※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

全国大会概要

 日本広告学会(会長・小林太三郎早大教授)第18回全国大会がさる10月23・24日愛知大学豊橋校舎で開かれた。大会には、全国から大学、研究機関の学者、研究者、広告、放送の実務家200名が参加し「広告とマーケティングの接点」のテーマで統一論題、自由論題の研究報告が3会場でくり広げられた。

 大会にさきだって、小林太三郎会長から「日本広告学会第18回全国大会を当地愛知大学で多数の会員が参加し開催できたことは慶びにたえません。今大会の統一論題のテーマは『広告とマーケティングの接点』であります。今日、広告を取り巻く環境は、大きな変化を見せています。この様な状況変化に対応しうる広告のあり方を求め、広告活動とマーケティングについて幅広い視点からの研究報告と討議を期待しております」の挨拶があった。

 開催大学として全国大会準備委員長を務めた松江宏・愛知大教授は「これだけの規模の広告学会がこの地区で開かれたのは初めて。企業を取りまく環境が日々変化する中、広告の果たす役割と責務は大きい。大学の研究者と、電通など企業の第一線の人が同席する学会として意義がある」と話していた。

 全国大会の研究報告としては、「国際品と広告―電通仁科貞文民」「広告、広報媒体としてのテレビ報道番組―テレビ東京小林貞夫氏」「キャンペーン効果の指数―早大本間弘光氏」「日欧米のCM表現の特徴と比較―電通山川浩二氏」「コマーシャル認知におけるシェマの研究―盛岡大丸山久美子氏」「買いたくなるCM―東経大八巻俊雄氏」「テレビCM評価と購買態度―関大佐々木土師二氏」など個人研究18報告、最終日の報告では「日本企業の広告戟略の特質―束洋大疋田聡氏」「広告とマーケティングの接点―束海大清水滋氏」そして「統一論題シンポジウム慶大村田昭治氏司会」「研究プロジェクト報告記号論的広告論一束京国際大川嶋行彦氏ほか」「大都市の消費空間とマーケティング・コミュニケーショ

ン―上智大田中利見氏」の2研究プロジェクトなど多彩な研究報告と討議が行なわれた。

 これら研究報告は昭和63年中に「広告科学第16集」として刊行が予定されている。

 今年研究報告の中から八巻俊雄会員の報告要旨をつぎに紹介させていただくことにした。

買いたくなるCM  東京経済大学教授八巻俊雄会員研究報告

1.研究の目的  売れるCMとはどんな内容かを明らかにする。

2.研究の方法

1986年上期に放映されたCMについて、全国1000名に「好きなCM」とその理由として「タレントが好き」「ユーモラスだから」「お色気が印象的」「宣伝文句が印象的」「音楽がよい」「画像が美しい」「その商品が思わず欲しくなった」「エゲツないけど憎めない」「時代の先端を走っている感じ」「しみじみと心が落ちつく」の10項目をきき自由にチェックさせた。(表1は省略)

 この結果から理申の中の「その商品を思わず欲しくなった」と他の9項目との関連を明らかにした。次に、CMの内容分析を行い、同様に「好きなCM」と「思わず買いたくなったCM」の内容との関連を明らかにした。前者では相関分析、次いで因子分析、後者では数量化1類を利用した。

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3.研究の結果......「買いたくなるCM」の特色

 「その商品が思わず欲しくなった」を軸に他の9つの選択要因との相関関係をみた。(表2)「時代の先端を走っている感じ」(r=0.4、1%水準で有意)次いで「画像が美しい」(r=0.18)の2つがプラスになり、逆にマイナスの相関関係を示した要因は「ユーモラスだから」(r=-0.29、1%水準で有意)「宣伝文句が印象的」(r=-0.20、5%水準で有意)であった。「お色気が印象的」は0.06、「音楽がよい」は0.01できわめて薄い関係しかなく、「タレントが好き」(-0.18)「エゲツないけど憎めない」(-0.18)ともにわずかに逆相関を示し「しみじみと心が落ち着く」(-0.08)もほとんど影響していなかった。結局ハイブリッド、ハイセンスのCMが買いたくなるCMということになる。しかし各要因の相関関係が深いので独立変数をつくるため、因子分析が必要になる。

 表2の相関係数を使って因子分析を行い、CM選好理由の構造分析を行った。各要因の因子負荷量を示したのが表3である。4つの要因でデータの約37%を説明している。各軸の解釈と各軸の因子スコアの絶対値が大きいCMを示すと表4になる。

 この各因子とCM選好理由としての「その商品が思わず欲しくなった」関係を従属変数として重回帰分析を行った。因子のウェート値は次のとおり。定数項は9.70。

   Ⅰ軸 -2.81    Ⅱ軸 -3.51

   Ⅱ軸 -3.31    Ⅳ軸  1.26

 この結果、買いたくなるCMは先端的イメージを基調に美しい広告である。逆にタレントばかりが目立つ商品コンセプトの伝わらない広告はCMが好まれても購買意欲をそそらないのだろう。

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4.買いたくなるCMの内容分析

 上記100点の中から30点を選び、内容分析を行い、数量化1一類により、買いたくなるCMの得点を推計した。各アイテムをカテゴリー値のレンジの大きい順に上位10を並べてみるとつぎの表5のとおりである。

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