1987年テレビ回顧録

VRDigest編集部
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※本記事は1988年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

1987年は、衛星放送の登場、24時間放送の開始など、わが国のテレビ放送体制を変革させ、放送のグロバリゼーションを進展させた年だった。

 また、円高ドル安、竹下新内閣誕生、江川の引退、石原裕次郎の死去等々、昨年も、様々な出来事があったが、テレビ放送にとってはどんな1年だったのか、関東地区の視聴率データから主なトピックを追いながら回顧してみよう。

―テレビが映し出した事象―

1987年もテレビは、政治、経済、スポーツ、芸能など様々な社会の世相を映しだしたが、各局の19時~23時の編成状況をジャンル別にみると、一般劇・時代劇などのドラマ番組や音楽番組などが減少し、報道番組や教育・教養番組が増加している。そこで、昨年大きな変化があった主なジャンルについて、その放送状況をみると、つぎのようになっている。

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報道番組

 左頁グラフからもわかるように、テレビ局、特に民放各局はここ数年、報道番組に力を入れてきている。特に昨年10月には、TBSが22時台、テレビ朝日が19時台に月~金のニュース番組を設けた。特に22時台は、'85年10月にスタートしたテレビ朝日「ニュースステーション」とTBSの新番組「ニュース22・プライムタイム」のワイドニュース番組が競合することになり、注目を集めた。

教育・教養番組

 最近のグルメ・温泉ブームで、紀行ものや、情報番組など、ソフト・ドキュメンタリー番組が各局で増加を続けていることが1つの特長といえよう。

音楽番組

 一年の最後の音楽番組、「NHK紅白歌合戟」の視聴率低下に象徴されるように、この数年、音楽番組そのものの人気低下傾向がうかがえ、放送分数も大幅に減少している。

 また、昨年は、大物アーチスト、マドンナ、マイケル・ジャクソンが来日し、日本中が騒ぎの渦にまきこまれたが、コンサートのテレビ中継は;それほど高い視聴率ではなく、むしろVTRが活用され、録画率はこれまでにない高い数値を示した。

ドラマ番組

 ドラマ、特に一般劇、時代劇は以前に比べると高視聴率をとるものが少なくなり、番組数も少なくなった。しかし、その中で、NHKの大河ドラマ「独眼竜政宗」は、人気が高く番組平均視聴率39.7%とこの時間帯で最高を記録した。このためか、昨年末から今年始めにかけてワイド時代劇が多く放送された。

 また、視聴者の葉書をもとに作られたドラマや、23時台に帯で放送するドラマ等、新しいタイプの番組が登場した。

スポーツ番組

 スポーツは、相変らず野球(巨人戦年間平均25.5%)が高いが、その他では、今年のソウルオリンピックの予選を兼ねるといわれた、福岡国際マラソンが瀬古選手の欠場で、関心を集め、41.0%でオリンピックを除いたマラソンでは、史上1位となった。

 また、昨年は、世界陸上大会が開催され、23時以降の放送にもかかわらず、高視聴率を記録し注目を集めた。

―高視聴率番組をみると...―

 テレビは、事件やトピックスそして世相を映す万華鏡ともいわれている。昨年は、さまざまなテレビ番組が放送され、視聴者に大きな感銘を与えた年でもあった。そこで'87年1月1日から12月31日までに関東地区のテレビ放送された15分以上の番組について、高視聴率番組のベスト30をみると次頁のようになっている。

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―テレビをとりまく環境―

 昨年、最も注目されたのは、TBS、フジテレビの24時間放送スタート(10月)であった。他の民放3局も週末は、オールナイト放送を始め、今後平日の24時間放送を予定している局もある。この背景には、①突発の事故・事件に対する早急な対応、②生活時間の多様化、③VTRでの録画等が理由としてあげられる。特に、人々の生活時間の多様化に伴なう社会環境、生活環境の変化は深夜活動人口の増加を促し、深夜のテレビ人口の増加となって表われ、これは、下のグラフに明らかである。そして、その担い手たちは、若い男性たちである。放送内容は、映画、ドラマ、スポーツ等が多く、映画・スポーツは、大衆向けよりマニア向けのもの、ドラマは国内外の懐しいドラマの再放送が多い。

 また、NHKの衛星放送は、民放より1足早い7月から24時間放送を開始した。当初は、難視聴地域の解消を目的としていたが、その後、総合、教育テレビとは異なる編成放送となった。受信機台数も35万台をこえるといわれ今後も増加すると思われる。

 VTRの普及は50%を越え、録画予約を目的とするテレビ情報誌も次々と創刊された。

また、パソコン、ファミコンの普及や、大画面テレビの発売等、テレビをとりまく環境は大きく進展しつつある。

                             (テレビ・ラジオ調査部 中奥美紀)

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