欧米調査発展史(3)―アメリカの市場調査―

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本記事は1986年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

アメリカの市場調査

 政府機関の社会調査や世論調査に負けないくらい多数の市場調査が、種々の消費商品の市場測定と市場販売計画の効果測定のために、市場調査グループ、業界団体、広告団体などによって行なわれるようになった。

 ニューヨーク市立大学ビジネス調査部のアーネスト・スミス・ブラッドフォード(Ernest Smith Bradford)の手で、不完全ながら1945年当時の市場調査機関の一覧表が作成されている。この総覧「アメリカの市場調査機関の調査およびその一覧表Survey and Directory of Marketing Research Agencies in U.S.A」によると、当時約175の調査機関があり、そのうち2、3のものは数市にわたって支所をもっている。またアメリカの商務省から定期的に刊行される「市場調査資料(Market Research Summary)」には消費者調査を実施する諸機関の一覧表があって、その末尾の市場販売のテキストには市場調査担当者の一覧表も掲載されている。また質問票法を使っている多くの調査者の問題と技術についてはブランケンシップ編「消費者調査および意見調査の使い方(How to Conduct Consumer and Opinion Research)に記述されている。この本では、マーケテイングと市場調査、商品の改良および新製品のための調査、業界調査、商品のブランドに対する消費者動向、ブランド・バロメーター、P・R調査、消費者調査、広告コピー作成のためのコピー・テスト、リーダーシップ・サベイ等の問題を論じている。次ぎにこれらの市場調査に加えて、ラジオ聴取者調査、政府の諸調査および世論調査などの事項にもふれている。

 市場調査の焦点は大体次の諸問題に向けられる。すなわち、新製品のテスト、既に市場に出た商品に対する消費者の態度測定、特定市場における商品に対する潜在需要の測定、消費者の欲求不満の測定、商品の配給方法の評価、商品の新使用価値の発見、競争商品の市場勢力の測定、購買習慣の測定、商品の開発およびその大量市販前に行う商品に対する消費者の反応テスト、消費者動向の予測、消費者噂好の分析、特定商品の使用法およびそれに伴う諸条件に関する調査などがとりあげられている。

●消費者モニターと消費者パネル調査●

 アメリカの大企業は、自社の製品に対する消費者の反応を調査するために調査部を設置するようになった。すでに60年前、1926年ゼネラル・フーヅ社は消費者調査部で全米の主要都市から家事担当者のパネルを選定し、これらの人々に自社の製品を使用するジャムやゼリーの作り方をモニターしテストしている。同社はこの消費者モニター調査が非常に有益だったことから、1935年には他の製品、パッケージおよび基本的な使用法を評価するために、更に大きなパネルを設置した。このパネルのメンバーは最初ラジオ料理学校の郵送リストから選定したものであるが、1941年には積極的に協力してくれる1万人の対象者を数えるに至った。どの調査でも1000人から2500人までの女性に協力が求められ、平均して約85パーセントの人々が回答している。

 ゼネラル・モータース社の消費者調査部は数百万の質問表を自動車所有者に送り、彼らの自動車に関する実際の経験及び改良すべき諸点についてアンケート調査を実施した。これは、1933年に発足した消費者調査部の業務として実施したもので、設立者の言によれば、1年間に20~30の調査を実施したという。そしてこの調査部門は全米あらゆる地域にわたって種々のメーカーの自動車所有者、約200万人以上のユーザーと接触を保ち、機械的デザイン、スタイル、広告、販売促進およびサービスなど種々の問題が調査された。調査にはダイレクトメールと共に個人面接法が使われている。そして数年にわたって特別モニターすなわち自動車ファンのパネルを設置したが、そのパネルは自動車運転に趣味を持っている人や技術的デザインに特に興味を持っているユーザー、自動車に対し自分の考えをはっきり述べる消費者が選定された。

 この他独立の調査組織をもっている大会社としては、カーチス出版社(Curtis Publishing Co.)、メレディス出版社(Meredith Publishing Co.)メトロポリタン生命保険会社(Metoropolitan Life Insurance Co.)、アメリカ食品配給協会(America Institute of Food Distribution)およびゼネラル・ミルス(General Mills)などがあげられる。

●媒体調査と閲読率調査●

1939年、広告調査財団(Advertising Research Foundation)はアメリカの消費者がどのように新聞を読んでいるかを調べるために、主要都市で一連の調査が実施された。この調査では、調査対象となっている新聞が発行された翌日、約450人の男女に面接質問調査が行われ、標本は職業別、性別、新聞配布地域別に応じて抽出された。調査は先ずその新聞を読んでいると答えた人々に真新しいその新聞を示して各頁について読んだ記憶のあるところを正確に指示してもらう方法であるが、このような方法で1939年7月から1941年11月までの間に45の新聞について調査を行なった。

スターチの広告閲読率調査(The Starch Audience Rating Service)は消費者向け雑誌のリストにおさめられた半頁以上の大きさの広告について、その全部または一部を読んだり見たりした人々の調査を実施している。

1942年に「ジャーナル・オブ・マーケティン列誌に掲載されたF・M・シェパード(F.M.Sheppard)の論文によると、スターチ調査社では、年に約10万人の人々に面接する48人の面接員を動員して、雑誌を読む家庭について調査を実施している。女性に対する面接調査は、その約三分の二を夫々の家庭で行ない、残る三分の一を勤務先で実施した。男性の場合は丁度これと反対の方法がとられている。被面接者が、スターチのリスト中のどの雑誌を読んだかが判明したら、調査員はそれを調査の対象として決め、質問事項にしたがって、彼等が各広告で何が広告されているかを知っているかを調査した。

市場調査のベテランで構成されているマガジン・オーディエンス・グループ(Magazine Audience group)では、消費者がどんなタイフの雑誌を如何に見、如何に読んでいるかを知るための諸方法を実験してきた。このグループは標本抽出方法およびその回答などについても調査を実施してきた。すなわち、質問順に最後に提示される雑誌の閲読者数に見られる疲労の影響、「混同」すなわち号の異る雑誌を混同する傾向を避けるような面接質問技術等に関するものである。そして1945年にはこのグループは不必要な混同を避けるような質問方法を改良することに成功した。その上更に閲読および閲読者層の大きさに伴う諸要因の分析も行っている。

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