価値観の違による生活者階層分類(4)

- VRDigest編集部
※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。
'86年の小誌3月号から5月号まで3号にわたって価値観の違いによる生活者階層分類~VALUES GROUPS~についてその考え方、内容などについて連載しましたが、その後筆者の都合で休載をしておりました。再度このVALUES GROUPSにスポットをあて、このVALUES GROUPSによるセグメンテーションがどのような点でマーケティング上有効かをみて行きたいと思います。
市場が見えてくるセグメンテーション~レギュラーコーヒーの場合~
表1は性・年齢別にみた東京30㎞圏のレギュラーコーヒーの飲用率です。この表から見ていえることは、
- 性別による飲用の差はみられない
- 男女 とも25~34歳を中心に20~24歳、35~49歳の層にも飲用機会の拡がりがみられ、これらの層では4~5割の飲用率
- 50歳以上の高年齢層では飲用率が低い
などだと思われます。もし、これ以外に何もデータがない状況に身を置かれたとしたら、レギュラーコーヒーのユーザープロフィールをどこまで発展させることができるでしょうか。このレギュラーコーヒーの飲用率をVALUES GROUPSでみてみましょう。各層の飲用率を各ポジションに置いてみると下表のようになります。
この結果表からいえることは、
- 階層が上の層の飲用率が高い
- 中でも自由主義的な階層に飲まれている
- 生活充実感が希薄で且つ下の階層の飲用率は低い
などだと思われます。
更にこの結果を陸別に分けてみますと、
となります。飲用率という面だけでレギュラーコーヒーのターゲットプロフィールをみますと(各セルのマスの大きさは考慮しないで)、次のようなことがいえます。
(男性)社会的経済的充足度が高く自由主義的な「自己創造階層」と上昇志向が強く生活充実感を持ち合わせている「社会関心階層」、「自己実現欲求階層」
(女性)社会的経済的充足度が高い層と自由主義的な階層
〔各階層のプロフィールは昨年の小誌4月号に掲載されております。御参照下さい〕
階層の命名がかたいためにイメージが湧きにくいかもしれませんが、いわゆる生活環境が豊かで感性が豊かな家庭の人に飲まれているといえましょうし、その中でも男女によってターゲットに違いがみられるといえます。この結果をみますと、従来頭の中で想定していたレギュラーコーヒーのターゲットプロフィールが描き出されているといえましょう。
したがって、多くのデータに知悉し、頭が研ぎすまされているマーケッターからみれば、あたりまえすぎて何の魅力も感じられないセグメンテーションともいえましょう。しかし、翻ってみますと従来のデモグラフィツクによるターゲット設定では市場が見えなくなってきているといわれる今日、素直に市場のターゲットプロフィールを抽出できるセグメンテーションであることは、狙うべきターゲットの特性把捉と、狙ったターゲットの反応を検証するうえだけでも有効なセグメンテーションといえ、いわゆるニューデモグラフィックセグメンテーションと位置付けてもよいといえましょう。
次号から更に実際のデータに基き、このニューデモグラフィックセグメンテーションの特質を明らかにして行きたいと思います。
(クーポン企画室 大木眞照)