視聴率実践講座  ~ その11 ~

VRDigest編集部
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※本記事は1998年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 視聴率実践講座も早いもので第11回を向かえることとなりました。

最終日がいつ頃になるかはまだ見当がつきません。具体的な事例を数多く挙げていくことにするとかなり長い連載となるのですが放送中の特定の番組をストレートに分析することには遠慮が必要なのでそれ程長くないかもしれません。

今号では具体的に個別番組視聴率分析を行った場合、一般的に如何なる結果となるかを書きつづってみたいと思います。

1.ストーリー(ドラマ)系の番組

夜の18時以降の大人向けのストーリー系の番組はだいたい図-1のように分類できるでしょう。昼間の時間帯では番組の長さが違うものもありますが、連続ストーリー系で放送分数が1時間を越え、放送期間が1クール(13週間)以上の放送のものはありません。過去には存在したかもしれませんが、連続ストーリー系の1回毎の放送分数は1時間が視聴者にとって限界ということなのでしょう。

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一方で一話完結タイプの1時間ものは過去にはヒットした番組がたくさんありますが、近年は皆無の状況にあると言えます。1時間に凝縮して番組を制作するスタイルの得意な造り手が減ってしまったのか、視聴者側が番組の長さが2時間程度ないと満足出来ないのかはさだかではありません。そしてそれも"サスペンス"タイプが現在放送の主流となっていることが否めないのです。"ホーム""コミカル""アクション"タイプの一話完結ものは非常に少なくなってきてしまっているのです。そして気合いを入れた1社提供大型ドラマスペシャルも激減しているのです。日本人が"いちばん好き"とする番組ジャンルが、あらゆる調査結果からドラマであることは明確であるのにさびしい限りとお考えの方も多いと思います。

昭和50年代の前半、民放の番組編成の柔軟路線が進んでいた頃に、大型ドラマスペシャルの成功は起爆剤となっていました。番組嘩供に関しては特に新製品ラッシュだった家電メーカーが積極的で、カラーTV、エアコンなどのCMが番組に挿入され、テレビの買い替え及び複数TV所有化、エアコンは普及率そのものの促進にかかわっていたと考えてよいでしょう。又、人気番組のスペシャル化が始まったのもこの頃です。

 さて、昭和50年代の後半になると2時間ものの人気が頭打ちになってしまったのですが逆に1時間連続ものが活躍することになりました。景気の拡大に伴い視聴者側が忙しくて長時間テレビの前に座り続けることが出来なかったのか、もしくはお腹が一杯になったのか、送り手側が疲れてしまったのか、ネタの準備が追いつかなくなったのか理由はもっといろいろだったのでしょう。そして一方で、報道番組のワイド化、スポーツニュースの新設が浸透し、2時間の長さが納まる枠が、ゴールデンタイムと呼ばれる限られた範囲の時間帯のなかで各局とも少なくなっていたことも事実なのです。ここで登場したのが"女性上位"の1時間連続ドラマなのです。ドラマ好きの日本人女性が、毎週複数の2時間ドラマをじっくり見るスタイルから、好みにあった1時間ドラマを数本毎週連続して見る形に視聴パターンが変化した時代なのです。そして基本的にはこの形の視聴パターンで現代に至っているのです。(昭和40年代にも"オバケ"視聴率を取った1時間ものの連続ドラマが勿論たくさんありましたが、これらの番組は家族全員が茶の間でホームドラマを仲良く見るという、テレビ一家に一台時代が成せる業だったのです。)

 さて、主に平日の21時、22時台に放送されている連続ストーリー系のドラマ番組を分析すると一般的にどの様な結果になるかをお知らせしましょう。視聴率的に最もありがちなのが初回がやや高く、2回目以降は初回の1~2割減で推移し、最終回に向けてやや盛り上がりを見せ、初回の視聴率を上廻るパターンです。番組平均世帯視聴率は10%台の後半であることが多くなっています。初回放送でトライアル視聴に来た世帯の2~3割が2回目以降脱落し"見続ける"と決めた世帯の継続視聴に支えられて平均した視聴率を維持するタイプのものです。最終回は"見逃すまいぞ"ということで、やや視聴率も高くなります。視聴者プロフィールとしては20~34歳の女性が中心で、21時の場合は13~19歳の女性、22時台の場合は35~49歳の女性へやや拡がりを見せることが多くなっています。

 次に最終回にびっくりする様な番組平均世帯視聴率を得るようなものの場合としましょう。

初回放送はかなりの高いレベルの視聴率を取ります。2回目についてもその視聴率はともかく、分析してみると2回目から見始める世帯が多いのが特長です。(初回は録画に廻っているのです。放送のスタートが4月、10月の特番時であることが理由です。)シリーズ途中からの視聴参入世帯を得てそして最終回へ向かって視聴率は急上昇していきます。きっと途中からでも見ないと職場、学校で友人との会話に取り残されることを恐れる人達が成せる業なのでしょう。個人視聴率をみると20~34歳の女性の率が爆発的なスコアとなり、13~19歳の男女、20~34歳の男性、35~49歳の女性層も大量に獲得してしまっていることが多いのです。又、同一世帯内で複数の人達が見る番組のファミリー視聴パターンも多くなります。

次は2時間ドラマについてです。多少の例外はありますが視聴者の中心はあくまでも40歳以上の女性です。放送毎に分析すると長く見るか、短く見るかに番組の視聴分数分布は分かれます。長く見るか否かは少し見て決める人達が多い番組であることがわかるのです。視聴判定レベル1/3で1クール分析を行い視聴回数分布をみると1~5回のところに分布が集中します。毎週見ている世帯は少ないということがわかるのです。現在視聴されている2時間ドラマの番組平均世帯視聴率は好調と言える高さがおおむね得ることができていますから、40歳以上の女性に対してリーチマックス効果の高い番組ジャンルであるということになります。

 以上、来月号ではバラエティ、アニメの番組についてコメントさせていただくことを予告します。

                             (本社 テレビ調査部 加納永-)

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