~男性タレントから女性タレントに変えた場合どうなる?~プレミアムモルツ香るエール 2017年新CM開始

- ソリューション局 マーケティングソリューション部
- 青島 弘幸
日本で発売される多くのビールはラガービールという種類ですが、近年エールビールの人気が女性、または若者の間で高まっていると聞きます。エールビールが、フルーティな香りでラガービールに比べて苦味が少ないというイメージがあるのが理由のようです。
また、日本では目新しくおしゃれだというのも理由でしょう。ラガービールの製法が生まれたのが15世紀頃に対し、エールビールの製造は実に紀元前へ遡るくらい、歴史は圧倒的に古いビールなんですけどね。
ラガービールとエールビールの製法の違いはコチラをごらんください。
さて本題ですが、昨年(2016年)4月、サントリーからプレミアムモルツのサブブランドとして「香るエール」が発売されました。この時、起用されたタレントは松田翔太さんです。CMは残念ながら公式ページから削除されているようなので、コチラで記憶を呼び覚ましていただけると幸いです。スカイブルーを基調とした爽やかなイメージのCMでした。
そして今年(2017年)4月、水原希子さんを起用しトーン&マナーも刷新された>『出会い(水原希子)』篇(YouTube公式)の放映が開始されました。こちらは、ミッドナイトブルーを基調としたスタイリッシュなイメージのCMですね。水原希子さんは資生堂マキアージュのCMにも起用される方なので、女性の人気を維持しつつ男性票を伸ばそうとするサントリーの意図が感じられる起用です。バックで流れる曲はあのマリリン・モンローが映画で歌った曲として有名な「I Wanna Be Loved by You.」ですし。
では男性層の反応はどうだったのでしょうか?
下記はクリエイティブカルテの男性全体(20~69歳)の反応率です。
<男性20-69歳の評価>
※調査期間
出会い篇:2017/5/16 ~ 2017/5/18
宣言・波篇:2016/4/17 ~ 2016/4/28
広告好意度、購入・利用喚起度はそれほど差はみられませんが、商品・サービスの印象度(心に残る)は「出会い篇」の方がやや高いスコアです。それ程際立った差ではありませんが、「宣言・波篇」に比べれば男性層の支持を高めるCMとみられます。
一方、女性層の反応はというと、下記のように商品・サービスの印象度(心に残る)は同じくらいのスコアですが、広告好意度、そして購入・利用喚起度のスコアが「宣言・波篇」に比べて低い反応でした。
<女性20-69歳の評価>
対象者のCMについての感想(自由回答)を読むと、彼女がまだ若いので高級感のある商品がアンマッチしているように感じられているようです。今後、露出が高まりタレントと商品が馴染んで行くかがポイントになるでしょう。
といっても、松田翔太さんから水原希子さんに変えば、女性層の反応がある程度目減りすることは想定されていることだと思います。それよりも、フェミニン度を上げビール消費量の多い男性の反応を高めて、市場シェアを上げていく狙いがこのタレント変更にあるのだと思われます。