「TV-CMカルテSpecial report 2002」 ~分析内容のご紹介~

VRDigest編集部
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本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 当社では、毎年一回、テレビコマーシャルカルテや広告統計データを用いたテレビCM効果に関する分析事例集として「TV-CMカルテSpecial report」を発刊しております。

 先月のこの誌面では「TV-CMカルテSpecial report 2002」の掲載内容の概要をご紹介しましたが、今月は分析結果を含めもう少し深くその内容をご覧頂きたいと思います。

 <「TV-CMカルテSpecialreport2002」主な掲載内容>

メインテーマ:Norm値の更新 と CMクリエイティブの影響

Ⅰ.テレビコマーシャルカルテNorm値の更新

   ① CM投下量とCM認知率の関係

   ② 各指標の平均値

   ③ CM認知率とCM好意度または商品購入喚起度の関係

付録1)テレビコマーシャルカルテ 各指標の分布

付録2)テレビコマーシャルカルテ 各指標の相関関係数一覧(性・年齢別)

付録3)テレビコマーシャルカルテ キャッチコピー評価指数のNorm値

Ⅱ.CM認知率予測モデル(二次案)の研究

  → Special report 1998-1999「CM認知率予測モデル(一次案)の研究」を受けて

  →「CM投下量とCM認知率の関係」Norm式をCMクリエイティブから補正

Ⅲ.CMイメージに関する分析事例TOPICS

① CMイメージポジショニングでみる良いCMとは...

② 出演タレント変更による CMイメージの変化

付録4)出稿パターン別 個人GRP⇔世帯GRP換算早見表

付録5)商品ジャンル別/出稿パターン別GRP→CM認知率早見表

付録6)2002年上半期(1~6月)好評テレビCMランキング

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◆ CM認知率予測モデル(二次案)の研究

 「CM投下量とCM認知率の関係」でご紹介しているNorm値の基本的なスタンスは"標準的なCMの評価結果の提示"であり、広告効果の事前推定やキャンペーンの出稿計画そのものをサポートするには説明力不足が否めません。そのようなこともあって、当社でも「テレビCM認知率の予測」は以前から命題として捉え、3年前の「TV-CMカルテSpecial report 1998-1999」では「CM認知率予測モデル(一次案)」を発表するに至りました。

 そこでの分析では「テレビCM認知率予測モデルの考え方」のアプローチを重点的に行い、テレビCMとはどの様な要因によって形成されていくのかという視点からモデル作成を試みています。しかしながら、提示できたのは"予測モデルの考え方"であり、"実用的に利用できるモデル結果"の提示には至っていませんでした。そこで今回のスペシャルレポートでは、「実用的に利用できるモデル結果の提示」を第一に考え、"テレビコマーシャルカルテ調査結果内で完結できるモデル"という視点でCM認知率予測モデル(二次案)の作成に取り組んでいます。

 CM認知率予測モデル(二次案)は、直接CM認知率を推定するのではなく、「CM投下量とCM認知率の関係」で求められた「回帰指数曲線によるNorm値」をクリエイティブ要因などで補正するという視点に立っています。

CM認知率予測モデル(二次案)= CM認知率Norm補正モデル

それは以下のような考えに基づいています。

『CM認知率は、投下されるCMの出稿量でおおよそ決まる。しかし、CMのクリエイティブによって若干変動する』

こう考えると、現在発表している「CM投下量とCM認知率の関係」により求められるCM認知率Norm値・Norm曲線を最大限尊重することができます。しかも、CM認知率に対する出稿量の影響と、クリエイティブ要因などの影響をそれぞれ独立して考えられるので、CM認知率を目標としたプランニングなどを考える際に、投下する出稿量の問題と、作製されるCMクリエイティブの問題を個別に討議することができます。

◆ モデルの概要

 今回は「実用的に利用できるモデル結果の提示」を第一に考えていますので、CM認知率を補正するクリエイティブ要因などは出来るだけ利用者、分析者の主観が入らないものが理想となります。そこで、補正するクリエイティブ要因は当社テレビコマーシャルカルテの調査結果、項目を用いることにしました。そうすることにより、過去に行った膨大な量のテレビコマーシャルカルテ調査結果による標準値や結果の分布を参考にすることが出来ます。そして分析者の主観が出来るだけ取り除かれたものになると思います。

 テレビコマーシャルカルテ調査結果には「クリエイティブ要因」だけではなく「出稿要因」となる項目も同時に調査しています。結果の利用価値を考えると、これら出稿要因を説明変数としてモデルに取り入れることも考察していきたいと思います。

 テレビコマーシャルカルテの調査項目は、大きく分けて

① CM出稿状況

     →「出稿期間」「出稿本数・秒数・GRPJ「出稿パターン」など

② CM浸透状況

     →「CM認知率」など

③ CMクリエイティブ評価

     →「内容理解度」「好意度」「興味関心度」「購入喚起度」など

④ 印象に残ったクリエイティブ要素

     →「タレント・キャラクター」「音楽・BGM・効果音」などの印象評価

⑤ イメージ評価

     →「新鮮な」「親しみのある」「面白い」などの感想評価

の5つあります。この中から説明変数を設定し作成したモデルが、以下の「CM認知率予測モデル(二次案)」となります(※説明変数の選択理由は本報告書に記載)。

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◆ モデル算出結果から

テレビコマーシャルカルテ関東地区Vol.126~153(2000年4月~2002年5月)で調査を実施したCM投下量に対する認知が標準的な3,170素材を用いてモデルを算出した結果は以下の通りです。

<モデルの精度(全業種、個人全体)>

・モデルの説明力として、決定係数0.6202が得られた。

・説明要因は「音楽・BGM・効果音」「背景・画面」を除き、1パーセント水準で「有為」と判定された。

<モデルの意味と解釈(図示したイメージは全業種、個人全体の場合)>

・Norm値は、個人GRPを「CM投下量とCM認知率の関係式」に当てはめて算出。その他の項目は、各項目の割合(%)とそれに対応する偏回帰係数の積から算出し、それがCM認知率への効果を表す。

・出稿要因をみると、当然ではあるが「出稿日数」「出稿終了後日数」共にCM認知率を低下させる。偏回帰係数を比較すると「出稿終了後日数」の影響の方が大きいが、実際の入力値の大きさを加味すると、「出稿日数」の影響の方が大きくなると思われる。

・クリエイティブ要素/イメージ評価をみると、「商品・サービスの具体的な機能・特徴がCM認知率をマイナスに作用させる。有意と判定されなかった「音楽・BGM・効果音」「背景・画面」の影響は殆どない。CM認知率に対する影響度は、実際の入力値を加味すると「タレント・キャラクター」「わかりやすい」「話の流れ・ストリー」の影響が大きくなると思われる。

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出稿要因そしてクリエイティブ要因を追加することで、現在発表している「CM投下量とCM認知率の関係」は説明力が大きく改善されました。テレビコマーシャルカルテの膨大な調査結果を参考にすれば、精度の良いCM認知率を推定できると思います。また、一度テレビコマーシャルカルテの調査を実施した素材であればクリエイティブ要因の設定がダイレクトに行えるので、出稿要因の変動によるCM認知率シミュレーションも行えます。

例えば、今後出稿を止めてしまった場合の1週間後あるいは1ヶ月後のCM認知率、200GRPを1ヶ月間出稿し続けた場合のCM認知率などが推定できます。

※商品ジャンル別、ターゲット別のモデル算出結果は「TV-CMカルテSpecial report 2002 Digital」に掲載しておりますので、ご興味を持たれましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

◆ 出演タレントの変更によるCMイメージの変化

現在、数多くのテレビCM素材でタレントが起用され、それぞれの"商品の顔"として視聴者に親しまれています。こうしたテレビCMへのタレント起用は、当然、視暗者の広告商品への興味関心や好印象を促す"カ"がタレントには存在するという作り手側の考えが前提となっているからだと思います。以前にも、「TV-CMカルテSpecial report '97-'98 タレント起用がテレビCM/ブラン円評価に及ぼす影響」「TV-CMカルテSpecial report 2001タレントタイフ別CM投下量とCM羅知率の関係」において、CMを出演タレントタイプ別に分類し、出稿量とCMの認知・評価の関係やブラン円認知にどの様な影響がでるのかを考察しています。

今回は、分析の視点を"CMイメージ"に置き、主に"タレントの影響によるイメージの変化"について考察することとしました。当然のことですが、'顎聴者の出演タレントに対するイメージはCMイメージそのものにも影響する"という分析結果を目標に進めています。

ただし"CMイメージ"は、出演タレント以外にも広告商品の特徴や素材のクリエイティブなど様々な要因が複雑に影響しあった結果形作られるものであり、"出演タレントの変化=CMイメージの変化"などと単純に割り切れないことも十分理解しています。またテレビコマーシャルカルテでは、特定商品のCM素材を時系列で調査していないため分析対象となりうる事例がかなり制限されてしまっています。

したがって今回の分析は、過去の調査事例の中からいくつかのケースを紹介する「ケーススタディ」形式となっています。分析対食事例は、商品による特性の影響を極力押さえるため、同一商品のCM素材を比較考察しています。また出演タレントの影響をより明らかにするため、それぞれの対象素材には出演タレントが1人(もしくはメインとなるタレントが明確)の素材をピックアップしました。

ここでは、ケーススタディとして佐藤製薬「ユンケル」での考察をご覧頂きたいと思います。

◆ 佐藤製薬「ユンケル黄帝液」

「ユンケル」は長らくタモリがCMに起用され続けていましたが、先頃起用タレントが大リーグ、シアトルマリナーズのイチローに変更されたことで話題になりました。お笑いタレントのタモリから野球界のスター、イチローへのタレント変更はどのような影響をもたらしたのかを探ってみたいと思います。

下表はテレビタレントイメージ調査より個人全称のデータを抜き出したものです。各イメージ項目のスコアを足しあげたイメージスコア計を見ると、イチローはタモリより16.7ポイント上回っていますが、「おもしろい」「親しみやすい」の2項目では大きく下回っています。当然の結果かもしれませんが、"お笑いタレント"であるタモリは「身近な」イメージが強く、イチローは「実力のある」や「男性的な」といった"スポーツ選手らしい"

評価項目で高スコアになっています。またイチローは特に男性全般において人気が高い一方、タモリは男女ともに若年層からの人気が高くなっています。

<テレビタレントイメージ調査による出演タレントイメージ比較>

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こうしたタレントイメージの違いはCMイメージにどう影響するのでしょうか。

下のグラフは「ユンケル」のタモリ出演素材(VOL.133、2000年11月調査)とイチロー出演素材(VOL.150、2002年4月調査)のCMイメージ(ポジティブ項目)調査結果をグラフ化したものです。長年ユンケルCMに起用されていたタモリからイチローへ交代したことによるものか、「新鮮な」「印象的な」のスコアがイチロー出演素材で大きく伸びています。一方で「親しみのある」「面白い」の両項目が、タモリ出演素材に比べイチロー出演素材では大きくポイントを落としている点も月立ちます。イチロー出演素材は元より、タモリ出演素材もクリエイティブにおいて特に奇をてらったり、コミカルなシーンは見当たらないので、「面白い」のスコア差はタレントによる影響の現れと思われます。

<TVCMカルテ調査によるCMイメージ評価(ポジティブ項目)>

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また、CMイメージのポジティブ項目計では、個人全体、男性計、女性計の各ターゲットでタモリ出演素材の方がイチロー出演素材よりも高いスコアになっています。タレントイメージではイチローの方がタモリよりも人気度、イメージスコア計ともに高いスコアであっただけに意外な感じがします。

<CMイメージ評価(ポジティブ項目計)とタレントイメージ評価の関係>

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このケースでは、タレントのタイプを"親近感(または面白さ)を感じさせるタレント"と"スター性を感じさせるタレント"に区分し比較しました。そもそも区分が暖味なものですが、傾向としては、親近感タレントは「親近性・共感」、スター性タレントは「インパクト」のイメージスコアに影響していると思われます。そしてイメージスコア全般のポイントアップには"スター"よりも"身近な"タレント起用の方が効果的という傾向も見受けられました。

※この他、「TV-CMカルテSpecial report 2002」ではサントリー「熟茶」など3つのケースについて考察を行っております。

◆ 最後に...

ここでは「CM認知率予測モデル(二次案)の研究」と「出演タレントの変更によるCMイメージの変化」の2つの分析結果をご覧頂きましたが、「TV-CMカルテSpecial report 2002」ではこの他にも「テレビコマーシャルカルテNorm値の更新」「CMイメージポジショニングでみる良いCMとは...」などの考察を行っております。

「TV-CMカルテSpecial report 2002」にご興味を持たれましたら、どうぞお気軽に各営業担当者までお問い合わせ下さい。

(第一マーケティング局 メディアマーケティング部 長島英樹)

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