クーポン・プロモーションとクーポニング戦略(上)

VRDigest編集部
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本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

早稲田大学大学院商学研究科 委員長 小林太三郎

 今年は、インセンチィプ・マーケティング中でもクーポンプロモーションの大きな進展が予想されています。

 本稿は、日本広告学会会長としてまた早稲田大学大学院商学研究科委員長として活躍中の小林商学博士に.今年いよいよ日本でも具体化されようとしているクーポン広告.クーポンプロモーションについてアメリカの事情を中心にまとめていただきました。

 わが国の広告・販促産業界では、インセンティブ・マーケティング、とくにクーポン・プロモーションがいま大きな話題になっている。このクーポンが日本の市場に定着するか否かは、これからの事情によるが、現在印刷媒体側がクーポンに強い関心を寄せているのはご存知の通りである。

 そこで本稿は、クーポン・プロモーションについて、そのクーポニングの技法、これに伴うシステム、殊にクリアリング・ハウス、リデンプション・センターなどを考究してみることにしたい。こういったものが検討され、よく整備されていないと、わが国においては、クーポン・パワァーの発揮ほしょせんむづかしいと言えよう。

4つのクーポニング

クーポン配付にはいろいろな方法が活用されているが、およそ次のように区分できよう。

(1)印刷媒体クーポニング これはプリント媒体を通じて配付されるクーポニングで、さらに下記の3つに区分される。

 A 日刊紙

   単独ROP(ラン・オブ・プレス)クーポン

   共同ROPクーポン

   小売店クーポン(または小売店イン・アド クーポン)

 B 日曜新聞

   単独ROPクーポン

   F・S・Ⅰ(フリー・スタンディング・インサート)

     単独クーポン・インサート

     共同クーポン・インサート

   日曜サプルメント

   オン・ページ クーポン

   ティツプ・オン クーポン

   日曜コミック

     単独ROPクーポン

     共同ROPクーポン

 C 雑  誌

   オン・ページ クーポン

   ティツプ・オン クーポン

   ゲートフォールド クーポン

〔解説〕 ROP=広告掲載位置が媒体側の自由裁量によるもの。Run-of-paper と同意語。小売店(イン・アド)クーポン=小売店自身の広告に掲出されるクーポン。その小売店用だけで使用されるもので、クーポンの償還はメーカーか小売店による。F.S.I.=特に新聞の日曜版に挿入される1ページまたは複数ページの事前に印刷された広告。オン・ページ=広告ページに印刷されたもの。ティツプ・オン=別刷りカードのもの。ゲートフォールド=観音開き。

(2)ダイレクト・メール クーポニング DMで配付されるクーポニング。

  これは次のように区分される。

 A 単独メーリング

     全 数

     選 択

 B 共同メーリング

     全 数

     選 択

 C 封筒スタファー

〔解説〕全数=対象とした地区の全員、全家庭。選択=セグメントされた対象のみ。封筒スタファー=月間の請求書、計算書、次月の催し物のお知らせなどと一緒に送られるクーポン。

(3)店舗の中または近くでのクーポニング ストアの中とか近くで配付されるクーポニングのことで、2分される。

 A イン・ストア

  手渡し単一クーポンまたは複数クーポン

  ボーナス クーポン

  レジスター・テープ

  スワップ・テーブル

 B ニア・ストア

  手渡しの単一クーポンまたは複数クーポン(単一か共同か、サンプル付きか、サンプルなしか)

〔解説〕 ボーナス・クーポン(またはクーポニング)=クーポンのフェイス・バリューの2倍とか3倍割引くというやり方をとるもの。スワップ・テーブル=あるスーパーマーケット・チェーンはスワップ・テーブルを作っていて、顧客のうちで欲っしていない商品のクーポンをそこに棄てさせる。また他の人が棄てたクーポンを求めている顧客に拾わせるようにする。

(4)パッケージをクーポン配付手段として用いるクーポニング クーポン配付の一法として商品パッケージが用いられることも多い。これは下記の4法に区分される。

 A オン・パッケージ

 B イン・パッケージ

 C クロス ラフ クーポン

 D 即時回収クーポン

〔解説〕クロス ラフ(cross-ruff)=ある商品のクーポンがそれとはちがった商品のインまたはオン・パッケージとして付けられていること。即時回収クーポン=商品の即座の購入を刺激づけるクーポン。買い手は購入商品からクーポンを離せば(たとえば、取りやすいように、びんのネック・ダッグにクーポンが付けられている)これはすぐ使えるというもの。

ラッセル・ボーマン方式の分頼

 またクーポニングの技法を媒体、DM、パッケージ、その他から4つに分ける人もいるこれが第1表のラッセル・ボーマンによる分類である。同氏はニューヨークのジョン・グレア・マーケテイング社の副社長であるし、またウエストフィールド・マーケティング社(コンサルティング社)の社長でもある。かつては、ゼネラル・フーヅ社、ニューヨークのBBDOにもいた人。アド・エイジ、ANA、PMC、PMAA、いくつかの大学などで講演をし、プロモーション、殊にクーポニングの分野で著名な方である。

 媒体.DM、パッケージ、その他の4つにクーポニング技法を分けるが、各区分における各技法についての説明は省略したい。しかし、一部のものについては付言しておこう。媒体区分下のアダカード(Add-a-Card)は、日曜新聞のコミック及びサプリメント・セクションに掲載される広告物に付けられる引き離し可能のクーポンを意味する。この業界ではこの種のものはすべて"アダカード"と呼ばれている。

 以上のものが、クーポンの主な種類とかパターンということになるが、こういうものは実際上どのくらい使われているのだろうか。

1985年のクーポン配布は、A.C.ニールセン社の調査によると、F.S.I.が59.9%、新聞ROP20.2%、雑誌8.6%、オン・パック(クーポン)4.8%、DM4.4%、日曜マガジン2.1%となっていて、F.S.I.が圧倒的に高率である。なお、クーポン配布量の増加率を眺めると、1982年は対前年比で17%増、1983年は20%増、1984年は14%増、1985年10%増となっていて、伸長はみられるものの、鈍化傾向が現われていると言えるだろう。最近の動きをまとめると次のようになる。A.クーポンの配布量の総量は増えてはいるが、対前年比の伸長率の面では低下がみられる。B.クーポンの償還率とか回収率は低下している。C.全クーポンの50%以上はF.S.I.である。D.F.S.I.のプロジューサーは「ニュートリック」作りに関心を強めている(新聞の中に挿入されるF.S.I.のクーポンが見込客の目に強くとまるようにするための新しい工夫で、第1図のパワー・ページはニェートリックの一例)。E.クーポンのフェイス・バリューは増大しているが、近年その額はわずかである(1982年21.7セント、1983年24.1セント、1984年26.2セント、1985年27.3セント)

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