タイムシフト視聴率からみえること

中奥 美紀
マーケティング事業推進局 テレビ・メディア分析部
中奥 美紀
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※本記事は2017年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。著者の所属部署は当時。

当社では、2016年10月より関東地区において、タイムシフト視聴率・総合視聴率の提供を開始し、VRダイジェスト前号では、両指標の上位番組を掲載しました。今回は、タイムシフト視聴について、さらに詳しく紹介します。

新たな指標【タイムシフト視聴率】【総合視聴率】

これまで当社では、放送と同時にテレビ番組を視聴(=リアルタイム視聴)している割合を示す【視聴率】を提供してきましたが、これに新たな指標【タイムシフト視聴率】【総合視聴率】が加わりました。

【タイムシフト視聴率】は、リアルタイム視聴の有無にかかわらず、放送開始から7日内(168時間)にタイムシフト視聴された割合で、下図の点線で囲まれた部分にあたります。そして、【総合視聴率】はリアルタイム視聴とタイムシフト視聴のいずれかで視聴された割合で、実線と点線で囲まれた部分にあたります。リアルタイムとタイムシフトの両方で視聴した場合は"1カウント"として集計しています。

これまでの【視聴率】だけではわからなかったタイムシフト視聴まで含めることで、番組の視聴の量・拡がりを捉えることができるようになります。

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では、ここからは既にリリースした2016年10月~12月クールの傾向をみていきましょう。

まず、視聴時間についてみると、1世帯あたりの1日のリアルタイムの視聴分数は512分、タイムシフトの視聴分数50分でした。両方あわせると、1日で562分テレビ番組を見ていたことになります【図表1】。

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また、タイムシフト視聴された番組数がどのくらいあったのか、同期間の地上波(民放5局+NHK総合・Eテレ)の15分以上の番組についてみると、1日(5~29時)で放送された番組の44.6%、夜19時〜23時では76.7%となっていました【図表2】。

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また、どのような番組がタイムシフト視聴されたのかジャンル別に見ると、『映画』『アニメ・子供向け番組』『ドラマ』で90%を上回りました。また、『バラエティ』も約70%と多くなっています。一方、『報道・時事解説』は、最新ニュースをリアルタイムで確認する人が多いようで、10%台と低くなっています【図表3】。

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2016年秋クール 総合視聴率上位は「紅白」「逃げ恥」「ドクターX」

前号で、2016年10月〜12月の【タイムシフト視聴率】【総合視聴率】の上位30番組を紹介しましたが、ここでは、この上位番組にどのような番組が入っていたのか、【視聴率】も交えて振り返ってみます(P16参照)。

まず、【視聴率】の上位番組は、1位・2位は大晦日の「紅白歌合戦」、3位「FIFAクラブワールドカップ決勝」・4位「プロ野球日本シリーズ」とスポーツが続き、5位がドラマ「ドクターX・外科医・大門未知子」(以降「ドクターX」と表記)でした。ここでは上位10番組しか掲載していませんが、上位30番組をジャンル別にみると、スポーツが10番組と最も多く、次いでバラエティ8番組、報道7番組となっていました【図表4】。

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【タイムシフト視聴率】の上位番組は、【視聴率】上位番組とは傾向が異なり、1位が「逃げるは恥だが役に立つ」(以降「逃げ恥」と表記)、次いで「地味にスゴイ ! 校閲ガール・河野悦子」「ドクターX」と、ドラマ番組が上位に並びました。ドラマ以外では、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!大晦日年越しSP」や、「雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!」、長期間放送されていた「SMAP×SMAP」の最終回などバラエティも多くみられました。また、映画では地上波初放送の「ベイマックス」も上位に入っていました。上位30番組をジャンル別にみると、ドラマが20番組と最も多く、次にバラエティ7番組となっています。

最後に【総合視聴率】の上位番組をみると、1位・2位に「紅白歌合戦」、3位にタイムシフト視聴率が1位だった「逃げ恥」が入り、4位には「ドクターX」というように、【視聴率】で上位に入っていた番組の間に、【タイムシフト視聴率】が高い番組が加わる形となっています。また、総合視聴率の上位30番組をジャンル別にみると、ドラマが9番組、バラエティが8番組、スポーツが6番組となっていました。

総合視聴率は近似値でも見られ方が違うことも

2016年10月〜12月の【総合視聴率】で上位となっていた「逃げ恥」「ドクターX」最終回の総合視聴率は、「逃げ恥」33.1%、「ドクターX」32.0%と僅差でした。ですが、見られ方は異なっており、「逃げ恥」はリアルタイム視聴率が20.8%、タイムシフト視聴率が16.9%とあまり差がみられません。一方、「ドクターX」は同22.8%、10.8%と、リアルタイム視聴の方が高くなっています。

この2番組のシリーズ平均視聴率も同様の傾向がみられ、総合視聴率が近似値でも見られ方が異なっていることがわかります。「ドクターX」は、今回が4シリーズ目で、米倉涼子演じる大門未知子の決め台詞『私、失敗しないので』の通り、大学病院の癖の強い教授たちに対峙しながら、難しい手術を毎回クリアするドラマで、ファンも多かったと思われます。今シリーズの視聴率は、初回から20%を超え、最終回まで20%前後で推移しました。

一方、新垣結衣・星野源出演の「逃げ恥」は、放送が開始してから、ストーリー展開はもちろんのこと、エンディングの『恋ダンス』や他番組のパロディなどが、インターネットなどで話題を集め、徐々に視聴率が高まった番組でした。初回から最終回までの視聴率推移をみると、まず初回放送時には、視聴率・タイムシフト視聴率ともに10%台でしたが、その後、12/6の第9話までどちらの視聴率も下がることなく進みました。タイムシフト視聴率はその後横ばいでしたが、視聴率は上昇を続け、最終回は20.8%を記録しました【図表5】。総合視聴率の推移をみても、初回の19.5%から最終回には33.1%へと、視聴世帯が広がったことがわかります。また、視聴率とタイムシフト視聴率を単純に合計してみると、総合視聴率を上回っていますが、これはリアルでもタイムシフトでも視聴している世帯がいたということです。最終回はその差が最も高く、4.6ポイントありました。

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2017年1月クールの途中経過

執筆段階では2017年1月クールはまだ途中ですが、2月までの視聴率上位10番組を確認すると、【視聴率】では1位・2位に「大学駅伝」、次いでに朝ドラ「べっぴんさん」、10周年を迎えたバラエティ「世界の果てまでイッテQ!」が並んでいます(P17参照)。【タイムシフト視聴率】は、上位10番組がすべてドラマで、1位「東京タラレバ娘」、2位「カルテット」、3位「嘘の戦争」など1月スタートのドラマが多く並んでいます。【総合視聴率】は、【視聴率】上位番組の間に、大河ドラマ「おんな城主直虎」、「東京タラレバ娘」「日曜劇場・A LIFE・愛しき人」が入っています。

テレビ番組は、リアルタイム視聴を前提に編成・制作されるものが多いと思いますが、忙しい現代では『番組放送時に家にいない・他にすることがある』という人も多くいます。また、『見たい番組が重なった・家族が他の番組を見ている』などリアルタイムでは見られない状況に加え、『自分の好きな時間に、好きな見方で見たい』といった声も聞かれます。そのような人にとっては、タイムシフトはテレビ番組を見るための有効な手段です。

テレビ離れという言葉を耳にすることもありますが、『今のテレビは自分にとって楽しめる』『毎週楽しみにしている番組がある』という人も多くみられます。ですが、『見たい番組は時間をやりくりする』『見たい番組の時間が待ち遠しい』という人は半数程度です【図表6】。時間をやりくりしなくても、タイムシフト視聴で楽しんでいることの表れなのかもしれません。

今回、紹介したように、リアルタイムの視聴率だけでなく、タイムシフト視聴率・総合視聴率の動向もあわせてみることで、番組がどれだけ多くの世帯・人に見られているかを確認することができるようになりました。当社では、今後も、タイムシフトを含めた視聴の動向について紹介し続けていきたいと考えています。

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