侍ジャパンの快進撃に注目度急上昇 !~VRデータでみるWBC~

鈴木 康之
ソリューション局テレビ・メディアソリューション部
鈴木 康之
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※本記事は2017年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

 少し時間があいてしまいましたが、今年に入って早々に熱戦が繰り広げられたワールドベースボールクラシック2017(WBC)の接触動向を振り返ります。3月7日~3月22日に開催された今大会は、「野球の母国」アメリカ代表が悲願の初優勝を果たして幕を閉じました。我らが侍ジャパンは、そのアメリカ代表に準決勝で敗れはしましたが、1次・2次ラウンドは6戦全勝。「苦戦するのでは?」という開幕前の予想を跳ね返し、大きな感動を与えてくれました。では、そのWBCに生活者はどのように接触していたのでしょうか、当社のデータをもとに様々な角度から紐解いてみたいと思います。

大会中に注目度が上昇 !

まずは、今回のWBCがどのようにテレビで視聴されたのか、関東地区のテレビ視聴率データから地上波の視聴状況をみてみます【図表1】。

【図表1】WBC2017・2013 地上波テレビ中継の番組平均視聴率 <関東地区テレビ視聴率データ>

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大会を通した全体的な傾向は前回(2013年)同様で、1次ラウンドから2次ラウンドに進むと数字が上昇しますが、準決勝は両大会とも平日午前中の放送だったため予選ラウンドよりも低めとなっています。ただし、詳細にみると前回と今回とでは数字の動きに違いがみえてきます。まず、今回の1次リーグ3試合は18%台の数字となっており、前回(平均22.8%)にくらべやや低めで推移しています。メジャーリーガーや日本ハムファイターズ大谷翔平選手の不出場など、注目度がそれほど高くない中で開幕を迎えたことが影響したのではと考えられます。しかし、2次ラウンドに移ると数字は25%前後まで上昇、前回大会よりも1次ラウンド⇒2次ラウンドの数字の伸び幅が大きくなっている点が今大会の特徴です。

 この視聴率の推移について、1次ラウンド⇒2次ラウンド⇒準決勝と「新規・継続・離脱世帯数」の状況を確認すると、1次ラウンド⇒2次ラウンドにかけては「新規」が13%(前回は11%)となっており、視聴世帯の約2割を占めています。1次ラウンドを無敗の快進撃で突破したことで、関心の薄かった層を刺激、結果、大会中に注目度が上昇し、2次ラウンドへの視聴世帯数の拡大が視聴率上昇の要因といえるでしょう【図表2】。

【図表2】各ラウンドごとの視聴世帯数の推移  <関東地区テレビ視聴率データ(世帯)>

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毎試合3人に2人がWBCの情報に接触

生活者のWBCへの接触方法は当然「テレビの試合中継」(以降、テレビ中継)だけではありません。試合の後に「スポーツニュースなどの情報番組」や「ニュースサイトなどのWeb上の情報」などでWBC関連情報にどの程度接触したのか、つまりWBCへの接触の拡がりを当社の「VR CUBIC」※1で確認することができます【図表3】。

【図表3】WBC関連情報接触の構造  <VR CUBIC(個人全体)>

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全7試合の平均をみると、「テレビ中継」の接触者は約20%となっていますが、これに「ニュース・情報番組」「Web上の情報」の接触までを加えると60%台半ばまでそのスコアが上昇。テレビ中継は視聴していない・できなくても、その後の情報番組・Web上の情報でフォローしている人が相当数いることがわかります。開催期間中はWBCのことが職場や学校で話題に挙がった方も多かったと思いますが、毎試合3人に2人が接触するほど情報が波及していったと考えればそれも当然です。

「TVCM」「ニュース・情報番組」「Web情報」が野球中継のリアルタイム視聴を促す

前述のようにWBC関連の「ニュース・情報番組」「Web上の情報」にもかなりの人が接触したわけですが、これらの情報に接触した結果、大会途中から「テレビ中継」を視聴し始めるという行動はあったのでしょうか。ここでは前述の2つに「試合中継のテレビCM」(以降、テレビCM)を加えた上で、その関係をみます。【図表4】は試合後のWBC関連情報の接触有無で、次の試合の「新規視聴者(初めて視聴した人)率」を比較したものですが、全7試合平均をみると接触者は非接触者の3倍のスコアとなっています。実際にこれらの関連情報への接触がどの程度視聴のきっかけとなっているかは「アンケート」などで補足する必要がありますが、「テレビCM・ニュース・情報番組・Web上の情報で興味喚起された結果として、次の試合のテレビ中継視聴に繋がった」という現象が一定数あったことがうかがえます。

【図表4】試合前までのWBC関連情報接触別:新規視聴者の割合 <VR CUBIC(個人全体)>

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WBCも「熱い」カープファン

最後に、国内12球団のファン別で視聴状況に違いはあったのか、当社の「ACR/ex」とのデータフュージョンによって視聴率データのプロフィールを拡張できる「ADVANCED TARGET」※2で確認します。関東地区における各球団ファン別の今大会WBC全7試合の平均視聴率をみると、「広島カープファン」が「阪神ファン」「巨人ファン」を上回り最も高いスコアとなっています【図表5】。  広島は昨年25年ぶりのリーグ優勝を果たし、大きな盛り上がりをみせましたが、WBCの見られ方からもそんな広島カープファンの「野球熱」が垣間見えます。  ちなみに、毎分視聴率で2次Rオランダ戦の視聴の動きをみると、4回表(同点に追いつかれた後2アウト1塁2塁でバッターは中田選手)・5回表(小林選手のタイムリーヒットで1点を勝ち越す)・8回裏(1アウト満塁のピンチを増井投手が抑える)・9回裏(則本投手が打たれて同点に追いつかれる)など、試合が動きそうな・動いた重要なポイントで広島カープファンの数字が高くなっており、毎分視聴率の動きにメリハリのあるのが特徴です。これは大会を通してもいえることで、毎分視聴率の標準偏差(平均からの散らばり具合)を全7試合通して見ても、他球団ファンを大きく引き離しているという結果が確認できました。広島カープファンは「試合が動くポイントを分かっている!?」というのはやや褒めすぎでしょうか。

【図表5】球団ファン別のWBC視聴率 <ADVANCED TARGET 関東地区>

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今回のWBC2017は、開幕前の注目度はそれほど高いものではありませんでした。しかし、生活者は「侍ジャパンが見せる快進撃」という情報に様々な形(その中には、今回確認したものに加えて「SNS」「リアルのクチコミ」「新聞・雑誌」なども当然含まれているでしょう)で接触、そこから刺激を受けて日に日にその関心を高めていった大会だったといえるでしょう。  さて、次回のWBCですが、4年後の2021年開催が有力視されています。日本では、その前年開催の東京オリンピックで野球が競技種目として12年振りに復活することもあり、きっと今大会以上の関心を持って開幕を迎えるのではないしょうか。今大会は4回目にして初めて観客数が100万人を超えるなど、野球の世界大会として着実に定着してきているWBCですが、次回大会はさらなる盛り上がりを見せる大会となることを期待しています。

※1 VR CUBICとは P18参照 テレビとWebの接触実態をログ取得するパネルで両メディアの到達や重なり、テレビ接触者のサイト接触行動が把握できます。さらにパネルに対して追加でアンケートを行うことが可能なデータソースです(1都6県 15-69歳男女)。

※2 ADVANCED TARGETとは データフュージョンを利用することによって、「ACR/ex」で取得している豊富な特性項目を用いて、視聴率データのプロフィールをみることができるサービスです。

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