1986年テレビCMの動向 テレビ調査白書

VRDigest編集部
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'86年の年間テレビ広告量

1.年間総CM

 ―深夜放送枠の拡大が増加を促し、スポットCMは最近15年間で最多出稿量―

1986年1年間の総テレビCM量は、関東地区民放5局で122万本、2,394万秒(前年比102.4%)、関西地区民放4局では104万本、1,923万秒(前年比101.1%)に達している。1日当りに換算すると関東地区では約3,350本、すべてつなぎ合わせると18時間13分、関西地区は約2,850本、14時間38分のCMが民放各局から放送されたことになる。

 総CM量の増加傾向は、ここ数年の深夜放送の拡大と連動していると判断できる。とくに関東地区の'86年は最近15年間でもっとも多い出稿量になっている。

 番組CM、スポットCM別にみると関東・関西地区ともにスポットCMの増加が目立つ。

関東地区は前年比103.0%、関西地区は101.4%の伸びを示し、ともに最近15年間で最高の出稿量になっている。また番組CMも昨年にくらべるとやや増加しているが、伸び率はスポットCMのそれにおよばない。したがって番組CMが総CM量に占める割合は最近15年間でもっとも低くなっている。(図1)

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2.広告主数とCM銘柄数

  ―ローカルスボンサーを中心に関東地区の広告主数が増加―

 総CM量の増加に対応して、広告主数、銘柄数ともに僅かながら増えている。'86年の広告主数は関東地区が2、229社('85年2,192社)、関西地区が2、192社('85年2,188社)、また銘柄数も関東地区が5、219件('85年5,166件)、関西地区は5、074件('85年5,042件)で両地区ともに僅かながら増加している。

 業種別にみると銘柄数では関東・関西地区とも「食品・飲料」が圧倒的に多く全体の30%近くを占める。以下「サービス・娯楽」「化粧品・洗剤」「家庭用品・機器」となっている。一方、広告主数についてみるとローカルスポンサーの比率が高い「サービス・娯楽」がトップで、全体の約20%を占める。ついで「食品・飲料」「家庭用品・機器」になっている。(図2)

 また広告主数を前年と比較してみると、'84年から'85年にかけては関東・関西地区とも減少したが、'86年は関東地区が36社、関西地区が4社増え、南東地区の増加が目立つ。

●広告主数が増加した主な業種

  関東地区......サービス・娯楽(+30)、輸送機器(+16)、住宅・建材(+9)、卸売・百貨店(+8)、出版(+8)

  関西地区......住宅・.建材(+18)、一般産業機器(+6)、精密機器(+5)

●広告主数が減少した主な業種

  関東地区......食品・飲料(-16)、薬品(-10)、卸売・百貨店(-8)、衣料・身の回り品(-5)、家庭用品・機器(-5)

  関西地区......食品・飲料(-25)、衣料・身の回り品(-21)、薬品(-10)、電気機器(-6)、化粧品・洗剤(-6)

 地区別にみると関東地区はこの数年増加傾向を示している「サービス・娯楽」に加え、'86年は中古車やカー用品販売店を中心に「輸送機器」が増加している。逆に広告主数が減少した業種は「食品・飲料」「薬品」などである。また関西地区は「住宅・建材」「一般産業機器」などは増えているが、関東地区同様「食品・飲料」「衣料・身の回り品」をメイン商品とした広告主が減少している。

 次に広告主をネットスポンサーとローカルスポンサーに分けてみると、関東・関西地区ともに前年同様ネットスポンサーが6割、ローカルスポンサーが4割になっている。特に広告主が増加した関東地区についてみると、そのほとんどがローカルスポンサーであり、'85年の851社から31社増の882社になっている(図3)。業種別にみるとネットスポンサーは関東・関西地区ともに「食品・飲料」「薬品」「化粧品・洗剤」「衣料・身の回り品」が減少し、「住宅・建材」「精密・事務機器」「金融・保険」などが増えている。またローカルスポンサーについてみると、関東地区は「サービス・娯楽」「化粧品・洗剤」「輸送機器」、関西地区では「住宅・建材」が増え、特に「サービス・娯楽」は関東・関西地区ともにローカルスポンサー甲30%以上を占めている。なおローカルスボンサーの中で前年にくらべ減少した業種は関東地区が「卸売・百貨店」、「家庭用品・機器」、関西が「衣料・身の回り品」、「食品・飲料」などである。(表1)

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3.業種(商品種類大分類)別出稿量の変化

―増加を支える「サービス・娯楽」「卸売・百謝乱「金融・保険業」などサービス関連業種―

'86年1年間のCM出稿量を業種別にみると、関東・関西地区ともに従来同様「食品・飲料」が圧倒的に多く、全体の30%前後を占めている。次いで「薬品」「化粧品・洗剤」となっている(図4)。「食品・飲料」は'85年にくらべ関東地区101.9%、関西地区102.1%、「化粧品・洗剤」も関東地区102.2%、関西地区101.4%と-昨年の減少をとりもどしている。しかしながら「食品・飲料」についで出稿量の多い「薬品」は関東地区前年比98.8%、関西地区96.7%に減少している。そのため主要3業種合計の総CM量に占める割合は前年並みになっている。(表2)

 上記3業種以外についてみると、円高や財テクブームなどの情況を反映して「金融・保険」「基礎材」「住宅・建材」や「電気機器」「輸送機器」などに大きな変化がみられた。

 そこで、各業種の出稿量の変化についてもう少し詳しくみると......

●前年にくらべ出稿量が5%以上増加した業種〔( )内数値は前年比〕

 関東地区......基礎材(128.7)、住宅・建材(125.6)、金融・保険業(125.5)、サービス・娯楽(109.0)、卸売・百貨店(108.8)

 関西地区......金融・保険業(132.4)、基礎材(121.3)、卸売・百貨店(107.9)、一般産業機器(107.8)、家庭用品機器(107.2)、サービス・娯楽(105.5)

●前年にくらべ出稿量が5%以上減少した業種

 関東地区......電気機器(89.3)、輸送機器(91.6)

 関西地区......精密・事務機器(88.0)、輸送機器(90.4)、電気機器(92.8)

 以上のように関東・関西地区とも前年にくらべ年間総CM量が増加した業種は、この数年スポーツ・娯楽場や宅配・引越サービスなどを中心に活況を呈している「サービス・娯楽」、コンビニエンス・ストア、通信販売などが活発な「卸売・百貨店」、それに「基礎材」「金融・保険業」などである。なかでも「金融・保険業」は財テクブーム、証券業界の活況を反映して社債、クレジットカードの広告が一段と活発化し、関東地区で前年比125.5%、関西地区では132.4%の伸びを示した。また「基礎材」も円高メリットでうるおった電力・ガス・ガソリンなどのエネルギー関連企業の広告出稿が目ざましく、前年に引き続き高い伸びを示した。なお、関東地区においては'87年の国際居住年を控え「住宅・建材」も前年比125.6%と大幅に増え、数年ぶりに回復の兆がみられた。また一昨年不振であった「食品・飲料」も"サイダー・炭酸飲料""タバコ""ハム・ソーセージ"などの出稿が増え、前年にくらべ関東・関西地区ともに約13万秒の伸びを示し、出稿秒数では「金融・保険業」に次ぐ増加量を示している。

 一方、前年にくらべ出稿量が減少した業種は関東・関西地区ともに「電気機器」「輸送機器」である。この2業種は'85年は高い伸びを示したものの、その後の円高による輸出不振がひびいて、出稿量の減少につながったと考えられる。

 このように'86年は前年に引き続きサービス関連業種の伸びが著しく、「サービス・娯楽」「金融・保険業」「卸売・百貨店」のサービス3業種合計で全業種の増加量の82.7%を占めている。

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4.CM出稿量の商品種類別ランキング

―関東は「住宅・建材総合」、関西では「ハム・ソーセ一泡のランクが上昇―

                                                                               

'86年1年間の商品種類別出稿量を番組CMとスポットCMの合計でみると、下記の如く前年同様、関東地区は通信販売・カタログ販売などを中心とした「他の特殊小売店」、関西地区では「即席麺類」がトップであった。特に「他の特殊小売店」は関東・関西地区ともに10万秒近い増加を示し、関西地区では前年の5位から2位へランキングを上げている。

 また3位以下についてみると、関東地区では「住宅建材総合」「玩具」「かぜ薬」、関西地区は「玩具」「かぜ薬」に加え「カレー」「ハム・ソーセージ」が大幅にランクを上げている。特に関東地区の「住宅建材総合」は前年にくらべ約17万秒の増加を示し、総秒数では最高の伸びを示している。また関西地区の「ハム・ソーセージ」も前年の21位(186、690秒)から10位(269、450秒)へと上昇している。

~'86年商品種類別出稿量上位10位~    ( )内前年順位

<関東地区><関西地区>

①位 他の特殊小売店(1)   ①位 即席麺類   (1)

②位 他の精密機器 (3)   ②位 他の特殊小売店(5)

③位 即席麺類   (2)   ③位 化粧品総合  (3)

④位 住宅・建材総合(6)   ④位 飲食業    (4)

⑤位 普通乗用車  (4)   ⑤位 普通乗用車  (2)

⑥位 化粧品総合  (5)   ⑥位 コーヒー   (6)

⑦位 コーヒー  (7)   ⑦位 かぜ薬      (9)

⑧位 飲食業   (8)   ⑧位 玩 具     (15)

⑨位 玩具    (14)   ⑨位 カレー     (13)

⑩位 かぜ薬   (12)   ⑩位 ハム・ソーセージ(21)

 つぎに10位以下で大幅にランキングが上昇した商品種類をみてみる。関東地区では「サイダー・炭酸飲料」が約10万秒ふえ前年の37位から14位へ、「ビール」が31位から17位、クレジットカードなどの「他の金融」が30位から19位へとそれぞれ大幅にランクを上げている。関西地区についてみると前述の「ハム・ソーセージ」についで関東地区同様「ビール」が前年の28位から18位へ上昇している。

 一方ランキングが下がった商品種類をみると、関東地区では「宿泊業」(9位→12位)、「保健薬」(10位→13位)、さらに'83年から'84年にかけて増加したカミややブームが下火となった「焼酎」(17位→認位)などである。また「普通乗用車」もランキングは4位から5位とほとんど変化していないが、総秒数では約7万秒の減少になっている。なお'85年は科学万博つくば博'85関連CMが大きく寄与した「他の諸団体」(20位→30位)や外国政府観光局、郵政省の出稿量が増加した「官庁・自治体」(18位→31位)も大幅にランクを下げている。

 関西地区についてみると、関東地区同様「普通乗用車」(2位→5位)、「保健薬」(8位→13位)、「焼酎」(20位→44位)がランクを下げた。関東地区ではほとんど変化していない「ちん味・肴」が約5万秒減少し、7位から15位へとランキングを下げているのが目立つ。(表3)

5.テレビ出稿のスタイルからみたマーケティング動向

―曜日、時間帯による広告投入パターン―

 テレビの視聴者層は、曜日や時間帯、そして当然ながら番組内容によって異ってくる。

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例えば午前中や昼間であれば主婦が中心となり、夕方からは学校から帰ってきた子供、成人男性の場合は夜遅い時間帯となる。従ってテレビ広告も、それらの商品ターゲットに合わせて投入パターンを決めることが望ましい訳である。

 それではどの曜日、どのような時間帯に、何の商品のテレビ広告が多いのだろうか。以下、秒数によるCM量で'86年の出稿状況をみてみる。

 表4は商品種類ごとに平日・土曜・日曜の出稿の比率をみたものである。各商品種類の多くが「平日型」「土日型」「曜日均等型」のいずれかの広告投入パターンに含まれるが、一部の特定商品種類には「土曜型」「日曜型」がある。

●曜日均等型......食品・飲料、薬鼠 衣料・身の回り鼠 精密・事務機器、家庭用品機器、住宅・建材、サービス・娯楽

●平 日 型......化粧品・洗剤、卸売・百貨店

●土・日 型......基礎材、電気機器

●土 曜 型......出版、輸送機器

●日 曜 型......一般産業機器、金融・保険業

 曜日別の投入パターンと商品種類との関係は'86年を含めてここ数年、その傾向に大きな違いはみられないが、一部の商品種類は若干変化してきている。「-般産業機器」は'84年、'85年と土・日型投入パターンであったが、'86年には土曜の出稿量が減り、その分日曜の出稿量が増え、典型的な日曜型となっている。「住宅・建材」は'86年も'85年と同様に曜日均等型ではあるが、日曜の出稿量が減っている。曜日のかたよりの著しい「輸送機器」の「土曜型」、「電気機器」の「土・日型」、「卸売・百貨店」の「平日型」は'84、'85、'86年と変化がみられない。

 一般的に男性向け及び世帯主向けの商品は「土・日型」又は「土曜型」「日曜型」が多く、主婦・女性向け商品は「平日型」「曜日均等型」が多くなっており、又この傾向はターゲットが明確な商品種類ほど顕著なようだ。

 次に時間帯ごとの広告投入の傾向をみてみる。

 特定の時間帯に出稿量が集中しているもので特に目立つのは、平日の夜に集中している「一般産業機器」で19~24時の間に全体の7割以上を出稿している。その他「輸送機器」の平日23・24時台、「出版」の平日24・25時台はそれぞれ3割前後、「出版」の土曜9時台、「卸売・百貨店」の土曜9時台、「一般産業機器」の日曜18時台が2割以上と比較的出稿が集中している。

 昼の12時までを「午前」、18時までを「午後」、23時までを「夜」、23時以降を「深夜」として、各曜日の傾向をまとめてみると次の通りとなる。

●平 日

 「午前型」......基礎材

 「午前~午後型」......卸売・百貨店

 「夜~深夜型」......一般産業機器、輸送機器、電気機器

 「深夜型」......出版、精密事務機器

●土曜日

 「午前型」......基礎材、住宅・建材、卸売・百貨店

 「午後~夜型」......一般産業機器

 「夜型」......化粧品・洗剤

 「夜~深夜型」......電気機器、輸送機器

 平日・土曜ともに.「卸売・百貨店」のような主婦、女性向け商品は午前中、又は午後に多く、男性・世帯主向けの「輸送機器」「電気機器」等は在宅率の高い夜から深夜にかけて多く出稿している。これに対して終日家族全員の在宅率が高い日曜は午前、午後、夜と平均的に出稿しているケースが多く、各商品種類数の投入パターンには、平日、土曜のような際立った特徴があまり見られない。

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6.番組提供スポンサーの動向

―業種別提供番組数と広告主比率―

'86年の番組提供CM量は856万秒と'85年に比べやや増加しているが、これは深夜0時以降の放送が延長されたことが原因である。ここ数年、広告主の番組提供のメリットを見直しているためか、スポットCMに対する番組提供CM比率は8年連続して減少をつづけ'86年は'72年以来の最低の比率になった。全CMのうち番組提供CMは約1/3になっている。

 このような状況のなかで番組提供の多い業種はどういったものなのか。また具体的にはどのような番組を提供して、それらはどのようなターゲットを狙っているのかを調べてみ

た。

 図5は各業種ごとに、全広告主のうち番組提供した広告主の比率を表わしたものである。

全業種の平均は68.8%になる。業種別にみると建設・土木やフォークリフトなどの「一般産業機器」(93.5%)が最も多く、電気・ガス・石油などの「基礎材」(87.5%)、「電気機器」(86.1%)、「薬品」(86.0%)、「金融・保険業」(85.2%)とつづく。逆に番組提供比率の低い業種は「出版」(42.1%)、「その他」(44.9%)、「サービス・娯楽」(54.0%)などの業種である。

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'85年にくらべ提供比率が低下した業種をみると「精密・事務機器」(84.1%→74.8%)、「輸送機器」(88.1%→81.3%)、「出版」(48.0%→42.1%)、「化粧品・洗剤」(83.8%→79.2%)などが目につく。

 図6は1社当りの延べ提供番組数である。「卸売・百貨店」の283.0番組が最も多い。

これは午前・午後のワイドショーや月~金曜日の主婦向けベルト番組を提供するケースが多いためであり、仮りに毎日放送される番組を1年間提供すれば365番組となる。

 「卸売・百貨店」と同じターゲット(主婦)を狙う「化粧品・洗剤」も1社当り246.7番組と他の業種に比べ非常に多い。他では「精密・事務機器」(160.3番組)、「薬品」(169.8番組)が提供番組を多く持っている。

 逆に1社当りの年間提供番組数が少ないのは「出版」也2.9番組)、「サービス・娯楽」(52.7番組)、「衣料・身の回り品」(60.3番組)である。この業種の広告主は平均的には週1回の番組を年間を通して1本程度提供している計算になる。

'85年にくらべ提供番組を増やした業種は「卸売・百貨店」(239.1番組→283.0番組)「精密・事務機器」(152.9番組→182.8番組)、「食品・飲料」(152.6番組→169.8番組)であり、逆に減少した業種は「電気機器」(184.3番組→160.3番組)、「基礎材」(141.4番組→122.5番組)である。

―単独提供番組―

 企業にとってテレビ番組を提供することば番組の繰返しによるCMのフリークエンシーを高められることと、番組内容によって狙ったターゲットを獲得し易いことであり、また長期的なメリットとしては企業イメージへのプラス効果である。そしてイメージ的なメリットを生むためには視聴者に番組を提供している事実を知ってもらうことであり、そのためには複数広告主による提供より1社による単独提供の方がはるかに有利である。そこでここでは番組提供スポンサーの動向を調べるため"単独提供番組"についてその番組ジャンルと、具体的番組についてみてみる。

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 表5は広告主の業種別に、どのようなジャンルの番組が単独提供しているかをみたものである。

                                  (テレビラジオ調査部)

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