ビデオリサーチAsia ACRプロジェクト 2000年・タイACR調査結果より

VRDigest編集部
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※本記事は2000年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

当社では、2000年7月にタイのバンコク、チェンマイ、ソンクラー、コーンケーンの主要4都市でACR調査を実施致しました。

当社として、創業以来初めての海外での大型自主調査の実施であり、社として大きな意義を持つ事業と言えるでしょう。しかしながら、それ故にタイACR実施に至る道のりは試行錯誤の連続であったことも事実です。今回はタイACR実施に至る過程と実査の様子をご紹介します。

1.調査概要

 ・サンプル数  :4,300人(バンコク1,600、チェンマイ、ソンクラー、コーンケーン各900)

 ・サンプリング :エリアサンプリング(標本構成は1999年タイ内務省人口統計調査を参照し、

設計)

・調査項目   :日本ACRに準ずる

・調査期間   :2000年7月10日(月)~7月16日(日)

2.調査票作成と日本ACRとの違い

タイACRの調査票は、日本との文化の違いを正確に反映させるべく、入念な情報交換の下に作成しました。調査票作成で苦労したことの第一は、主婦という概念の希薄さです。これは東南アジア全体に言えることのようですが、結婚している女性が家計を支える役割を担い、男性は仕事をしない世帯がかなり存在します。そうした世帯には「主婦」の概念が理解されない為、日本のACRで「主婦」を対象に質問している部分を「結婚している女性」に置き換えました。欲求商品の設問では、日本では当たり前に普及している洗濯機なども質問項目に入れ、タイの実状に合わせる調査票としています。フェース部分の個人・世帯収入についても、年収で問い合わせると、タイ人、特に地方の人は判断しにくいとの実状から月収で聞くことに致しました。また、ラジオ聴取時間の測定に関しては、タイのラジオ局数は非常に多い為、接触率レベルの測定としています。因みに、バンコク地区では同調査でFM局40局全局について毎日の視聴時間量を一週間測定しています。

3.調査実査機関

 現地の有力な調査会社数社から見積を取得し、実査の為のサンプリング、手法について情報交換を行った結果、サーチャー社が最適と判断し、フィールド管理を委託することにしました。同社社長のニワット氏は、バンコクで有数の大学である、タマサート大学のマスコミ学科で教鞭を取る立場にもあり、各都市の優秀な大学のマスコミ学科を通じて調査実施の為のネットワークを築いています。このネットワークを弄り用して、各大学のマスコミ学科の学生を調査員として実査にあたりました。

4.リリース概要について

 タイACRは、スタンドアローン型のPCにアプリケーションソフトとデータを搭載して、提供されます。OSは英語版WINDOWS NT4.0で、画面表示は全て英語となります。

 タイにこれまで存在していた消費者データベースは商品のカテゴリーレベルの調査に基づくもので、ブランドレベルの調査は実施されていません。これに対し、タイACRは98項目、1,503ブランドの利用状況を調査しています。12月18日のリリースは、汎用クロス集計のみとなり、R&F集計等は2月末(前倒し検討中)のリリースとなりますが、タイにこれまでにないブランド毎のユーザープロフィールと媒体接触データを提供できることから、タイの広告・メディア業界に新風を吹き込むサービスとなることでしょう。

5.データ集計事例について

 タイACR集計結果から算出した地区毎の世帯平均月収のグラフです。

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 ご覧のように、バンコクですら、世帯平均月収は12万円に足りません。このように所得一つを取ってみても、日本の生活実感とは違っていることがわかります。そうした環境下で消費者の生活意識、媒体接触状況をどのように捉え、どのようなメディアプランニングを実践していくのか、日本とタイ両国での分析により様々な発見がなされると思います。

 また、ここでバンコクの携帯電話に関するデータ事例をご紹介します。バンコクの男性全体(n=783)につき、欲求商品の設問の中で携帯電話を「欲しい」と回答した対象者(27.2%,n=213)、そして商品の設問で携帯電話を所有しているに「はい」と答えた対象者(38.1%,n=298)に対して、世帯月収の比較を行いました。

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バンコクでは、いわゆる「高所得者層」と呼ばれる人達は、35,000バーツ(約100,000円)以上の月収とされております。男性全体(n=783)の月収35,000バーツ以上の「高所得者層」が36.5%であるのに対し、男性携帯電話欲求者(n=213)の中の「高所得者層」は45.5%、また男性携帯電話所有者(n=298)で52.3%と高くなっています。

次に、男性の携帯電話「欲求者」と「所有者」について、年齢層の分布を分析したところ、特徴的なことは、「欲求者」に関しては、男性10代・20代の合計が50.2%と半数を超えていますが、「所有者」を見ると、男性10代・20代の合計は29.2%と3割程度です。基本的に、若年層にとってはまだまだ手に入れやすい状況にないと言えるでしょう。

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しかしながら、タイに於ける携帯電話の市場は、日本と同様に厳しい競争にさらされている為、価格が急激に低下しているそうです。私たちがフィールド管理の為に出張した7月頃の携帯電話の平均的な価格は13,000バーツ(約39,000円)程度でしたが、最近では5,000バーツ(約15,000円)程度のものも販売されており、更に普及が進んでいるようです。加えて、バンコクに限らず、タイでは、日本では見られないほど、携帯電話のアフターマーケットが充実しており、充電静やバッテリーが携帯電話の隣のショーウインドーに並べられています。来年のタイACRでは、携帯電話の普及度が更に進み、所得の低い層での普及が進むのではないかと思われます。

 当社では、タイに限らず、国際競争力の高いACRをアジアに広め、日本のビデオリサーチからアジアの、そして世界のビデオリサーチとなるべく、プレゼンスを高めることを今後の目標としています。次にターゲットとしている国は、韓国、台湾、中国などです。今後のビデオリサーチのアジアのデータ整備活動にご期待下さい。

国際事業室 事業推進部  梅田 徹太郎

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