EDTV(高画質化TV)方式開発に関する審議経過について

VRDigest編集部
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 ※本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

衛星放送の本格化を前に活発な動きがでている。

 本誌で昨年恥2318月号に「衛星放送とハイビジョン」をとりあげたところ多くの問い合せをいただいた。

 ハード面ではハイビジョンTV、EDTV(Expended Definition TV高画質化TV)が大きな話題になっている。民放連では現在のTVと互換性があり、両立性があるEDTVを最適なTV方式として愛称募集しその普及・発展に乗り出している。国際的にも今年1月22日ハワイで全米放送事業者連盟(NAB)がテレビの高画質化に関する国際技術研究会議を開催、日本からも民放連技術委員長河内山重高氏(山陽放送社長)ら関係者が出席した。

 郵政省でもテレビジョン放送画質改善協議会(会長放送行政局長)を設置した。今春(3月ごろ)EDTV方式の技術的条件を電気通信技術審議会でとりまとめることになっている。

 そこで昭和64年実用化をめざすEDTV開発審議の経過をみてみよう。

EDTV方式の開発審議の経過概要について

 放送技術開発協議会(会長:青井舒一 ㈱東芝社長)では、現行のNTSC方式と両立性があり、画質のより高い新しいテレビジョン方式(EDTV)の開発のための調査研究を進めてきたが、その実現の可能性が得られたので、この度、テレビジョン放送画質改善協議会開発部会に中間報告を行った。その概要は次の通りである。

1.審議の経過

 高画質化を図るための手法については、当初25の方式の提案および紹介があったが、これら各機関からの資料および意見並びに技術的実現性などの点から10の方式(表1)に絞り込み、机上検討、シミュレーション実験、ハードウエア実験等の結果について審議を行った後、1インチCタイプVTRによる評価実験の可能な7方式(表1※印)について、既存のテレビ受像機との両立性およびEDTV受像機での画質改善効果の評価試験を実施した。

 ゴーストキャンセル技術については、改善のための暫定目標値を決め、暫定ゴースト除去信号(GCR信号)波形について7波形を3波形に絞った。また、GCR信号によるゴースト除去の性能をシミュレーションにより確認した。

2.高画質化の手法

 評価の対象となる画像の選定及び制作を行い、静止画像18種の評価画像を決め、評価方法の検討を行った。

2.1 既存受像機に対する両立性

  評価画像の信号を磁気テープに収録し、提案各社によりEDTV方式でエンコードした信号を1インチCタイプVTRに記録して受像機メーカーに配布し、メーカー11社により自社の現行方式の受像機及びVTRに対する両立性試験を実施した。

  実験の結果では、一つの方式を除きほぼ両立性があると認められた。

2.2 画質改善効果

  静止画像18種について1インチCタイプVTRの信号を再度提案各社でデコードし、EDTVモニター直前の順次信号をディジタルVTR2台の並列運転で記録し、1カ所で方式及び絵柄の呈示順をランダムにして再生し、NTSCスタジオモニターを基準にして、技術者18名、一般23名を被験者として7段階相対比較を行った。

 証価試験結果では、

 ① 各方式の評価は「ややよい」と「よい」の中間であった。

 ② 受像機の順次走査化、3次元Y/C分離技術及び信号源の高解像度化を組合わせた場合に改善度が比較的大きい。

   なお、各方式については複合することにより、さらに画質改善効果が得られる可能性がある。

3.ゴーストキャンセル

 画質改善の一つとしてのゴーストキャンセルに関する検討が平行して進められており、

現在の作業状況は次の通りである。

① 改善のための暫定目標値を、ゴースト受信の実態とその物理的態様、ハードウエアの技術的可能性などを考慮して検討し、フラッタ性ゴーストおよび極度に強い近接ゴーストがなく、アンテナによる若干の改善を前提とする条件のもとに、「ゴーストは認められるが、通常は気にならない程度」と設定した。

② 暫定ゴースト除去基準信号波形を、波形の周波数成分、GCR信号のS/N、波形等化への利用など24項目について比較検討し、暫定GCR信号として三つの案に絞り込んだ。

③ ゴーストの主観評価のために、今後の評価ベースを共通にするための標準主観評価用画像を定める作業を開始した。

④ GCR信号を使ってシミュレーションした結果、十分な除去性能が得られた。

4.今後の検討事項

上記の審議状況を踏まえて、次の事項について検討を進める。

① 動画像による両立性、改善効果の確認。

② 伝送路に関する検討(NTT回線、放送網など)

③ EDTVと従来の方式を区別するための制御信号の検討(必要性の有無とその種類)

④ 改善手法の組合わせによる改善の検討

⑤ 屋外伝送実験

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