TVウーマン

制作会社の若手ジョシに熱く語ってもらう人気のコーナー「TVウーマン」テレビ局の方だけでなく、制作会社やテレビ業界に興味を持っている、就職活動中の学生の皆さんも是非お読みください!今回のTVウーマンは、メディアミックス・ジャパンでプロデューサーをしている木曽 貴美子さんです。

005 KIMIKO KISO  木曽 貴美子

プロフィール

1983年生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業後、メディアミックス・ジャパン入社。APとして『特命係長 只野仁』(スペシャル、3 ~ 4 シーズン)、『結婚できない男』『鬼嫁日記』『明日の光をつかめ』『都市伝説の女』(Part1・2)などを担当。初めてプロデューサーを務めた『ブラック・プレジデント』で、J・VIG(協同組合日本映像事業協会)の「第16回ヤング映像クリエーターを励ます賞」を受賞。

QUESTION&ANSWER

QUESTION&ANSEWR内容

INTERVIEW

APとはまったく違ったプロデューサーの責任。

 材の前日も、プロデューサーを務めるドラマ『天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-』(以下、『天使と悪魔』)の編集に夜中まで立ち会っていたという木曽貴美子さん。疲れがたまっているに違いないが、そのことを微塵も感じさせない笑顔で迎えてくれた。木曽さんは、初めてプロデューサーを担当した『ブラック・プレジデント』で、J・VIG「ヤング映像クリエーターを励ます賞」を受賞。「おんぶに抱っこでいただいた賞です(笑)」と謙遜するが、受賞後初のドラマ『天使と悪魔』もやはり気合が入っているようだ。
「『ブラック・プレジデント』はウチの社長がモデルになっている部分もあったりして(笑)、モデルがいるぶんシチュエーションを想像しやすかったのですが、『天使と悪魔』は完全オリジナルなので本づくりに苦労しています。特に毎回終盤に司法取引が必要なことに加えて、未解決事件という二重のカセがあって、本づくりの難しさを感じています。普通は撮影にインするまでに2話分ぐらいは本があるのですが、今回は2話目できるのかな? と思っていたほどだったので、本当にドキドキしました」
 広島県・向島出身の木曽さんは、高校生の時に是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』を見て、映像の道を志す。
「とても感動したと同時に、素人目線の印象ですが、お金がかかってなさそうに見えて(笑)、大学へ行ったら自分でもこういうことができるのかなと思ったんです。ちょうどその頃、宮藤官九郎さんや三谷幸喜さんがヒット作をたくさん手がけていらっしゃって、出身大学を見たら“日芸”と。それでよく知らないまま受験してしまいました。授業やサークルでの映像制作が楽しくて、自分がつくるのは映画よりドラマっぽいものが多かったこともあり、ドラマ業界に興味を持つようになりました」
 卒業制作では地元を舞台に、キャスティングから監督・撮影・編集に至るまでひとりでこなし、20分ほどの短編ドラマをつくった。卒業後、メディアミックス・ジャパン(以下、MMJ)に入社するが、当初は助監督を希望していた。
「助監督はキツいから、まずはAPで入ってみるよう言われたのですが、正直、本意ではなかったんです。でもやっていくうちに、イメージしていた仕事とは違って、楽しんでいる自分がいることに気がつきました。映画とは違い、テレビではプロデューサーの方がドラマ全体に関わることができたので」
 AP時代の主な仕事内容は、予算立てやスタッフ編成、台本の打ち合わせ、ゲストなどのキャスティング、台本の入稿、現場でのフォローなど……。『特命係長 只野仁』のスペシャルから始まり、APとして多数の作品を担当し、『ブラック・プレジデント』でプロデューサーに昇格。APの頃からすでにプロデューサー的な仕事をこなしていると思っていたものの、実際にその立場になってみると、ここでも全然違っていたことに気づく。
「責任がまったく違いました。例えばAPの時は、スタッフ間の折り合いが悪そうだと感じたら、プロデューサーに報告するだけで、解決のために動くことはありません。でもプロデューサーは、自分で解決しなければいけない。こんなに大変だったんだと痛感しました」
 一方で、楽しいことももちろんたくさんある。
「私、キャスティングが好きで、『この人すごい』と感じた方にすぐオファーできないかなと思うんです。『ブラック・プレジデント』に出演いただいた門脇麦ちゃんも、舞台を見て感動して『何も役は決まっていないのですが、スケジュールを伺えますか?』 って事務所に連絡して(笑)。自分でキャスティングした人が、その役にはまると最高ですね」

テレビにとどまらず枠を超えた制作を

MMJでは昨年から新たな試みとして若手スタッフで企画開発会議を定期的に行い、テレビドラマの枠にとらわれず、映画や舞台など様々なチャネルに挑戦しようとしている。
「これまではテレビドラマの制作中心でしたが、今後は舞台先行でドラマ化されるものがあってもいいですし、映画とドラマを組み合わせて企画を提案したり、いろいろなことに挑戦したいと思っています。制作会社なのだから、メディアの枠を超えてできるはずですし、Huluやネットフリックスのような新たなメディアにも注目しています。 最近、放送局主導で開発された企画を任されることが増えつつあります。優れた企画とある程度の信頼関係が構築できていれば状況は違うと思うのですが、この流れが続くと制作会社のプロデューサーとしては本末転倒です。そうならないためにも動く座標を増やし、場所を変えて企画を出していくことは重要だと思っています」
 木曽さんは“場所”についてもうひとつ思うことがある。
「最近、映画監督がテレビドラマを撮るケースが増えていて、新たな表現が注入されるという意味ではとてもいいことだと思っています。その半面、テレビドラマの助監督として叩き上げでやってきた人には、テレビの法則を分かっているという良さがあります。ただでさえドラマ界の大御所の方々が大勢いるなかで、名だたる映画監督が深夜枠にまで流れてきているので、今30代とかで頑張っている若い助監督の撮る場が少なくなっている気がしています。自分でつくりたいと思っていて、実力もある助監督を私はたくさん知っているので、そういう人たちにももっと活躍の場があるといいなと思います。もったいないと感じてしまうんですよね」
 今の目標は、自分のオリジナル企画でドラマをつくること。
「難しいことは分かっていますが、やりがいのある目標です。もし機会があるならば、迷うことなく挑戦したいです」