千秋楽の視聴率でわかる! 日本人横綱ひさびさの誕生で相撲人気復活か?

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#テレビ #視聴実態 #視聴率

19年ぶりの日本出身横綱誕生で、注目が集まる大相撲中継の視聴状況を紹介します。

日本人横綱誕生で中継番組も高視聴率を記録

2017年1月、初場所で優勝した稀勢の里が、横綱に昇進しました。日本出身力士としては、1998年5月に横綱となった若乃花以来なんと19年ぶりとのことです。

【図表1】は2012年以降の大相撲中継の高視聴率番組(場所別に最高視聴率1番組を抽出)ですが、今年3月の春場所で新横綱・稀勢の里が優勝した千秋楽が24.4%で1位に、2位は日本人力士として10年ぶりに琴奨菊が優勝した2016年初場所・千秋楽で24.0%、5位は稀勢の里が優勝した今年1月の初場所・千秋楽が21.5%となっており、視聴者は日本人力士の活躍をテレビで応援していたようです。

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若貴人気はすごかった?! 視聴率から振り返る大相撲

1990年以降の大相撲中継を振り返ると、まず1990年代は、横綱・千代の富士や小錦、1988年3月に初土俵を踏んだ貴花田(後の貴乃花)・若花田(後の若乃花)兄弟や曙など人気力士が多く、大相撲は非常にブームとなっていました。1990年以降では、1位は1992年11月の九州場所・千秋楽で40.9%という高視聴率を記録しました。上位5位までは37%以上と非常に高い視聴率で、大相撲の人気の高さがわかります【図表2】。

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1990年以降の場所別平均視聴率では、横綱・曙や貴ノ花・若ノ花らが活躍した1993年7月の名古屋場所が21.8%で最高、年間平均視聴率でも同年が18.9%と最高と記録しました【図表3】。

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相撲中継は奇数月の15日間、基本的にはNHK総合で15時〜18時に放送されます。平日が10日も含まれるにも関わらず、高視聴率を記録しており、ここにも人々の関心の高さが表れています。その後、新たな人気力士が登場しなかったためか、徐々に視聴率は低下しました。2000年代前半は朝青龍、後半は白鵬など外国人力士が活躍するようになり、話題にはなりましたが、視聴率は回復しませんでした。2009年は朝青龍・白鵬に加え、日馬富士や把瑠都などが優勝戦線を繰り広げ、視聴率はやや上昇しました。しかし、2010年の野球賭博問題で7月名古屋場所の生中継は中止、2011年の八百長問題で、3月の春場所は開催中止、5月は「技量審査場所」として開催され生中継は中止となり、年平均視聴率は6%台まで下がってしまいました。ですが、2014年以降、琴奨菊や稀勢の里など日本人力士の活躍などもあり、視聴率は徐々に上昇し、2017年は5月の夏場所までの平均視聴率が10%を超えました。

今年1月以降で、大相撲を中継している期間と中継をしていない期間のHUT(総世帯視聴率)をみると、大相撲中継が放送される15時台〜17時台は、中継期間の方がしてない期間よりHUTは高くなりました【図表4】。

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特に、大関・横綱などの取り組みが中継される17時台は5ポイント以上の差がみられます。また、その後の18時台も通常よりやや高いHUTとなっています。大相撲の人気が高まると、テレビ視聴そのものも増えるようです。

新たなファンも取り込んで、再び相撲ブーム到来か?

相撲協会ではキャラクター"ハッキヨイ!せきトリくん"による相撲紹介や、力士の歌う「ハッキヨイ!大相撲ひよこ山のかぞえ歌」の動画配信など、新たなファンの拡大にも力を入れているようです。1990年代と現在では、人々の生活スタイルやインターネットの普及などによるメディア環境が異なり、大相撲中継がかつてのような高視聴率を記録することは難しいかもしれませんが、日本人力士のさらなる活躍で、相撲ブームの到来を期待したいと思います。

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