欧米調査発展史(4)

VRDigest編集部
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本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

アメリカ最初のブランド・バロメーター調査

1921年にマッキーン・キャテル博士(Dr. J. Makeen Catell)が創立したサイコロジカル・コーポレーション(Psychological Corporation)はアメリカの有力な市場調査機関の1つであるが、そこでは心理学の専門家に調査監督者または顧問として協力してもらい、

調査を実施した。ヘンリー・C・リンク博士(Dr. Henry C. Link)はアメリカで最も古い商品購買調査であるブランド・バロメーター法(Brand Barometer)を開発した。

1932年に中・上流所得階級を対象としてブランド・バロメーター調査をはじめて実施したが、以来この調査は定期的に実施されている。その面接対象者総数は、442、000人以上におよび、1936年以後の標本数は10、000人に達し、すべての階層を対象とするようになった。

なお1940年以後ブランド・バロメーター調査は年4回定期的に行われている。

1946年にはそれぞれの都市に居住する121人の心理学者が125地区における479人の面接調査員の仕事を監督した。これらの面接調査は主婦・成年女子などを対象とし、それぞれの家庭を訪問して行われた。そして主人や成年男子にもまた予め作成された質問票によって調査がなされた。たとえば対象者に「あなたは最近×商品(コーヒー、ビールその他)ではどんな銘柄のものをお買いになりましたか?」と質問し、調査するものでそれらはコーヒー、ビール、飲料水軟化剤、アンチフリーザー、蓄電池、女性用シャンプー、男性用ひげそりあとクリーム、煙草など数多くの商品におよぶものであった。このような調査の目的はどれだけの人々が特定の銘柄商品を購買しているのか、またその競争銘柄品間の移動について、明らかにしようとするものであった。

生活事態調査と実験調査

 サイコロジカル・コーポレーションではこのようなブランド・バロメユター調査の他にビジネス・政治・社会的関心事項などに関する世論調査や生活実態調査も行っている。1946年10月に実施した生活実態調査は2つの質問事項について、2,500人の標本数で調査した。その1つは「あなたの家庭の生活状態は2年前と比べてよくなりましたか?悪くなりましたか?それとも同じですか?」という質問であるが、このような質問から得られる回答によって、賃金及び生活費などの変動と生活意識の心理的な反応など興味ある生活実態が把握された。

 また、サイコロジカル・コーポレーションでは調査技術に関する種々の実験も行っている。例えば1939年には質問方法の変化による影響、面接調査における質問方法の占める地位および面接調査員の訓練などの問題についても、実験調査を実施した。そしてその翌年1940年には、大規模な喝査を行う場合、その調査の目的や、またその必要性等に関して、依頼者の相談に応ずる前に、研究的な調査実験に力を注ぐようになった。そしてこれらの実験調査(Test-Tube Study)は調査方法の事前テストに非常に有益であることを実証している。

○リード調査

 ウィリアム・ハーシュ会社(William R. Harshe Co.)のPR部ではリード製菓会社(Reed Candy Co.)の依頼をうけて13歳から16歳までの児童の考え方およびその反応を調査するリード調査(Reed Poll)を実施している。この調査では質問票を日曜学校の教師、YMCAの幹事、夏季学校の指道者等を通じて、児童達に配布して調査を行うものだが、最初の調査では1万人の児童達がこの調査に回答した。またシカゴ青年博覧会や4Hクラブでは実験調査が行われ、大人の興味をひく問題と一緒に特に青年の興味の対象となる映画・ラジオ番組の選択・希望する職業や学校に対する態度について調査を実施している。

ラジオ聴取者調査(Radio Audience Research

 ラジオ聴取者の範囲やその特性を測定したり、種々の広告効果を測定することも市場調査の一分野と考えられてきたが、これらの調査は企業にとって非常に重要なものとなり、特に別個の調査として取扱われるようになった。ラジオ聴取者調査は諸大学の調査グループや多くのラジオ調査機関および市場調査力レープの協力を得て大いに発展するようになった。

 商業放送の聴取者調査の実施には2つの大きな目的がある。すなわち第1は放送時間について特定放送時間を使うことによって到達する聴取者のタイプと大きさの実態が把握できること、第2は広告主が対象としている購買者が番組選択を決定する実情が分かり有益なデータが得られることである。

○ラジオ調査―記憶想起法から電話同時調査法へ

 ラジオ調査ではクロスレイ(Crossley)は早くも1929年に一般大衆がどんな番組を聴取したかを調査した。また同年には全国広告主協会(The Association of National advertisers)とアメリカ広告代理業協会(AAAA-The American Association of Advertising Agencies)が協力してCABとして有名な共同放送分析研究会(The Co-Operative Analysis of Broadcasting)を設置し共同調査がなされた。

 この共同研究会は1946年まで17年間も続き参加した広告主および代理業のために、8市以上にわたる聴取者調査が実施され、データを提供した。その研究会では種々な問題が検討され、1933年には一日毎の記憶想起法から電話同時調査法が採用されるようになった。

○ラジオ聴取率調査-フーパーレイティング

 C. E. フーパーは1934年以来、ラジオ聴取率調査の仕事で活躍し、このCABを引き継ぎ調査を実施するようになった。その調査は「フーパーレイティング」(Hooper-rating)といわれるものでラジオ番組の人気を示す一指標となり、放送時間の売手と買手の両方に広く使われる調査となった。この電話同時法は主としてフーパー社によって改良され発達したものである。

 その調査内容は「貴方は今ラジオを聞いていますか?」「今何の番組を聞いているかをお知らせ下さい」「その番組ほどこの放送局の番組ですか?」「その番組のスポンサーはどこですか?」「今ラジオを聞いている人は男性は何人、女性は何人、子供は何人ですか?」等の質問内容で調査が行われた。1949年のフーパーレイティングは全米36市に在住する1、200人の調査員を動員し、電話同時法で調査が行なわれるまでに発展した。

 フーパー社のラジオ聴取率調査では、聴取者の大きさ、聴取時間、聴取中のセット・ネットワーク聴取率・都市地域の聴取率、特定番組の聴取率、1、3、5分毎の聴取率、聴取者の構成、長期間にわたる聴取者傾向、上記事項の時刻別、日別、週別、月別の変動等多くの調査分析がなされた。1950年チャッベル(Chappel)とフーパーの共著の「ラジオ聴取者測定調査」-Radio Audience Measurement-では当時使用していた調査技術および論議された各問題についても記述されている。

 たとえば電話のある家庭とない家庭で種々の点で相違があるので、他の調査機関が行った調査結果とは必ずしも一致しない等の注意書もある。しかしこの「ラジオ聴取率測定調査」は、最新のラジオ聴取者測定に関するあらゆる問題を万辺なく非常に判り易く取り扱われ、当時としては、権威ある調査であった。

 当時、フーパー社の受託調査で大規模な調査はCBSとNBCの2大ネットワークからのもので都市部40,000、地方部20、363人を対象として聴取中のラジオセット数および家庭におけるラジオ聴取状況に関する調査を実施した。一般家庭の人々が、何時在宅し何時まで起きているかという調査は被面接者の在宅時間にしか訪問できない調査員にとって非常に貴重な資料であった。当時、放送会社の調査部では自主番組やその他のラジオ産業の諸問題について大衆が各々如何に反応するかということに非常な関心をもっており、その点の実態が明らかにされ、大きな反響をよんだ。

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