広告のメディア出稿配分を考える(後編) ~ACR/exを用いた簡易的な出稿配分分析~

吉田 正寛
ソリューション局マーケティングソリューション部
吉田 正寛
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※本記事は2017年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。著者の所属部署は当時。

「広告のメディア出稿配分を考える(前編)」はこちらから

実際の出稿配分事例

 先ほどの推計認知力と推計態度変容力から推計広告効果を算出する方法を用いて、出稿配分比を算出した結果を紹介いたします。今回は「ヘアケア商品」の出稿配分をACR/ex2016年10-12月(秋データ)を用いて算出しました。ターゲットは①女性一般(12-69才)と、②女性残業1日平均2時間以上のターゲットです。

 メディアは「テレビ(地上波民放計)」「ラジオ(全局計)」「新聞(朝・夕刊計)」「雑誌(任意の女性誌約80誌)」「交通(東京50km圏電車計)」「ネット静止画(Yahoo!JAPAN)」「ネット動画(YouTube)」の7メディアで、推計認知力は各メディアの特定1週間リーチ(雑誌のみ、過去6号中いずれか1誌閲読)を、推計態度変容力はヘアケア商品の欲求喚起における「テレビCM」「ラジオCM」「新聞広告」「雑誌広告or雑誌記事」「交通機関(電車or駅構内)」「インターネット広告(パソコンorスマホ)」のスコアを用いました。インターネットは、2016年度データでは「ネット静止画広告」「ネット動画広告」を分けて項目化していないため(17年度より分けてデータを取得)、「ネット静止画(Yahoo!JAPAN)」「ネット動画(YouTube)」の推定態度変容力のスコアは同じものを用いました。

 出稿配分分析の結果を【図表2】に示します。先ほどの要領で作成した推計認知力と推計態度変容力を掛け合わせて、メディアごとの推定広告効果を算出しました。①女性一般の「テレビ」では、推定認知力が92.2%、推定態度変容力は61.4%であるため、推定広告効果は92.2%×61.4%÷100=56.6%となります。これと同じ要領で各メディアの推定広告効果を算出し足し上げ、構成比にしたものが一番右の「出稿配分比」です【図表2-①】。

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 結果をみると、女性一般ではテレビが約83%と高く、次いで雑誌が約8%という結果です。あるヘアケア商品の広告予算が仮に1億円あるとする場合、テレビに約8,300万円、雑誌に約800万円投入することが、欲求喚起の観点では最適であるという解釈になります。

 【図表2-②】の結果では、残業時間が1日平均2時間以上ある人をターゲットにする場合は女性一般と出稿配分が異なることが示されました。いずれもヘアケア商品はテレビの出稿配分比が高くなる傾向があるものの、残業1日2時間以上のターゲットでは女性一般に比べて10%ほどテレビの配分が低く、代わりに雑誌の配分が5%、交通の配分が3%増えるという結果でした。メインターゲットが「働く女性」である場合は、女性一般を狙う出稿配分よりも雑誌や交通に配分を増やした方が良いといえます。

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 ここで取り上げたヘアケア商品の出稿配分は、日用品であることの影響、テレビCMへの配分が大きいという結果でした。詳細を割愛しますが、保険金融商品といったサービス財や耐久財では単価も高く購入に慎重になるためか、商品説明が詳しいインターネットの配分比が大きくなる傾向がみられます。ターゲット同様、商品カテゴリによっても算出される出稿配分の結果が変わります。

 今回の事例は広告領域の配分でしたが、例えば店頭販促をこの考え方に則ってデータ化することで広告と同じテーブルで費用配分を考えることができます。広告に限らず推定認知力(つまりリーチ)と推定態度変容のデータの組合せがACR/exに搭載されている情報接点は、全て効果による配分を算出できます。広告メディアの出稿配分やその他予算配分のデータ分析をご検討の際は、是非ACR/exのデータもご活用ください。よろしくお願いいたします。

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