自由連想データによる新ブランド診断~ブランド自由連想によるPoint of ParityとPoint of Differenceの分析~ーpart2ー 

VRDigest編集部
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※本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

1.はじめに

 先月号においては、ブランド診断指標の背景となる、ケラー教授のPoint of ParityとPoint of Differenceの概念についてご紹介しました。そして、ブランド診断指標であるPOPスコア・PODスコアの仕組みについてご説明しました。POPスコアは、カテゴリーへ所属する為に備えるべきイメージの導出に役立つ指標であり、PODスコアは、差別化すべきイメージの導出に役立つ指標です。

 今回は、開発したブランド診断指標がどのような特徴を持ち、いかに実務へ応用していくのかについて、実験調査の結果に基づいて述べていきたいと思います。

<実験調査概要>

●調査方法:インターネット調査

●調査期間:2002年5月8日(水)~2002年5月14日(火)

●調査エリア:関東1都6県に居住

●対象 :18~49歳 男女(弊社所有のインターネットパネル)

●サンプル数:522s(回収)/630s(依頼)

※10歳刻み(20代は18,19歳含む)で男女、各105sずつに依頼した

2.POPスコア・PODスコアの特徴

2.1 購入意向の観点からみたPOPスコア・PODスコアの特徴

 まず調査対象者を、購入意向の回答からブランド毎に下記の図のようにセグメントします。

【図表1】購入意向度を利用したユーザー・セグメント

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 次に、各ブランドのユーザー・セグメント毎に、対応するブランドの連想語のPOPスコア・PODスコアを算出し、それを合算してブランド・トータルの値を出しますもそして、サンプル数の多寡の影響を除くために-人あたりの値を計算します。

 各ブランドのユーザー・セグメント毎の-人あたりPOPスコア・PODスコアを散布図に表すと図表2のようになります。

【図表2】各ブランドのユーザー・セグメント別一人あたりのPOPスコア・PODスコア

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 図から明らかにどのブランドにおいても、購入意向『有』セグメントは他のセグメントと比べて、POPスコア・PODスコアともに高く、購入意向が『保留』、『無』と意向度が弱まるにつれて、スコアが小さくなって分布している様子がわかります。

 図中の大きな点は、『有』セグメントと『保留』セグメントの重心を示していますムユーザーを増やすこと、つまり『保留』セグメントを『有』セグメントに引き上げるには、矢印の方向へ上っていかねばなりません。夫印のPOPスコアとPODスコアを比較すると、ユーザーの獲得には、Differenceの訴求も大卯ですが、よりParityの訴求が重要という向が表れています。

2.2 ロイヤル・ユーザーの観点からみたPOPスコア・PODスコアの特徴

 今度は下記のように、購入経験と購入意向の強さからセグメントを行います。

【図表3】購入経験・購入意向度を利用したユーザー・セグメント

vol411_12.jpg

 次に同様の手順でブランド毎に、ユーザー・セグメントしたグループのPOPスコア・PODスコアを算出・合算し、一人あたりにして散布図に表してみました。

【図表4】各ブランドのロイヤルタイプ別一人あたりのPOPスコア・PODスコア

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 特に『ハイ・ロイヤル』セグメントと『マルチ・ロイヤル』セグメントとの比較において、POPスコアの差が小さく、PODスコアの面で差がみられています。『マルチ・ロイヤノ瑚に対してロイヤルティの向上を目指す場合は、Parityの訴求よりもDifferenceの訴求が大事だと思われます。

2.3 POP・PODの効果

 以上の傾向から総じて、Point of Parityの効果、Point of Differenceの効果とは、このようなことだと考えています。

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 もし、ブランドがParityだけしか持っていなければ、他のブランドからユーザーの流入が期待できるけれども、流出もしやすいであろうと考えます。逆に、Differenceだけしか持っていなければ、ユーザーの流出は防ぐことができますが、シェアも広がらないでしょう。基本的には、両方をバランスよく兼ねそろえることが大事であると考えます。

3.実務への応用

3.1 市場状況による戦略設定

 広告戦略では、焦点となるメッセージの数を絞り込むことが重要になります。特にテレビCMの短い露出の中で今、Parity・Differenceのどちらを訴求点として押さえるべきかという課題が生じる場合には、市場の状況で判断することになろうかと思いますもそこで、訴求点選択における考え方の一例をご紹介いたします。

 図表5は、購入意向比率とハイ・ロイヤルユーザー比率をブランド別にプロットしたものです。例えば、Aグループのようなブランドでは、購入意向率が6割を超え、ユーザーの獲得をこれ以上伸ばすことは難しいと思われますもこのような局面にあるブランドでは、ロイヤルティをより高めることに主眼を置くべきです。その為の戦略としては、自分のPoint of Differenceを強化したり、Parity語の中から自分に優位なものを琴択して訴求し、Difference化を計ることです。

 一方、Bグループのブランドにおいては、新規にユーザーを獲得することに注力すべきで、その為には、DifferenceよりもPoint of Parityを訴求したり、強い競合ブランドのPoint of Differenceを訴求し相手からユーザーを奪取する戦略が考えられます。

【図表5】購入意向とロイヤルティからみた訴求点の選択

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4.おわりに

 このブランド診断は、1回の調査では是非が問えない場合も、時系列に押さえていけば、の数字の動向によって、診断のバリエーションが増えますム。無糖お茶飲料では夏場にかけて、多くの広告出稿がなされていると思われますが、今後追跡調査を行なって指標の有効性を検証していきたいと思います。

                                (研究開発部 青島 弘幸)

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