eマーケティング・レポート(1)"ケ一夕イ"の使い方 ~ONLINE-ACCESSの結果より~

VRDigest編集部
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

はじめに

 つい先日まで、「携帯電話は、絶対持たない」と言っていた人が、携帯を使いこなしている。こんな経験をしたのは、私だけではないと思います。社団法人電気通信事業者協会の発表によれば、2000年12月末の携帯電話およびPHSの契約数は、全国で6388万契約、つまり2人に1人が携帯電話を持っていることになります。(*1)その内、2927万契約は、iモードに代表されるIP接続サービス(ブラウザ.フォン)の契約です(*2)【表1】。当社のACRでも、2000年5月首都圏の携帯電話所有率は51.8%、その内ブラウザ・フォンの所有者は約3分の1強でした(*3)。転規の契約者もいるので単純には計算できませんが、この調査の行われた5月から比べるとiモードの契約者は、3倍近くに拡大しています。

【表1】携帯電話およびPHSの契約数

vol393_06.jpg 出所)社団法人電気通信事菓者協会

*1)社団法人電気通信事業者協会ホームページより(http://www.tca.or.jp/)。

*2)PHSのIP接続サービスについては、未公表のためNTTドコモグループ、アステルグループを  含まない。

*3)ACRは2000年5月実査、ここでは、東京30㎞圏(n=2629)のデータを使用した。

 いくつかの研究・調査機関からiモードで利用される情報サイトのランキングが発表されています。では、ブラウザ・フォンを利用した広告や新しいサービスを考えようとする時に、こういった既に利用されているサイトの情報だけで足りるのでしょうか。ブラウザ・フォンの利用シーンがわかると、もっと想像力が湧くのではないでしょうか。そこで、今回は、当社のインターネットを弄り用した調査システムONLINE-ACCESSを利用して、「ブラウザ・フォンはどこが便利なのか」、「パソコンとブラウザ・フォンをどう使い分けているのか」ということを尋ねてみました。

調査の概要

ビデオリサーチのインターネット調査ONLINE-ACCESSにおいて、セミ・クローズド形式(*4)によるアンケートを行っています。実査は、2001年1月12日から2月13日までに行いました。

このアンケートに回答頂いた合計2185人の回答をもとにまとめました。

*4)インターネット調査には、予め対象者を指定してアンケートの依頼を行う「クローズド形式」のものと、対象者を指定しない「オープン形式」のものがある。今回はONLINE-ACCESSの会員に対して、自由に回答を求めている。このため「セミ・クローズ形式」と呼んでいる。

調査の結果

 多くの人がブラウザ・フォンを所有している中で、皆さん、どんな使い方をしているのでしょうか。実際に、ブラウザ・フォンが使えて良かったと思う場面やパソコンとの使い分けを尋ねることで、ブラウザ・フォンの使われている生活シーンやブラウザ・フォンに対する期待感を確認しています。これらのシーンを想像して頂き、マーケティングツールとしての使い方や新しいサービス創出のためのヒントとなれば幸いです。

「パソコンとブラウザ・フォンをどう使い分けているの?」

<携帯電話とパソコンでのEメールの使い分け事例>

 今回、アンケートにお答え頂いた方は、全てパソコンでEメールを使っている方です。そこで、パソコンとブラウザ・フォンで、Eメールをどのように使い分けているのかを尋ねることでその位置づけの違いを考えることにしました。

 実際の質問は、「携帯電話とパソコンでは、Eメールの使い方をどのように区分されていますか?」というもので、自由回答の形式で記入してもらいました。

 最もシンプルな答えは、

    「外出先からはiモード、自宅からはパソコン」(男性37才)

というものです。キーボードの方が打ちやすいなど、使いやすさでは、パソコンの方が良いという意見も多く見受けられました。このため、パソコンでは、長い文章や手紙形式の文章が用いられています。

これに対して、携帯電話のEメールでは、短い文章や要点重視の形式を用いられています。

     「長いメールはパソコンからで、短いメールは携帯から」(女性25才)

また「すぐに返事を欲しい相手へは携帯で」といった緊急性によっても使い分けがされています。

     「緊急を要する場合には、携帯メールをもらう」(男性30才)

     「急様な場合、すぐに返事が欲しい時は携帯メール、時候の挨拶、長文の場合、添付書類のある場合はPC」(女性36才)

  

 これに対して、パソコンのEメールは、「いつ相手が見るかわからないので、急を要するものはあまり打たない」ということです。家庭で使用しているダイアルアップの接続では、それ程頻繁にチェックすることはないので、"手軽な郵便"といった感じの使い方がされているようです。

     「携帯電話では簡単なやり取りや急ぎの連絡など。パソコンでは長いメールやそんなに急がないようなメール」(女性21才)

「相手がパソコンを持っていない」場合は、止むをえないので携帯電話のEメールを使います。

     「(携帯は)パソコンを持っていない人に使い、パソコンを持っている人には、eメールで内容を濃くして送ります。」(男性28才)

 このように、発信手段を選択することと、相手の受信手段を選択することが混在していますが、以下のような回答もありました。

      「携帯メールに送るときは携帯で送る。パソコンに送るときはパソコンで送ることが多い」(女性29才)

 推測ですが、パソコンのメールソフトのアドレス帳には、相手方もパソコンのアドレスがあり、携帯電話のアドレス帳には、相手方も携帯電話のアドレスが登録されているのではないでしょうか。以上を対比的にまとめてみました【表2】。

【表2】携帯電話とパソコンでのEメールの使い方の違い

vol393_08.jpgvol393_07.jpg

 携帯電話からメールが発信される時には、「暇な時」というのもありました。ブラウザの使用機会にも同様のものがありました。つまり、携帯電話には、緊急用としての側面と暇つぶしといった側面が同居しているのが特徴とも言えます。有線電話でも同様の特徴はあるのですが、携帯電話では、それが更に強く発揮されているようです。

「ブラウザウォンはどこが便利なの?」

 <携帯電話で情報サイトの検索が使えてよかった事例>

 次に、「携帯電話で情報サイトの検索が使えてよかったと思うのはどのような場合(時・場所)ですか」という質問をしました。

 回答を大きく分けると、抽象的に場所・時間を回答している人と具体的な情報サイトを回答している人がいます。「場所・時間」の回答では、「外出先で」、「暇つぶしの時」、「すぐに調べたい時」といった回答が多く、その内容については具体的な記入はありませんでした。後に紹介する具体的な情報サイトの回答と他のアンケート調査などのアクセスの情報との違いから考察すると、暇な時には、ニュースやスポーツの結果、占いなどにアクセスしているものと思われます。

 具体的な情報サイトについての回答では、「飲食店の検索」や「乗換案内」と言ったものが多く見られました。例えば、

    「食事に行こうと予定していて、なかなかお店が決まらない時に検索する」(女性38才)

    「出かける時、電車の乗り継ぎなどを調べることができて便利だと思った」(男性30才)

ということでした。

 意外に多かったのが、「株価」、「オークション」の価格動向や「映画の上映時間」、「終電時刻」といったものです。

     「外出時、株価のチェックができた」(女性37才)

     「終電時刻を知りたいとき」(女性23才)

 ブラウザ・フォンによって提供される情報を大きく分けると、2つのタイプがあるように思えます。

1つは、株価情報やオークションに代表されるように刻々と変化する内容で、それをリアルタイムに知りたいと思う情報です。いつでも情報を知るためには、どこでも取り出せることが必要になります。そこで、ブラウザ・フォンが登場です。もう1つは、普段使わないが、ある時とても必要になる情報です(例えば、終電の時間など)。これらの情報の鮮度や持統性と情報のジャンルによって、役に立った情報を分類してみました。

【表3】ブラウザ・フォンでの情事艮の種類・特性と具体的な情報サイト

vol393_08.jpg

 今回の調査では、「使えてよかった」という状況を尋ねており、使用頻度とは異なることを注意しなければなりません。このため、一般的なアクセス情報と異なった結果になっています。

 特に、具体的な情報サイトを回答している人は、行動を起こす直前、もしくは既に動き始めてから情報を得るとういう状況が伺われました。別の言い方をすれば、携帯電話の情報サイトは、直後の行動に大きく影響を及ぼしていると言えます。

まとめ

1.Eメールの使い方は、携帯電話とパソコンで異なることがわかりました。例えば、郵便で出す時でも、手紙と葉書では書き方が違います。特に、携帯電話でEメールを使う時は、簡潔に用件を伝えるように書いている様子が伺えました。また、携帯電話でのEメールでは、着信コールが鳴ることから急ぎの連絡に使われます。反面、挨拶(「おはよう」など)やその時の感情(「夕日がきれいだ」)などあまり重要でないことをリアルタイムに伝える時もあるようです。

  つまり、短いセンテンスで、意志の伝わる共通認識がある関係で有効に機能するメディアと言えます。よって、これをダイレクトメールに使う時は、パソコンのEメール以上に明確なパーミッションが必要だと考えます。

2.ケ一夕イの情報検索は、大きく分けて2つの情況で、利用されています。ひとつは、「暇つぶし」で、先日サービスの開始されたiアプリでも、8割はゲームや占いなどのコンテンツです。

 もうひとつは、行動型のコンテンツの利用です。行動を起こす直前や既に動き始めている状況で情報検索が行われます。このことから、携帯電話の情報サイトは、直後の行動に大きく影響を及ぼしていると言えます。

調査手法として

 今回の調査は、当社のインターネットを利用した調査システムONLINE-ACCESSを利用しています。一般に、インターネットを利用した調査では、多くの自由回答を得ることができます。

今回は、既に案内の通りセミ・クローズド形式による方法を採用しています。このため、それぞれの自由回答は、短いものが多かったようです。しかしながら、この方式では比較的低コストで、多くの回答を得ることができるので、多様な生活スタイルや価値観に触れることができます。よって、個人の回答の少なさを全体の量で補う形で分析をしています。いずれにしても、目的・課題に合った調査方法を選択することが、良い成果を得る方法だと考えます。

                     eマーケティング室 開発業務推進部  塚原 新一

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